強盗が押し入ってきたら、どうする?

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「もしも強盗が押し入ってきたら、どうするのがいいんだろう?」

小さなカフェを営む友人と、もしもの時の危機管理談義に花を咲かせていたわたし。とはいえ、カネ目当てで押し入って来る強盗も強盗だが、キャッシュレス決済が進む現代において、店舗への侵入という荒っぽいやり方はかなり減っているのではなかろうか。

その昔、パチンコの特殊景品の換金所を襲撃した友人がいるが、換金所のように現金が大量に保管されている場所・・たとえば銀行のATMや金券ショップ、宝くじ販売所などは、カネがあるかわりに強奪が失敗するリスクも高い。当然ながらそれなりの管理を徹底しているわけで、頻繁に現金を回収していたり、異変があればすぐに警備会社や警察へ通報が入ったりと、今のご時世で「強盗」というのはなかなか難しい仕組みとなっている。

 

しかしながら、カネ目当てでなくともむやみやたらに不法侵入してくる者もいるだろう。それこそ「むしゃくしゃしていたから」などという身勝手な理由で、見ず知らずの人間を傷つける・・という事件も多発している。

怨恨があればまだしも、完全なる赤の他人に「とりあえずそこにいたから」という理由で襲われたのでは、さすがに死んでも死にきれない。だからこそ、常日頃から周囲を警戒しておくに越したことはないのである。

 

——冒頭の友人との会話に戻るが、あってはならない・・というのは承知の上で、それでも強盗・・すなわち暴力や脅迫を用いて財物を強取するような輩には、身を守ると同時に正当防衛としての攻撃が必要となる。

かといって、カフェ店内には武器になりそうなものが見当たらない。これが飲食店ならば包丁などが候補にあがりそうだが、調理の必要がないカフェには調理器具は置かれていないのだ。ならばと、小型の焙煎機を投げつけるとなれば、相手に怪我をさせる云々ではなく「純粋にもったいない」ので、選択肢の一つにもならないし・・。

わたし個人としては、店内にホットウォーターサーバーがあるので、90度くらいの熱い湯を顔面めがけてぶっかけてやればいいんじゃないか・・と考えたが、さすがにそれでは致命傷には至らないため、逆に興奮して殺されでもしたら元も子もない。

 

「運が悪かったと、あきらめるしかないんじゃないかな・・」

残念ながら、強盗あるいは暴行目的で侵入してきた相手に、武器もないどころか心の準備もできていないような丸腰の素人では、対峙したところで虚勢を張るくらいの反抗くらいしかできない。ましてや、相手が棒や刃物を所持していた場合、どう考えても"やられる未来"しか想像できないわけで・・。

 

そこで、暴力系の犯罪に詳しい(?)友人に意見を求めてみたところ、

「スタンガン、できればテーザー銃を護身用で持っておくこと」

という具体的かつ現実的な回答を得られた。

スタンガンは超高電圧スパークにより、相手を威嚇したり電気ショックで行動不能にさせたりする、強力な防犯グッズである。だが、相手の体を硬直させるにはスタンガンの先端を体に当てる必要があるため、自分自身も相手(しかも常軌を逸した)と近づかなければならない・・というリスクを伴う。この時点で、もしも相手が警棒など長さのある武器を所持していた場合、スタンガンにどれほどの威力があろうが単なるお飾りとなってしまうわけだ。

ところがネットで検索してみると、かなり使えそうなスタンガンを発見した。それは「棒状のスタンガン」で、およそ40センチのバトンタイプの商品。これならば最低でも40センチの安全距離を保てるため、バチバチとスパークを見せながら近づくことで、完全なる威嚇を実行することができる。

 

とはいえ、平和な国・日本においてはこの程度で十分な防犯対策になるだろうが、修羅の国・足立区あたりになると、スタンガンでは物足りない模様。そこで必要となるのが「テーザー銃」なのだ。これは、米国の警察官の94%以上(2020年時点)が携帯している銃で、「5メートル離れた場所から発射できるスタンガン」というと分かりやすいだろうか。

銃の先端からトゲの付いた2本の針をダーツのように飛ばし、それが相手に刺さったら高圧電流を流す・・という仕組みで、針は細いワイヤーで銃本体と繋がっている。これならば、なぎなたで対抗されようが負けることはない。

しかしながら・・というか当然ながら、日本においては銃刀法に違反するため、製造も輸入も禁止されている。いくら致死率が高くないといっても、実際に死亡事故は発生しているため、それこそ犯罪に使われたら防ぎようがないわけで——。

 

 

ということで、「ロングバトンタイプのスタンガン」が、小さな店における防犯対策としてはもっとも有効なのではなかろうか・・という結論に落ち着いた。

なんせ、われわれが住む自宅のドアだって、鍵なしのベニヤ板ではおちおち寝ていられないのと同じで、一人で切り盛りする店舗にとって防犯対策は経営上必要な手段となるのだから、丸腰よりはこういったグッズを常備させておくべきだろう。

 

己の身は己で守る——そんな"当たり前の自己防衛"に対する意識と準備を整える時代に、ようやく日本もたどり着いたのかもしれない。

 

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