モンブラン登頂におけるプリンの功績

Pocket

 

秋といえば、食欲が旺盛になる季節として有名。

その理由の一つに、ブドウや梨、柿、ミカン、キウイ、リンゴなどなど、果物が店頭にどっさりと並ぶことが挙げられる。

 

そしてカフェやケーキ店でも、こぞって秋のフルーツを推してくるのである。

 

 

今年に入って、シャインマスカットを口にした回数は数えるほどだが、どこからか送られてくることを楽しみにしながら、カフェのメニューをめくるわたし。

 

いま迷っているのは、シャインマスカットのミルフィーユと、和栗のモンブランプリンのどちらにしようかという問題。なんとも贅沢な悩みに時間を使っているところだ。

 

(シャインマスカットは、ブドウ単体で食べるほうが美味い。ていうか、モンブランプリンもプリンだけでいいんだけどな――)

 

モンブラン、つまり栗が嫌いなわけではない。

栗やイモのようなホクホクした食べ物は大好物なのだが、モンブランだけはどうも受け入れ難いのである。

 

モンブランといえば、フランスとイタリアの国境にそびえる山だ。いやいや、高級ボールペンだろう!

・・茶番は置いておいて、モンブランという名称は、フランス語で「白い山」を意味する。

実際にフランスでは、モンブラン・オ・マロンというのが、いわゆるモンブランケーキで、ケーキの頂上に粉砂糖を振りかけることで「白い山」を再現している。

 

一般的に、モンブランはケーキのなかでも人気の種類。その証拠に、洋菓子店に限らず和菓子の専門店でもモンブランを売っているところがある。

丹波栗だの利平栗だの、日本人に馴染みのある「栗」という食べ物を使ったケーキは、洋菓子を嫌う人でも手を出すほどの魅力があるわけで、これすなわち、西洋菓子の要素と和菓子の解釈が融合した、「日本人ウケのいいスイーツ」といえるだろう。

 

ところがわたしは、幼い頃からモンブランが好きではなかった。それはなぜか?

 

答えは、

「マロンクリームの舌ざわりが、あんこに似ているから」

である。

 

あんこはあずきから出来ている。あずきは豆、栗は果実に分類されるわけで、似ても似つかない。

さらに栗ならば、単体でポイポイ放り込むほどの好物。しかしあずきは、単体どころかあんこに変化したとしても、お世辞にも美味いとは思えない。

 

ではなぜ、モンブランがあんこに感じるのだろうか。

 

決して、ペースト状の舌ざわりを「あんこ」と認定しているわけではない。むしろ好みのテクスチャーであり、断じてそこではないということを強調しておきたい。

似たような現象として、たい焼きで「さつまいも餡」の入ったもの、あれも好きではない。あんこ(あずき)は入っていないのだが、どことなくあんこを連想させる舌ざわりと風味が、苦手なのである。

 

まとめると、栗やさつまいもを甘くしたペースト状のものが、あんこを感じさせるため好きではないということだ。

 

だったら、シャインマスカットのミルフィーユにすればいいじゃなか。他にも、いちじくのレアチーズトーストなるものもあるので、そちらにすればいいじゃないか。

だがなぜか、わたしは手作りプリンの魔力に憑りつかれていた。さらに、和栗という文字にも魅力を感じていたのである。

 

(和栗のモンブランなら、あんこっぽくないかもしれない)

 

どこにそんな根拠があるのか不明だが、わたしの直感がそう言っている。間違いない、和栗のモンブランはあんこではない!

 

こうしてわたしは、生まれて初めて…というのはさすがに大袈裟だが、自ら率先して初めてモンブランを注文した。

 

こげ茶色の大粒の栗が一つ、頂上にどーんと載っている和栗モンブランプリン。栗はもちろんのこと、モンブラン部分も栗の風味がしっかりと残っており、あんこっぽさは皆無。

だがそれよりなにより、プリンが美味かった。ちょっと硬めの和風プリンに、濃いめのカラメルソースが絡んでおり、モンブランが霞んでしまうほどにプリンの存在感が絶大。

これならば、「モンブランとプリンを別々に楽しむ」という選択肢があっても、よかったかもしれない。

 

(プリン、うめぇ・・)

 

次回は、シャインマスカットのミルフィーユと、いちじくのレアチーズトーストにも手を出してみよう。

 

ロケ地:Re:s(リス)カフェ

Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です