この感覚は女性にしか分からないが、便秘気味の時に生理痛をくらうと、それはどっちの臓器から来る痛みなのか迷うことがある。いや、実際にそんなことはほとんどないのだが、今回に限ってどっちなのか分からなかったのだ。
個人差はあるが、生理前の腹痛——いわゆるPMSがそこまでひどくないわたしは、「この下腹部の張りと痛みは、便秘によるものに違いない」と思った。冷静に考えてみれば、「(腹の中から)何かを出したい」という感覚を以って、「それは便だ!」と安直に結びつけていただけで、便秘の際の「出したい」とはちょっと違うことくらい分かるはず。
だが、たとえば出掛ける予定があるなど、その後トイレに行きにくくなる環境が待っていたりすると、「とにかくこの不快な痛みから脱出しておきたい」という思いから、便でも経血でもなんでもいいから早く出て行ってくれ・・と、気が焦るのである。
(あるとすれば、この感じは生理が始まってからの痛みに近いし、だとすると今は生理前なのでやはり便秘か・・)
とにかく体内から異物を排出したい衝動に駆られるわたしは、とりあえずトイレで踏ん張ってみた。だが何も出ない。ならばと、重力を使って下方へ押し出す作戦(ひたすらジャンプ)を試みたが、とくに効果は無し。
改めて下腹部に手を当ててみると、なんだか異様に突出しているではないか——ま、まさかの大腸がんとか?!
ヒトというのは、暗い所や狭い所にいると思考が悪い方へと偏りやすい。そして以前も、ぽっこりお腹について散々大騒ぎしたあげくに消化器内科を受診したところ、「ほとんどが筋肉で、あとは便ですね」と衝撃の一言を放たれた過去があるわたしは、安易に病気と結びつけることはしないと誓っていた。
よって、大腸がんではないことを必死に言い聞かせつつ、それでも内心
「こんなにも鈍い痛みが続くのは、しかも尋常ではない下腹部の膨満感というのは、どう甘く見積もっても正常とはいえない。裏を返せば異常——ということはやはり、がんの疑いがあるのでは・・いやいや、そう簡単に病気だと決めつけてはならない。これは滅多にない便秘のチャンスなのかもしれない。下痢や便秘で悩むことの少ないわたしに対して、神が与えた試練なのだ」
などなど、どうしても病気の疑いを払拭できないわたしは紋々としていた。
(とりあえず、ロキソニンを飲んでみるか・・)
生理痛といえばロキソニン。よって、服用後に腹痛が改善されなければ、それは子宮ではなく腸の問題となる。そしてわたしが便秘ではないとすると・・重大な病気が確定するわけだ。
まぁ、それはそれで仕方のないこと。我が健康を天に委ねるしかない——。
*
それから一時間後、いつのまにか居眠りをしていたわたしは、スッキリとした状態で目を覚ました。いう間でもなく、腹痛と下腹部の張りは解消されていた。さらにその数時間後、生理がおとずれた。
要するに、単なるPMS(月経前症候群)の症状だったわけだ。
(病気だのなんだの、大騒ぎしたあげくに医療機関を受診しなくてよかった・・)
——時には、経過観察という手段が有効なのである。











コメントを残す