本日の最終列車である、東海道新幹線ひかり666号に滑り込んだわたしは「間違いなくツイている」と確信した。なんせ、666はわたしの本質を示す数字であり、たまたま間に合った新幹線の列車番号がこれであることが、何よりの証拠だからだ。
それにしても何だったんだろう、この二日間で起きた小さなラッキーの連続は——。
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遡ること昨日の朝、両手に荷物を抱えて品川駅へ向かうべくタクシーを拾おうとしたところ・・いや、その直前の信号を渡ろうとしたところ、ちょうどわたしが横断歩道へさしかかるタイミングで歩行者の信号が青に変わった。
まぁ、これについてはそこまで自慢するほどのことでもないが、それでも信号で止まってから歩き出すのと、そのまま歩き続けるのとでは大きな差が出る。どんなマシンだって、稼働の瞬間に最もパワーとエネルギーを必要とするわけで、連続運転のほうが省エネだからだ。
そして、横断歩道を渡りきる寸前で左を見ると、「空車」の赤文字が点灯したタクシーが止まっていた。
(ラッキー!炎天下に晒されることなく移動できる)
出だしからスムーズな滑り出しで上機嫌なわたしは、品川駅へ着くと全席指定ののぞみに乗り込み、名古屋へと向かったのである。
何年ぶりかに訪れた名古屋駅は、お盆ということもあり多くの人でごった返していた。そんな人混みをかき分けながら東海道線のホームを目指したところ、あと1分で発車・・という快速に乗ることができた。
じつは、この電車を逃すと次は15分後となるため、これに間に合うか否かは実際のところ大きな違いとなる。よって、特に急ぐこともなく流れるように向かった先で快速が待っていてくれたことは、ちょっとどころかかなりラッキーだったわけだ。
(スムーズの連続で、ラッキー!)
東海道線の快速にて岐阜へ到着したわたしは、所用を済ませるとホテルのコインランドリーへと向かった。本日は満室ということで、館内に2台しかない洗濯機の争奪戦に神経を尖らせていたが、運よく洗濯機が空いていたためさっそくスタートボタンを押すと洗濯を開始した。
そして待つこと30分、洗濯物を回収すると名古屋へ戻るべく岐阜駅へと向かった。すると案の定、ホームへたどり着いた途端に名古屋方面の快速が入線——もはやわたしに、待ち時間という概念は存在しないのである。
名古屋では二つの地下鉄に乗り換えたが、いずれもホームに立てば電車がやって来る・・という出来過ぎた展開のため、「とりあえず、天からの落下物や地面に掘られた落とし穴に気を付けよう」と、自ずと慎重になるのであった。
触れるまでもなく、名古屋から岐阜へ戻る際の電車も図ったかのようなドンピシャのタイミングで乗車できたので、一切のストレスを感じることなくホテルへと帰還。
最後は、無料サービスのドリップコーヒーを片手に、たまっている事務作業をこなしつつ朝を迎えたのである。
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翌日は車での移動が多かったため、ラッキーといえばラッキーなのだが、こちらは抜きで公共交通機関での移動について振り返ってみたい。
名古屋から東京へ戻るにあたり、「終電」という存在をすっかり忘れていたわたしは、21時過ぎにまだ地下鉄にも乗れていない状況に対して、一切の焦りを感じていなかった。なぜなら、23時くらまで上りの新幹線はあるものだ・・と思い込んでいたからだ。
ところが、東海道新幹線上りの最終は22時06分ののぞみで、お盆期間ということもあり最悪の場合満席の可能性も——連れもいることだし、確実に乗車することを優先すればひかりを選択するのが妥当。となると、21時24分発のひかりが最終列車ということに。
当日の予定が流動的だったため、事前に切符を購入しなかったという事情もあり、券売機で行列ができていたらアウトではなかろうか・・というギリギリのタイムスケジュールの中、とにかく東京へ生還するべく新栄町駅から市営地下鉄に飛び乗ると、名古屋駅へと向かったのである。
(いうまでもなく、ここでも改札を通過した途端に電車が入線・・という、当然の無敵モードが継続中だった)
こうして、たどり着いた名古屋駅で新幹線の自由席特急券を購入すると、一番奥にある新幹線乗り場へと急いだ。
重たいキャリーケースをガラガラと引きずりながら、「どうか自由席が空いていますように」と祈りつつ、さらに「可能ならば、スジャータの”スーパープレミアムバニラアイスクリーム”を買って、車内で食べられますように」という贅沢な祈りも加えた。その結果——キヨスクにて、お目当てのカップアイスを手に入れることができたのだ。
行きの新幹線では車内販売もなく、”新幹線でカップアイスを食べる”という夢は叶わなかったが、ここへきてついに”アレ”を体験できるのである。あぁ、なんてラッキーなんだ!
こうして、万全を期した状態でひかり666号の自由席へと踏み込んだのだが、案の定、どの座席列も一人は陣取っている状況だった。ところが、奇跡的にも三人掛けが一列空いているところを発見したわたしは、すかさずそこへ腰を下ろすと改めて思った——やはり、666のチカラが導いてくれたのだ。
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帰宅するまでが遠足なわけだが、当然というかなんというか、品川駅前で停車中のタクシーを待つ者はおらず、こちらもすんなりと乗り込むことができた。
目まぐるしい二日間ではあったが、ほぼ間違いなく最短かつ最大効率で自宅と中部地方との往復を果たせた要因は、どう考えても「圧倒的なラッキー」でしかない。こんなにもタイミングよくすべての移動がスムーズに進んだのは、ツイている・・という以外に表現のしようがないからだ。
とはいえ、これもすべて昨日今日で出会った人々が「ラッキー」を与えてくれたおかげである。どう考えてもわたし一人のチカラではなく、目に見えない何かが働いたからであり、そんな非科学的な「何か」が重なった結果、たくさんのラッキーを享受できたのだ。
ツキというのは流れであり、ずっと続くこともなければ永遠に訪れないこともない。だからこそ、この二日間で得たツキを誰かに渡すことでループさせよう・・と企んでいるわたしに、今のうちに媚びを売ってチヤホヤしておくことで、そこのキミにもいいことが起きるだろう。
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