女性用オシャレ服のサイズは、S・M・Lではなく「何号」という表示がされている。
それに比べてユニクロやZARA、H&Mといったファストファッションブランドは、ざっくりとS・M・L表記がされている。
JIS(日本産業規格)によって、様々なサイズの詳細が決められているが、ざっくり表記の場合、一つのサイズの幅はおよそ8センチほどとなっている。
さらに「どんな女性を基準として、S・M・Lなのか?」というと、
「バスト83センチ、ヒップ91センチ、身長158センチ、ウエスト67センチ」
ということらしく(全日本婦人子供服工業組合連合会参照)、これが「日本人体型の標準」という認識なのだろう。
要するに、ジャストフィットの洋服を作るには、ざっくり表記では無理がある。
とはいえ、わたしのような庶民がオーダーメイドの衣服を着る機会など皆無のため、ファストファッションで十分。
衣服など、適度にフィットしていればいいのだから。
*
「このスカート、腰骨でようやく止まるくらにガバガバで、メルカリに出そうと思ってたんだ」
スレンダーなお嬢様が、レースのスカートをなびかせながらそう言った。
まるでお嬢様の理想像が着用するような、アイボリーホワイトの繊細な生地でできたスカートを、当たり前に履きこなす彼女が恐ろしい。
「アタシだったら、膝上で止まるだろうな」
べつに誇張したわけではないが、明らかに細い彼女のウエストと比べると、わたしの体で一致するのは膝上あたりだろう。
そんなことないよぉ、とまんざらでもない否定をした後、彼女はこう話し始めた。
「でも私、上半身のほうが細くてさ。昔は5号だったんだよ」
「5号」という数字を聞いて、真っ先に思い浮かんだのはホールケーキのサイズである。
普段、購入するケーキのサイズが5号のため、なんとなくよだれが湧いてくる。
「5号って、なに?」
「なに?」と聞かれても答えに困るだろうが、一般的な女性のサイズが9号とか11号とかいわれる、服のサイズのことだろう。
個人的なイメージでは、9号といえば細身の女性で、11号が普通くらい。あまりなじみのない数字だが、13号ならばかなり大柄な感じだろうか。
そもそもわたしは、そういったサイズ展開の服を買ったことがないので、自分が何号なのかは分からない。
だが5号という数字が明らかに桁外れであることは、およそ察しがつく。
「就活で、友達からスーツを貸してほしいって言われたとき、5号だけどいい?って聞いたら断られたよ笑」
そりゃそうだ。9号が細い女性なのにもかかわらず、そこから2段階も細いサイズの服など、一般人が着られるわけがない。
そこでわたしは、果たして5号がどのくらいの寸法なのかをネットで調べた。
「ウ、ウエスト64センチだって!!!」
下手したら、わたしの片方の太ももサイズじゃないか!
にわかに信じられないわたしは、「仮に、自分ならばどのサイズなのだろうか?」と、余計な興味を抱いてしまった。
そこで、号数区分表に記載されたヒップの数字を参考にして、己のサイズを探してみた。
「・・・15、いや、17号??」
これが、身長157センチの女性の、一般的な号数といえるだろうか。かなりのワガママボディな号数ではなかろうか――。
とはいえ、わたしが「何号」というオシャレ服を着ることはないので、今までもこれからもメンズのMサイズ、もしくはレディースのLサイズと、仲良くやっていこうと思う。
いいんだ。恥ずかしくもなんともない。
ダイバーシティでジェンダーレスな世の中の代表格として、胸を張って生きて行くだけ。決して強がっているわけはない。
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