(なるほど、たしかに汚いものかもしれない——)
当たり前だが、ベッドやテレビの裏にたまったホコリが綺麗な存在だとは思っていない。極端な話、素手で触れることすら憚られるわけで、その認識はわたしにもある。
だが我が家のホコリに関しては、そこまで不潔で忌むべき存在だとは思っていなかった。むしろ、フローリング清掃にうってつけの"掃除道具"とまで考えていたのだ。
いつからこのようなおかしな考えを抱いていたのかは分からない。しかし友人らとホコリの話をするうちに、わたしのホコリに対する嫌悪感は実用性に上書きされる形で、いつの間にか薄れていったのだろう。
「・・掃除機のかけ方、ヘタだよね」
「うん、実は掃除機かけたことほとんどないんだよね。そのせいか、"砂鉄が磁石にくっ付くイメージ"で掃除機を捉えているから、使いこなせないんだ」
「え? じゃあ家の掃除はどうしてるの?」
きっかけはこの会話だった。練習後にジムのフロアを掃除をしているときに、おかしな掃除機の使い方をしているわたしを目撃した仲間が、思わず交代を申し出たのだ。
スケルトンの掃除機のヘッドには、理髪店の店頭でクルクル回っているサインポールのような「カーボンファイバーブラシ」が搭載されている。さらに、モーターヘッドに重量感があるため、その重さに任せて掃除機を前後させれば、ゴミやホコリを自動的かつ強力に吸い取ってくれるのだ。
ところがわたしは、重力に任せた掃除機の操作がうまくできなかった。むしろ「こんな使いにくい構造ならば、モーターヘッドなんていらない!むしろ、UFOが宇宙人を吸い込むようにスーッと吸引してくれればいいのに」と思ったのである。
そしてわたしは友人の問いに答えた。
「自宅の掃除は、コロコロかホコリだね」
それを聞いた仲間たちは驚いた。コロコロは分かるけど、ホコリで掃除って、いったいどういうこと?!
「ホコリを指でつまむでしょ? そうすると別のところでホコリを見つけるから、最初のホコリと合体させるの。それを繰り返すうちにでっかいホコリの塊ができるから、最終的にはその毛糸玉のようなホコリ玉を握りしめて、隅々まで拭き掃除をするんだよ」
その場にいた全員が驚愕する。だがわたしは、なぜそんなに驚かれるのかピンとこなかった。
「ホコリって、めちゃくちゃ汚いよね? それを素手で触れるの? ・・たとえばここのホコリなんて、汗や血や体毛や皮膚なんかが混じってて、ものすごく汚いじゃん??」
目を丸くして矢継ぎ早に質問をする友人の言葉に、わたしはぼんやりとだがハッとした。・・たしかに、ここのホコリは不潔で汚いと感じる。なんせ大量の汗や髪の毛、陰毛などが絡まっているわけで、そんなものに手で触れたいわけがない。
しかし我が家のホコリは綺麗なのだ。そもそも全身脱毛をしているわたしから脱落する毛は髪毛のみ。さらにその髪の毛も短いため、どっさりと堆積することはないのだ。
もしかすると最初のうちは、素手でホコリを触っていなかったのかもしれない。だがいつの間にか「我が家のホコリは汚くない」という、イメージのすり替えが行われたのだろう。今では平気な顔でホコリの塊をつかみ、それらを合体させて一つの掃除道具として使いこなしているのである。
「クイックルワイパーとか使えばいいじゃん?」
・・バカか。すべての隙間にクイックルワイパーが入るほど、我が家は広くはない。むしろものすごく狭いわけで、クイックルワイパーの繊維シートを雑巾のように使わなければ、ピアノや洗濯機の裏にたまるホコリへアプローチすることはできないのだ。
だったら、ホコリをつかってクイックルワイパーを作ればいいじゃないか。そうすれば、出費を抑えつつ気兼ねなく室内の清潔が保てるわけで。
「でもさ、ホコリにはカビや細菌が含まれているんだから、そんなもので床を拭き取ったらもっと汚いじゃん!」
「そう? でもホコリは綺麗になるんだから、ホコリと雑菌がいる状態より、ホコリのない雑菌がいる状態のほうがよくない?」
——全員が苦笑いで会話は終了した。
*
そう、これは一般的には理解不能な、頭のおかしな人間の戯言なのである。
私もホコリでホコリを取ります🤣
何かと共感することばかりでビックリしてたけどホコリばかりはビックリしすぎてコメントしてしまいました!笑
wwww運び屋に胸ぐら掴まれて「妻を悪い道に誘わないでくれ」と言われないように気を付ける笑