ムハンマドの呪い——Barhiデーツに注意せよ

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オマーン帰りの友人から、おもむろに1キロのブツを渡された——それは、デーツだった。

 

中近東方面からの帰国者は、ほぼ10割の確率で土産品としてデーツを購入すると決まっている。しかしながら、一口にUAE(アラブ首長国連邦)といっても、ドバイとアブダビなど首長国の違いによってデーツの種類やメーカーは異なるもの。

しかも、例えばサウジアラビアやイランでは400種類以上の品種があるとされており、厳密には(ガチ土産品として)同じ品種のデーツを食べる確率というのは、低いのかもしれない。

 

そんなわけで、今回はオマーンから運ばれてきた「Barhi(バーヒー、バルヒ)」という品種のデーツを、たっぷり1キロ与えられたのである。

 

 

バーヒー種は、”デーツのシャンパン”と呼ばれるほど繊細な食感と上品な甘みが特徴のイエローデーツだ。たしかに、ドライフルーツにしてはサクサクとした歯ごたえで、粘り気のある甘さではなくさらっとしたフルーツのような味わいが特徴。

わたしが過去に食べたデーツは、見た目は黒くてプルーンのようで、それに加えてキャラメルのようなスティッキーな食感だったため、いわゆる「ザ・ドライフルーツ」という印象が強かった。だが、バーヒーに関してはそのようなねっとり感が皆無な上にジューシーなので、「いくつでも食べられる」という嬉しさ・・いや、恐ろしさがあった。

 

デーツというのは、低GIかつ多彩な栄養素と高カロリーであることに加えて、保存食や非常食としても用いられる「スーパーフード」として知られている。

ちなみに、今月後半から始まるラマダン(ムスリムによる一か月の断食)中は、日の出から日没まで食べ物はおろか水も口にできないことから、ムスリムたちは夜明け前にデーツを何粒か胃袋へ流し込んでから一日をスタートさせるのだそう。

おまけに、かの預言者ムハンマドが「断食明けにデーツと水を食べた」とされることからも、ラマダン期間中におけるデーツの役割は、単なるドライフルーツの域を超えた存在価値なのだと思われる。

 

そんな高栄養価なデーツは、当たり前だが食べすぎたら糖尿病まっしぐらなことくらい、いい年したオトナならば言われずとも分かるであろう。

品種によって大きさや栄養価も異なるが、およそデーツ一粒で50キロカロリー、糖質約13グラムのパワーを秘めている。他にも、食物繊維やカリウム、鉄分、マグネシウムなどのミネラルも豊富で、まさに「天然エネルギーの宝庫」なのだ。

 

なお、今回手に入れたバーヒーデーツは、日本で見かける一般的なデーツと比べると小ぶりで、コンビニなどで売っている「むき栗」ほどのサイズだったため、一粒つまんではポイっと口へ投げ入れることが可能。そんな「手軽なサイズ感」のせいで、デーツを放り込む手が止まらない・・という、恐るべき事態を招いたのである。

これがもしもプルーンほどの大きさであれば、一口で咀嚼および嚥下を終えることは難しいため、そう簡単にポイポイ放り込むことはなかっただろう。だが、いかんせんバーヒーデーツは小粒でつまみやすいため、あっという間に口の中から消えてしまうのだ。

 

その結果、気づけば袋の中身はおよそ半分に減っていたのである。

 

粒数にして50から60粒・・これは嘘のような本当の話である。とはいえ、デーツには種が内包されているため、純粋に果実丸ごと食べているわけではない。おそらく全体の1~2割が種だと思うので、残りが可食部——それでもかなりの量を食べてしまった気がする。

仮に、先ほど述べた数値でカロリー計算をしてみると、一粒50キロカロリー×50粒=2,500キロカロリー。60粒ならな3,000キロカロリー・・・う、ウソだろ!?

 

繰り返しになるが、過去に土産品として与えられたデーツの時には、ここまでリズミカルに口へ放り込むということはなかった。その理由として、サイズがもっと大きかったことやねっとりと絡みつくような甘さであったことから、どちらかというと「味わいながら食べる」という感覚だったからだ。

しかしながら、このバーヒーデーツは小粒であることやフルーツのようなサッパリとした甘みであることから、ついつい手が止まらなくなってしまうのだ。そして、良くないことだと分かってはいるが気付けばデーツは半減し、あっという間に底をついてしまうだろう——。

 

 

かつてシュトーレンを一本食いしてきたわたしにとって、2,500キロカロリーはたまた3,000キロカロリーという数値は、それほど恐ろしい数字ではない。だが、つい数日前から内臓脂肪を減らすべくダイエットを始めたばかりだというのに、中東の魔術(?)によっていとも簡単に頓挫させられたことは、どうも納得がいかないわけで——。

 

とりあえず、デーツを食する際にはムハンマドの呪いに気をつけつつ、適度な摂取を心がけてもらいたい・・という、注意喚起をしておこう。

 

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