電子申請が使えなくなる、恐怖の10日間

Pocket

 

「今日から10日間、メールが使えなくなる」と言われたら「えー!それは困る」となるだろう。仕事やプライベートでのやり取りでメールを使用する場面は多く、それが10日間も使用不可となるならば、多かれ少なかれ不便さを感じることとなる。

それでも、よくよく考えると「メールでなければやり取りできない」ということは、じつはそれほど多くない気がする。なぜなら、友人・知人とはLINEやInstagram、Facebook、XなどのDMで連絡を取り合うことができるし、番号が分かれば電話をかけることだってできる。最悪、手紙にしたためて送れば意思の疎通がはかれるわけで、メールが使えないくらいで大騒ぎする必要はないのである。

だがそれでも、今まで普通に使っていた連絡手段が途絶えると、多少なりとも不安や不便を感じるもの。しかも10日間となると、それなりに支障が出る可能性も否定できないわけで。

 

・・・いったいなにが10日間使えなくなるのかというと、デジタル庁が管理運営する"e-Gov電子申請"が、本日8月9日から19日までの10日間、利用できなくなるのだ。

正確には、e-Gov自体は9日の19時から13日の8時までの停止だが、社労士ソフトを介して電子申請を行っているわたしは、使用するソフトの機能停止期間となる19日の9時まで、ボタン一つで電子申請することができなくなる。

 

とはいえ、政府側もそれなりに気を使っているのだろう。お盆休みとなる8月中旬の金曜日から連休を挟んだ火曜日の朝まで・・という、実務への影響を最大限に考慮したスケジュールで行われるわけで。それにしても、新システム(ガバメントクラウド)への切替ということで、それなりの大規模作業なのだと思われるが、休日返上で作業に従事するシステムエンジニアの皆さまには頭が上がらない。よって、利用停止期間についての文句など、口にしてはならないのである。

それでも・・それでも、10日間も使うことができないというのは、あまりに長すぎやしないか。無論、e-Govから直接申請すれば済む話ではあるが、ソフト経由で申請することで、その後の管理がしやすくなるケースもあるため、できればソフトを使って処理したいのだ。

・・いやいや、これはわたしの個人的なわがままであることは十分承知している。そもそも、電子申請がまったくできなくなるわけではないし、仮にそうなったとしても紙の書類で郵送すれば同じ手続きが完了する。むしろ、昔は郵送どころか、直接窓口へ持参することで手続きを行っていたわけで、それと比べたらかなり便利で時間短縮が可能となっている。あぁ、ありがたい限りである。

 

日によっては電子申請をする必要がないこともあるので、この10日間・・というか、少なくとも来週の火曜日までは、申請業務の依頼がないことを祈りたいが、それにしても、電子申請がいかに便利であるかを改めて思い知らされる。

今回のようなシステム切替のみならず、定期的にメンテナンス作業が入るので、24時間365日利用可能・・とはいえないが、それに近い状態で利用できるのだから素晴らしい。なんせ、役所が稼働している期間・・すなわちウィークデーの午前8時半から午後5時15分までの処理となるのは仕方がないが、申請者側からすると夜中だろうが年末年始だろうが、先方へ到達させられるのは非常にありがたいのだ。

その理由として、"手元に未処理タスクを置いておくのは、精神的によくないから"である。すぐにでも申請できる状態なのに、システムが停止しているためにボールを投げることができない・・というシチュエーションは、わたしにとってこの上なくフラストレーションがたまるのだ。

 

——そんなこともあり、動きたくても動けない状況に耐え難い苦痛を感じるわたしは、電子申請が利用できない10日間(厳密には4日間)が、恐ろしくて恐ろしくて仕方がないのである。

(デジタルの贅沢に慣れてしまうと、物理的な作業が恐ろしく感じるものなのかもしれないな・・)

 

もしもこの先、インターネットが使えなくなるような事態が起きれば、電子申請はおろか、あらゆる社会的機能が麻痺するだろう。そうなれば、わたしどころか世界中のニンゲンがパニックに陥るわけで、この世がどうなるのか想像すらできない。

そんな有事に備えるべく、ある程度の耐久力を維持する目的で「たまには物理的な作業で慣らしておく必要があるのかもしれない」などと、思ってもいないことを呟いてみるのであった。

 

Illustrated by 希鳳

Pocket