太っ首

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10年ぶりに友人と会った。

あれよあれよと言う間に従業員600人を抱えるグループ企業を作り上げ、現在も加速度的に事業を拡大中だそう。

こういうのを「ビジネスにおける天賦の才がある」というのだろう。

 

とはいえ、友人なりに紆余曲折を経て今に至るとのこと。

マーケティングを得意とする彼は、組織づくりに壁を感じた時期があった。だがそこで出会った「あるメソッドのトレーニング」を積んだ結果、

「組織づくりはマーケティング」

と言い切れるまでに変貌を遂げた。

 

中学の頃から「起業」を念頭に市場調査を続けてきた友人。数字で追える確実さこそが、彼自身がしっくりくる落としどころだったのだろう。

 

わたしもいつか得意顔で、

「ウチの得意分野は採用とファイナンスです!」

などと、一度でいいから言ってみたいものだ。

 

そんな友人と会った瞬間、とっさに感じた「仕事ができるオトコ」のオーラ。これは一体どこから漂うのかーー。

 

その答えは、首。

 

わたしは今日偶然にも、もう一人の「仕事ができるオトコ」と会っていた。業界も、職種も、生き様もまるで違う、そんな彼らに共通するパーツは「首」だった。

 

太ももや二の腕の太さは、パッと見では気づけないこともある。だが首の太さは春夏秋冬ほぼいつでも確認できるため、見逃すことはない。

 

(首が太いというだけで、どこか堅実かつ圧倒的なパワーを感じる・・)

 

普段あまり気にすることはなかったが、首が太いということは頭部をしっかり支えていることに他ならない。

人間のパーツで最も重いとされる頭部。その重量は体重の10%と言われる。体重50キロの人ならば、5キロのスイカ玉を乗っけているのと同じ感覚だ。

 

何事もそうだが、土台が不安定だと不安を覚える。

 

たとえば台座の脚が細かったら、そこへ乗せたスイカが転がり落ちるかもしれないし、脚がクニャっと曲がる可能性もある。

 

その点、台座である首が太くてしっかりしているということは、そこに鎮座する頭をガッチリサポートできるわけで、ちょっとやそっと殴られたくらいでは頭(こうべ)を垂れることはない。

 

さらに遊びでも本気でも首を絞められたとき、フンッと勢いよくすっぽ抜けることができるのは、首が太い人の特権といえる。

付け加えると、顔の幅と首の太さが同じような場合、首を絞める側も苦労する

 

柔術などでチョークスリーパーを狙った際、それを阻止するためにアゴを差し込まれでもすると、もはや縦長の冬瓜(とうがん)を抱いている感覚にしかならない。

(くそ、一体どこが首なんだ!)

こちらは焦りながらもグイグイ絞めるが、対する首太はノーダメージ。そのうちフンッと力任せに腕をすり抜け、反撃に転じてしまう強靭さは手に負えない。

 

このように、人間として安定した強さ=できるオトコを誇示するには、首の太さだけで十分足りるということを、わたしは今日知った。

 

 

首が太いということは、首だけが単独で太いというより、腕や胸、背中もセットで分厚い可能性が高い。

 

なぜなら、首の筋肉は胸や背中からつながっているからだ。

 

耳の付け根から鎖骨へ伸びる「胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)」、首の後ろから背中にかけて広がる「僧帽筋(そうぼうきん)」。この2つの筋肉が首を支えている。

つまり首を鍛えることは、胸や背中をデカくすることにつながる。

 

パッと見でわかるほど首を太くするには、かなりの時間がかかる。そしてそれをやってのけたということは、己に厳しいタイプであると推測される。

このような人間が発する言葉には重みがあり、いや、言葉を発しなくても凶々しいプレッシャーを放つため、こちらは必然的にイエスマンとなってしまう。

 

仕事ができるオトコになりたければ、本当に仕事ができるようになるか、見るからに首を太くするかのどちらかしかない。

 

そしてどちらも、一夜漬けでは達成できないレベルのキャリアである。

 

 

サムネイル by 希鳳

 

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