郵便受けに投函された「第一種市街地再開発事業の冊子」の、第二の人生と死に様

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昔に比べたら随分減ったが、それでもまだチラシや広告を投函してくる痴れ者は存在する。ちなみに先週までは、都議会議員選挙関連でオッサンのどアップが印刷された紙ならぬゴミが投げ込まれていたが、「あいつらには絶対に投票しまい」という決意をさせてくれたことには感謝である。

そんな中、郵便受けを開けるとまた新たなゴミが眠っていた。しかも本日の一品は、厚みのある丈夫な紙でできている。

(手強い可燃ゴミ・・捨てるのが面倒なやつか)

自宅でこれらチラシ類を捨てるとき、小さく丸めるか細かく破って捨てるわけだが、今回の敵は一枚一枚の厚みがある冊子タイプのため、ちぎるにしても一苦労——まったく、こういう厄介な物に限って役立つ情報は書かれていない。ほんといい迷惑だよ。

 

ちなみに冊子の内容は、近所の再開発にかかる工事施工や立面図、工事車両の通行についての詳細が記されたもの・・それにしても、前頁25枚にわたる両面カラーコピーの冊子を、地域全員に配るためにいったいいくらの費用がかかったのだろうか——。そんな余計な心配をしたくなるほど、立派で壮大なスケールの配布物なのである。

とはいえ、近所の工事に興味も関心もないわたしにとって、やはり”手強い可燃ゴミ”でしかない分厚い冊子は、余計な手間のかかる憎き邪魔者なのも事実。

(どうせなら、QRコード一枚放り込んでくれたほうが好印象なんだけどなぁ)

見るも見ないも個人の自由なわけで、施工者側に通知の義務があるのだとすれば、物理的なゴミを極力出さずに経費削減できる最適な方法が、QRコードなどの二次元コードを使うことだと思うわけだが・・きっとダメな理由があるのだろう。

 

こうして、リビングのテーブルに再開発事業概要の冊子を置いたわたしは思った——いや、これはむしろラッキーだったかもしれない。

 

A3サイズの大きな紙は、見ようによってはランチョンマットとして使えなくもない。しかも分厚い紙質は水分を漏らさず吸水してくれそうだし、そう簡単には破れそうにもない。要するるに、「スイカを食べる際に敷く、ランチョンマット代わりに最適だ」と判断したわけだ。

(ちょうどスイカを買ってきているし、さっそく試してみよう)

コスパ最強、果物の王たるスイカ——しかも最近では、細かくカットされたパックスイカではなく、1玉を6分の1にカットされたものを3つ・・すなわち半玉購入するのが習慣となっている今日この頃。

 

スイカ半玉を一気に食べると満腹でタポタポになるため、食費の節約も兼ねてスイカを食すわたしは、もはやスイカの奴隷といっても過言ではないほど傾倒している。ただ、一つだけ懸念点というか課題があるとすれば、「スイカの汁でテーブルがベチャベチャになること」だ。

スイカの水分含有量はおよそ92パーセントなので、潤沢な果汁で溢れているのは当然のこと。しかも、大きなスイカを切るなり割るなりすると、その時点で大量の果汁がこぼれる出る。よって、皿やシートを敷かない限り、テーブルの乾燥と安寧を守ることは不可能なのだ。

 

そこへきてこの大きな分厚い冊子——言い換えれば、25枚の極厚ペーパーランチョンマットは、溢れ出るスイカの果汁をしっかりとキャッチしてくれる。おまけに丈夫な紙質であることから、スイカの皮を包んで捨てても破れたりばらけたりしない強みがある。

(まさにスイカのために配られた、使い捨てのランチョンマットじゃないか・・)

加えて、「さすがは大成建設」とでも言おうか。6分の1のスイカを手で折りながらシャクシャクと食べ進めていくと、案の定、大量の果汁が冊子へと零れた。ところがどうだ、印字された字もイラストも滲むことなく健在ではないか。

こういったところで、スーパーゼネコンの維持とプライドが垣間見えるのもまた面白い・・などとほくそ笑みながら、まずはスイカ6分の1をクリア。そして冊子の一枚目をめくったところ・・見事に水分を堰き止めていることを確認した。

 

(・・よし、これで心置きなくスイカにかぶりつける!!)

 

 

こうしてわたしは、普段ならば怒髪冠を衝く勢いで破り捨てる「チラシ」という名のゴミに対して、生まれて初めて感謝の念を抱いたのだ。

とはいえ、もしもこれがスイカのシーズン以外ならばただのゴミだったわけで、やはり鼻息荒く怒り狂っていただろう。よって、業者の皆さんは紙媒体での広告活動を控えるとともに、新たなアプローチ方法を検討してもらいたいのである。

 

だが今回に関しては、“One man’s trash is another man’s treasure.”(ある人にとってのゴミは、別の人にとっての宝物)・・ではないが、同じゴミでも時と場合によっては”高吸水の使い捨てランチョンマットに変身する”という事実から、大手ゼネコンの中では大成建設の評価が微妙に上がった・・ということを補足しておこう。

 

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