突然だが、「クッキー系の焼き菓子で何が好きか」と問われれば、有無を言わせず「ショートブレッド」一択である。
ショートブレッドとは、短いパンのことではない。スコットランドの伝統的なバタークッキーで、濃厚な風味とホロホロの歯ごたえがたまらない、焼菓子の最高峰と称される逸品だ。
そんなショートブレッドに酷似した有名な菓子がある。こちらは「日本固有の伝統菓子」・・とでもいうべきか。そう、みんな大好き大塚製薬のカロリーメイトだ。
ただし、残念なことにカロリーメイトはあっさりし過ぎている。そりゃそうだ、英国の紳士淑女らがティータイムに頬張るような、甘くて口どけの良いバタークッキーを再現しているわけじゃないのだから。
そもそもカロリーメイトは、焼菓子ではない。「菓子」と書かれてはいるが、同時に「栄養調整食品(固形タイプ)」という記載もある。
「11種類のビタミンをはじめ、5種類のミネラル、タンパク質、脂質、糖質を手軽に補給できるバランス栄養食」
,というわけで、菓子としての存在価値がショートブレッドとは違うのだ。
よく、ダイエット目的でカロリーメイトを食べるバカがいるが、完全に間違っている。ダイエットの敵は空腹であるがゆえに、できるだけ大量に食べられる低カロリーの食べ物を選ぶべきだからだ。
では、カロリーメイトはどんな時に食べるのかといえば、食事の時間がないときや運動前後の補食として最適。フィンガータイプで食べやすく、あんな小さなブロック一本で100㎉を摂取できるというわけで、短時間でバランスよくエネルギー補給するのにうってつけのクッキーなのだ。
さらに、ウイダーインゼリーのような「摂取しやすさ」重視ではなく、ある程度の咀嚼を必要とすることから、食べ応えの面でも優秀な菓子といえる。
・・そんなことを考えているうちに、ふと、ショートブレッドが食べたくなった。だが、訪れたコンビニでは入手できなかったため、しかたなくカロリーメイトで代用することにした。
お味はもちろん、メープルとバニラ。他にも、フルーツとチーズ、チョコレートがあるが、ショートブレッドらしさでいうと、メープルとバニラの二種類で十分肩代わりできる。
コーヒーのお供に、カロリーメイト。
小腹が空いたら、カロリーメイト。
食事代わりに、カロリーメイト。
ついでにデザートも、カロリーメイト。
というわけで、あっという間に4箱のカロリーメイトを食べ終えてしまったわたし。そう、カロリーメイトは非常に食べやすくて美味いのだ。
大塚製薬はなにを思って一箱に4本のブロックを入れたのかは分からないが、たったの4本で満足するわけがない。もう少しもう少し・・と思いつつ、気がつけば16本を平らげていた。
これがショートブレッドならば、さすがに16本は食べないだろう。バターたっぷりのショートブレッドは、10本も食べれば満足できるからだ。
ところがカロリーメイトはちょっと違う。クッキーというには軽やかで食べやすいため、ついつい食べ過ぎてしまうのだ。
そんな「カロリーメイトが美味い話」を友人にしたところ、
「やっぱり、ポテト味が美味しいよね!」
と、トンデモ発言とともに目を輝かせて食いついてきた。
・・いやいや待て。ポテト味ってなんだ?
カロリーメイトは原則として、スイーツの一種でなければならない。その証拠に、味のラインナップはバニラ・フルーツ・チョコレート・メープル・チーズの5種類である。まぁ、チーズだけがやや仲間外れっぽくもあるが、それでもはちみつを垂らしたりヨーグルトをのせたりすれば、それなりのデザート感が出るわけで。
ところが、ポテトってなんだ?ポテト味のバタークッキーなんて、美味いのか?
・・誤解されては困るが、わたしはポテトが大好きである。じゃがバターにマッシュポテト、フライドポテトも大好物。
だがこれは、あくまでも「しょっぱい」という前提がある。マッシュポテトはしょっぱくないが、まぁそれは置いておいて、ジャガイモというのは基本的に塩との相性がいい野菜といえる。そのため、スイーツの延長であるカロリーメイトが「しょっぱい」というのは、許されざることなのだ。
とはいえ、安心してもらいたい。ポテト味はすでに販売停止となっている。そんな残念なお知らせを友人に告げたところ、
「えー。絶対に人気は出ない・・って確信しかなかったけど。でも本当に美味かったんだよ!」
と、粘っていた。今となっては、ポテト味の真偽のほどを確かめる手段を失ったが、それでもにわかに信じがたい・・と言わざるを得ない。
味の好みは人それぞれゆえに「ポテト味のカロリーメイトが美味い!」と、力説する友人の主張を鼻で笑うことはできないのだが、それにしても、ポテト味って・・・プッ。
(・・さてと。バニラ味でも食って寝るか)
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