「無寝返り」の裏事情

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反り腰かつ出っ尻のわたしは、仰向けで寝ることができない。もちろん、「できない」わけではないのだが、分厚い筋肉で覆われた臀部が腰の反りを強調するため、長時間仰向けを維持することは困難。そのため、常に横向きあるいはうつ伏せで寝る・・という、なかなか残念な体勢でしか眠れないのである。

 

思い返せばその昔、初めてスノーボードにチャレンジした時のこと。幼い頃からスキーをやらされていたわたしは、大人になるまでスノボを体験する機会に恵まれなかった。しかも、スノボを楽しむ人たちを見ても何とも思わなかったので、あえてトライすることもなかった。

ところが、ちょっとしたきっかけでスノボをすることとなったわたしは、午前中はスクールに入ってターンなどを学び、午後からフリーで滑るというプランを与えられた。

 

ゲレンデや雪を掴む感覚はあったので、比較的簡単にターンを覚えたわたしは、ただひたすら滑っては登る・・を繰り返していた。そんな苦行もいよいよ終盤を迎えた頃、事件は起きた。

「最後の一本を滑って帰ろう」と、リフトを降りて左へ向かおうとしたわたしのボードを、同じリフトに乗っていたスキーのおじさんが踏んでいたのだ。勢いよく左へ漕ぎ出そうとしたわたしは、ボードが進まない反動で後ろへ引き戻された——というか、地面に尻餅をつく形で叩きつけられたのだ。

(や、やばい・・・これは逝ったかも)

その瞬間、腰の内部というか下腹部の内側からドロッとした何かが流れ出る感覚を味わった。血・・にしては粘度が高い気がする。もっと何か、何かヤバイものが尻に向かって流れ出ている気が——。

 

その後、レスキュー隊のサポートを受けながら病院へ向かったわたしは、尾骨骨折という診断により自由を奪われた。

なによりも不便だったのは、尻が痛すぎて仰向けになれないことから、就寝時も車を運転する時も常にどちらかのサイドへ体重を乗せた姿勢をとらなければならないことだった。

・・そんな生活が3か月も続いたのである。

 

あの頃からわたしは、仰向けになるのが苦手になったのかもしれない。それに加えて、身体的な特徴である「反り腰・出っ尻」が影響し、未だに横向きもしくはうつ伏せで寝ているのであった。

そんなわたしは、骨盤の歪みや腰への負担を減らすべく”膝の間にクッションを挟んで寝る”を心掛けているのだが、最近ふと発見したことがある。それは、「重さのあるクッションを挟んで寝ると、寝返りをせずに同じ向きで寝続けている」ということだ。

 

重さのある・・といっても大したことはない。やや硬めの低反発クッションなのだが、それ挟んで寝ると必ず同じ向きのまま目が覚めるのだ。これが、軽いクッションだとそうはならないわけで、たかがクッションごときの重量に寝返りを阻止するほどの威力があるのか——。

とはいえ、今朝も目が覚めると同じ方向——すなわち左を向いた状態だった。もちろん、寝るときも左を向いたまま目を閉じたので、寝返りを打つこともなくジッと同じ姿勢を貫いたのだろう。

おかげで肩が痛い——そう、横向きで寝ると”巻き肩”になるのだ。もちろん、枕も「横向き寝専用」のものを使っているが、それでも肩への負担をゼロにすることはできない。それでいて寝返りも打たないのだから、わたしの左肩は有無を言わせず過酷な状況を強いられているわけだ。

 

(にしても、なんで寝返りを打たないんだろう)

この素朴な疑問に対して自己分析を行ったところ、「寝返りを打つ=膝に挟んだクッションが外れることから、無意識下で体勢を維持しているのではないか」と結論づけた。ちなみに、なぜ軽いクッションだとこの法則が適用されないのか・・については、「そもそも軽いからクッションの存在を忘れているため、自由に寝返りが打てる」という考えに至った。

とはいえ、クッションを外せば腰に負担がかかるし、かといって仰向けに寝ても腰が反るので眠れないし——。こういった事情が重なった結果、わたしの睡眠時間は短くなってしまったのかもしれない。長くても5時間、短いときで30分・・無論、30分では睡眠不足なので昼寝をするが、5時間以上寝ると背中や腰が痛くなるため目が覚めてしまうのだ。

 

 

あぁ、こんなわたしに「快適な睡眠」が訪れる日は来るのだろうか。

 

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