口の中が大変なことになっている。口の中の天井・・すなわち上あご全体がザクザクに荒れていて、まともに飲み食いができない状態なのだ。
日頃の暴飲暴食が祟ったのか、はたまた急激な気温の低下により自律神経が乱れたのか、いずれにせよここ数日は生きた心地がしないのである。
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わたしにとって唯一無二の楽しみは、コーヒーを飲むことと白い粉系の食べ物を食べること(飲食の二つだから、厳密には「唯一」ではないのだが)であるにもかかわらず、口腔内のコンディションが悪いことでこれらの行為をすべて台無しにしている現在。
熱々のコーヒーを啜ろうものならば、一瞬にして強烈な刺激が上あごを襲うし、ずんだ餅を食べようものなら、餅にこびりついたずんだが上あごを攻撃するし、どんな液体・物体であろうがひとたび口の中へ入れば、反乱分子となって容赦なく口内炎を攻め立てるのだ。
とはいえ、腹は減るもの。大好物であるおむすびにかぶりついたわたしは、あまりの痛みに涙目でのけぞった——う、梅干しは痛すぎる!!!
白米と梅干しの組み合わせは、オーソドックスかつ圧倒的な好相性といえるが、上あごを負傷している今、この二種類はいずれも受け入れがたい強敵と化した。
まず、梅干しが口内炎を刺激するであろうことは想像に難くないが、まさかの白米までもが攻撃を仕掛けてくるとは、手のひら返しにもほどがある。その理由として、「冷えた白米は硬くなる」というデンプンが持つ特性が影響していた。
冷蔵庫で寝かせたおむすびは、一晩経ってなかなかの硬さに仕上がったが、それをそのまま口の中へと送り込んだため、硬化した米粒の表面が口内炎に突き刺さったのである。
(あんなにも可愛がってきたのに、こんな形で裏切られるとは・・)
ならばと、柔らかくてフワフワのカステラで痛みを和らげようとするも、そのフワフワは口の中へ入ると一気に謀反を企てた——クソッ、もはや誰のことも信用できないわけか。
そもそもなぜ広範囲にわたって口内炎が発生したのかというと、偏った栄養バランスが原因と思われるが、それに加えて気温の変化や精神的な疲労により免疫機能が低下したからだ。
免疫というのは、ウイルス・細菌・カビなどの外敵から体を守る生体防御システムであり、この機能が低下すると感染症にかかりやすくなったり回復が遅れたり、体のあちこちで炎症や不調が出やすくなる。
そして、今のわたしがまさにこの状態・・というわけだ。
ならばと、ビタミンB群が含まれる煮卵とマグロを食べたところ、これまた美味さを満喫するのと同時に悲鳴が出るほどの痛みに襲われた(それでも完食)。
続いて、ビタミンB群および鉄分とポリフェノールの宝庫であるアサイーに手を伸ばしたところ、こちらもじわっと口の中に広がり容赦なく攻撃を加えてきた(でも美味かった)。
ということで、最後の砦となるバナナを口へと運んだわけだが、バナナの甘みがまさかの刺激となり、口の中は拷問状態となったのだ(とはいえ、涙目になりながらも食べ切った)。
(あぁ、生きてる価値ないな・・・)
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体のどこかに炎症が起きていると、脳は常に”危機的状況”を察し続けるため、思考は鈍り判断は遅れる。おまけに何をしても楽しくない。
かつての偉人が言っていたが、「健康がすべてではない。だが、健康を失えばすべてを失う。」というのはその通りで、体調不良を感じているときに真っ先に願うのは「体調がよくなりますように」だろう。そのくらい、健康であることが最低限かつ最初の一歩となるわけだ。
飲み食いするために生きているわたしにとって、コーヒーは飲めずおむすびやパンケーキも食べられない生活など、死んでいるも同然。あぁ、耳や目から食べられたらいいのに——。





















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