激やせモードのはずが、なぜ・・・。

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(これはどう考えても、過去の愚行や悪行によるツケが回ってきたとしか思えない・・)

 

「頸椎椎間板ヘルニアによるC7神経根症」という診断を受けたわたしは、首の根元に頸椎傍脊椎ブロック注射を打ってもらった。飲み薬ではまったくといっていいほどコントロールできない痛みに対して、MRIの画像を元にC7神経根の近くへ局所麻酔とステロイドを流し込んだのだ。

ブロック注射を打つまでの数分の間、ある程度じっとしていなければならないため、腕を動かすことができない。そのため、1分も経たないうちにわたしの左腕は痺れて冷たくなっていった。

それでも、針を刺す場所を画像で確認しているドクターの邪魔をしてはならない・・と、必死に痛みをこらえてじっとしていた。

 

「では針を入れますね、チクッとします」

今のわたしにとって、どれほど太い針を刺されようが、おそらく痛みを感じないだろう。そのくらい、肩から背中にかけての疼痛が酷すぎて、その他の痛みなど鼻くそみたいなものだからだ。

そして案の定、針を打たれようがステロイドを注入されようが痛みも違和感も皆無。その代わり、左手はみるみる冷たくなっていき、自力では動かせない状態となってしまった——あぁ、なんて哀れなわたし。

 

さすがにブロック注射は効くだろう・・と期待はするものの、わたしの体はなぜか素直に治療を受け入れないため、効果が薄いという残念な結果に終わることが多い。

やはり今回も、多少の緩和は見られるが腕を下ろすと激痛が走り、苦痛に顔を歪める——というくだりは変わらなかった。それでも、内服の鎮痛剤がまったく効かないことを思うと、多少なりとも痛みから解放されたことには感謝の気持ちで一杯である。

 

そんな哀れなわたしは、ここ数日間ほとんど食べ物を口にしていない。大好物のコーヒーですら、一回で3杯がギリギリという異常事態。それでも「何か食べなければ体に悪い」と思い、とりあえずキュウリとニンジンを齧り、お口直しに柿とミカンを頬張った。

こうなると、もはや美味いとか不味いとかの問題ではない。生きる上で食べることが必要なのであり、生命を維持する目的で”食材を胃袋へ流し込む作業”と化しているのだから。

(あぁ、食べることが生き甲斐のわたしなのに、食べたいものがナイだなんて・・こんな灰色の人生、イヤだ!!)

 

当然ながら、そんな食生活を繰り返していれば体重だって激減しているに決まっている。そのため、ちょっとウキウキしつつ現在の体重を測ってみたところ——なんと、体重計が壊れているではないか!

とんでもない数字を表示したタニタの体重計を蹴り飛ばすと、もう一つの中国製の体重計に乗ってみた——ウソだろ、こっちも壊れているのか・・?!

 

全身が凍り付くような緊張感に襲われた。この二つの体重計が示す数字が、現在のわたしの正確な体重だとすると、わずか二日間で3キロも増えたことになる。

しかもこの二日間、まともな食事などしていないにもかかわらず、どうしたらこんなにも増量できるというんだ。まさかわたしだけ、空気を食っても体内に留める体質になったとでも言うのか——。

 

原因はほぼ間違いなく薬の副作用だろう。とくに、プレドニン錠(ステロイド)の影響が強いと思われるが、よくよく考えると尿勢が低下しており、水分の排出がうまくできていないことに気が付いた。

(要するに、3キロもの水分を溜め込んでいるということか)

にわかに信じられないが、事実として二つの体重計が示す数字が同じなのだから、これは認めざるを得ない。

 

そしてわたしは思った。頸椎ヘルニアによる神経根症を発症し、肩から背中にかけて激痛が走り、左腕は痺れて使い物にならず、内服薬もブロック注射も効果が薄いうえに、飲み食いしていないにもかかわらず体重が増えるなんて、まるで天罰が下ったかのようだ——と。

 

とはいえ、もしもこれが天罰だとしたら納得のいく部分もある。思い返せば今までの人生において、数々の愚行および悪行を繰り返したわたしは、それに見合うほどの罰を受けてこなかった。

よって、素行不良の過去を一掃するための天罰だと思えば、まぁまぁ腑に落ちる結果ではある。しかも、こんなことを言ってはなんだが「自らを構成する要素の一つ」として、この疼痛を受け入れつつある自分がいるのも事実。

「この痛みは常にあるもので、これが普通の状態なのだ」と、脳と神経に刻み込むことで、なんとなく苦痛を感じなくなるから不思議である。

 

(ハァ・・まぁ仕方がない。痛い痛いと騒いだところで変わらないんだから、このまま生きていくしかないだろう)

 

 

無駄に体重が増えたことを忌々しく思いながらも、哀れなわたしは今日という日を歩き出すのであった。

 

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