わたしの個人的な感想だが、
「寝る前にスマホを見ると、ブルーライトの影響でメラトニン(別名、睡眠ホルモン)の分泌が抑制されるため、目が覚めてしまい寝つけない」
という理論を支持できない。
もちろん、この理屈が科学的根拠に乏しく、眼鏡業界が儲かるための陰謀論だ!などとは言わない。
そのような側面もあるだろうし、まったく影響していないとは思わないからだ。
だが本当に眠いとき、言い換えると「本当に睡眠が必要な時」ならば、スマホの画面から大量のブルーライトを浴びたところで、睡魔が勝りいつの間にか寝落ちするだろう。
つまり、ブルーライト云々はそこまで影響していないというのが、自論である。
そんなことを思いながら、ふとNewsPicksのWEEKLYOCHIAI(ウィークリーオチアイ…落合陽一氏とゲストとの対談番組)をBGMで流していたところ、わたしの持論を後押しするような会話が聞こえて来た。
声の主は、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構・機構長の柳沢正史教授。
睡眠障害やナルコレプシーの解明などで、「ブレークスルー賞」を受賞した、睡眠に関する研究の第一人者である。
柳沢先生は、睡眠時のスマホが有害な理由として「光とコンテンツ」を挙げた。
とくにコンテンツについては、つい最近オーストラリアから論文が発表されたそうで、いわゆるSNSが入眠の邪魔をするとのこと。
つまらない映画や国会中継を見ていたら、いつの間にか寝てしまった…という経験は誰もがあるだろう。
つまり、一方的に受け取るコンテンツの場合、そこに興味がなければ寝落ちするわけで、これに関してはスマホやテレビ、スクリーンなどデバイスによる違いはない。
これに対して、双方向性あるいは対話的なSNSに関しては、間接的に誰かに話しかけられているのと同じ状況であるため、やはり眠くはならないのだ。
「(SNSを見ることで)興味が途絶えなかったり、誰かにコメントをしたりと、インタラクティブな状況は脳を刺激するため、眠くならない」
柳沢先生はこうおっしゃっていた。
いや、まさにその通り!わたしの長年の考えを代弁してもらった気分である。
ある友人は、横になってから眠るまでに3分とかからない。しかも例外なく、いつでもどこでも瞬時に眠りに落ちるのだ。
そんな彼を見ていると、スマホのブルーライトがどうだとか、一切関係ないことが顕著に示される。
まずはスマホ片手に横になる。そしてお気に入りのYouTubeやアニメを再生する。数分後、いや、早ければ数十秒後には、グーグーと寝息を立てているのである。
どれほど室内が明るくても、どれほど大音量で音が流れていても、はたまたスマホと顔の距離が20センチの至近距離であったとしても、そんなことは一切お構いなし。
お気に入りの動画を見ながら、秒で眠りにつくテクニックは神技であり、尊敬に値する。
要するに、子どもがお気に入りのぬいぐるみを抱いて寝るのと、同じ感覚なのだろう。
安心できる何かに包まれていれば、その対象物がぬいぐるみであろうがスマホであろうが、何でもいいのだ。
その心地よいBGMを子守歌に、あっという間に眠りの世界へと旅立てるのである。
あげくの果てには、動画再生したまま目の上にスマホを乗せて爆睡しているのだから、ブルーライトもクソもあったもんじゃない。
こういった事実からも、わたしはかなり昔から、
「スマホによる睡眠障害の原因は、ブルーライトではなく、視聴しているコンテンツによるのではないか」
と踏んでいた。
インスタやTikTok、YouTubeのショート動画などは、別の投稿を見るためにも指を動かさなければならない。
さらにライブ配信であれば、コメントを送ったりチャットでやり取りをしたりと、ただぼーっと見ているだけでは済まされない。
このように、いざ寝る前にインタラクティブなメディアを見ていたら、そりゃ眠れないのは当たり前。
代わりに、単語が一つも分からないアラビア語のニュースや、低レベルな討論番組などの動画であれば、ある種のホワイトノイズ効果で瞬時に寝落ちできるだろう。
*
とにかく、持論が証明されたことで気分が良くなったわたしは、そのまま机にうつ伏せになり眠ってしまった。
そして目が覚めた頃には、どう足掻いてもすべての予定に間に合わない時間となっていたのである。
(これがかの有名な、ナルコレプシーというやつか・・・)
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