カピバラという動物のどこが魅力的かというと、誰が何と言おうが「動画撮影をしても、ほぼ静止画になってしまうところ」だろう。
通常、動物というのはウロウロしたりキョロキョロしたり、寝ている以外は常に動いていることが多い。
無論、あまり動かない動物——たとえば、ナマケモノやコアラなどはそもそもの動作が少ないが、消化や代謝に時間を要するため一日中寝て過ごしたり、動かないこと自体が生存戦略だったり、そういった特徴のある種族を除けば、ほとんどの動物は動いている。
だが、なぜかジッと固まってしまう習性のある動物といえば、やはりカピバラ以外には思いつかないわけで、そんな「謎に動かない魅力」が、わたしを惹きつけて止まないのだ。
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本日、久しぶりに足を運んだのは、茨城県石岡市にあるダチョウ王国石岡ファーム。ここは、施設名にもあるとおり「ダチョウ」が常時200羽の臨戦態勢(?)で待ち構えているだけでなく、自然豊かな広大な敷地に60種類ものバラエティーに富んだ動物たちが飼育されている。
そのため、野生に近い状態で暮らす彼ら・彼女らを観察したり、エサをあげたり触れ合ったりしたいのならば、断トツでオススメの施設なのである。
ちなみに、ここにはたくさんのカピバラがいるというだけでなく、カピバラエリア内に侵入し、カピバラと同じ空間で同じ時を過ごすことができる・・という、マニアにとっては垂涎モノのスペシャルな体験が可能。
ところが、前回ここを訪れた際には大小20頭ほどのカピバラがくんずほぐれつ大騒ぎをしていたのだが、今日はわずか5頭に減っていた。その理由を飼育員の方に尋ねたところ、新たにオープンした関連施設へ移動したり、年齢的にゆっくり過ごせる場所へ引っ越しをしたりと、やむを得ない事情から多くのカピバラがここを巣立っていったのだそう。
(——たしか2年ほど前、カピバラエリアの柵を押し開けて、脱走ならぬ脱柵を試みたあの子たちがいないのは寂しい。だが、より多くの人々がここで生まれ育ったカピバラと触れあえるのは、それはそれで嬉しいことでもある。いつかどこかで、また会える日を楽しみにしていよう)
というわけで、選りすぐりの精鋭部隊5頭(正確には、カピバラエリアに4頭のメス+隣接するエリアに1頭のオス)とともに、柵の内側にて数時間を過ごすという至福の時を満喫したわたし。
(にしても・・あの隔離されたカピバラは貧相な体つきだが、病気か何かなのかな)
背骨の形がハッキリ確認できるほど痩せ細った男子一人だけが、隣接するアヒル・ガチョウ・フラミンゴエリアの柵越しにジッと座っている。そんな彼に寄り添うように、カピバラエリアの女子4人が柵に張り付いて固まっている——もしかして、過剰繫殖を防止する目的なのかな?
すると、まさかの意外な事実を知ることとなった。
「女の子たちが率先してエサを食べるせいで、あの子(オスのカピバラ)が食べる分が少なくなった結果、痩せちゃったんですよ」
なんと、カピバラ界において上下関係が成立するのは、オス・メスという単純な性別によるものではなく、食欲やフィジカル(体の大きさや強さ、年齢など)といったリアルな強さが重要となる模様。
さらに、
「ウチとしては繁殖大歓迎なので、本当は一緒に過ごさせてあげたいんですけどね・・」
と、なんとも悲しい本音まで聞かせてもらった。
(なるほど・・食欲旺盛の肉食系女子たちに自分のエサまで食われた結果、あんなガリガリになってしまったのか。まさに草食系男子じゃないか・・)
そんなわけで、一桁の気温が身に応えているのか、はたまた「これぞカピバラの習性」を実践しているのか、相変わらず柵越しにジッと固まっている4頭+1頭のカピバラたち。
加えて、有料のおやつを持っていないわたしになど一ミリも興味を示さないあたりも、打算的というか現金というか、ある意味素直で好感が持てる——そう、おやつを持っている者にだけ懐いて甘えてすり寄るからこそ、おやつやエサを購入する意味があるのだから。
ならばと、カネに物を言わせて「おやつ」の入ったバケツを手に入れたわたしは、あっという間にカピバラたちの人気の的となった。
(さぁさぁ、どんどんお食べ!そして、わたしの周りに寄ってたかってチヤホヤするがいい!!)
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またたく間に消えたキャベツとニンジンの後には、彼女らを喜ばせる術を持ち合わせていない——言い換えれば「役立たずのニンゲン」だけが残った。そしてまた、柵越しに4頭と1頭がジッと固まる・・という、いつもの風景が構築された。
とはいえ、そんな「動画殺しのチャンピオン」ことカピバラは、見ているだけでやさぐれた心を癒してくれる、不思議かつ特別な生き物であるのは間違いない。
そう、この世のどんな著名人よりも、わたしのハートを掴んで離さない究極のアイドルこそが、キミたちカピバラなのである。





















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