もはや生きた心地がしない日々を送るわたしだが、じつは一つ悩みがある。
それは何かというと、24時間絶え間なく襲いくる激痛と痺れについて・・ではない。こちらについては「肩や背中の痛みが、悪魔か何かと戦ってくれている」と思い込むようにしたため、むしろ痛いのが当たり前だし、痛みが強ければ強いほどわたしは安全なのだ!・・と、信じることにしたのだ。
そんなわけで今の悩みというのは、痛みについてではなく「体重がまったく減らない」——言い換えると「尿の量が明らかに減ったこと」である。
日頃から大量のカフェインを摂取しつつ大量の果物を食べているわたしは、トイレの回数は少ないものの尿の量と勢いには自信がある。むしろ、尿勢や尿量で健康状態をチェックしているといっても過言ではなく、水分を大量に排出するからこそ、体重のコントロールもしやすいのだ。
もちろん、尿だけでなく汗としても水分を排出するのだが、ここ最近まったくといっていいほど汗もかかず尿量も減ってしまったため、どんなに食べる量を減らしても体重が落ちなくなってしまった。
(さすがにニンジン1本と柿1個、ミカン10個しか食べてないんだから、体重も減ってるだろう・・)
そう思って体重計に乗ってビックリ!!なんと、前日と変わってないではないか。これを受けてわたしは、慌てて風呂に湯をためると半身浴を2時間実施した。だが言うまでもなく、これまでのようにスッキリと体重を落とすことはできなくなっていた。
水分を溜め込む体になったのは、間違いなく頸椎ヘルニアを発症してから——つまり、複数の薬を飲むようになってからである。最も怪しいのはプレドニン10gだが、ステロイドというのはむしろ多飲多尿が原則であり、多飲小尿というのは理解に苦しむ。
その他の鎮痛剤についても、副作用で乏尿になることは考えにくく、こうなると「神経根症の激痛というストレスのせいで自律神経が乱れ、交感神経が優位になり続けていることで、排尿機能に悪影響を及ぼしている」という、絶妙に胡散臭い仮説が濃厚となってくる。
(また自律神経か・・都合が悪くなれば、なんでもかんでも自律神経で片付けられるじゃないか)
こうなったら、明らかな原因は突き止められないにしても、何でもいいからどうにかして体内の水分を排出したいわたしは、どうするべきかをAIに尋ねてみた。すると、
「10分から15分程度の有酸素運動、つまりランニングをおすすめします」
という助言を得ることができた。
ランニング——それは、わたしがもっとも忌み嫌う行為である。なぜなら、確実に時間が奪われる上にめちゃくちゃ疲れるからだ。
ランニングの恐ろしいところは、ある一定時間ずっと走り続けなければならない点にある。最低でも10分から15分走り続けなければならないなんて、しかもそれは心肺機能に負担をかけるわけで、要するに「苦しい」ではないか。
街中を颯爽と走るランナーを見るたびに、「あの人たちは頭のネジが飛んでいるのだろう」と冷ややかな目で見送ってきたわたしにとって、「走る」という行為はとんでもない自虐行為に当たる。
なぜ、苦しい状態を自ら維持しなければならないのか?なぜ、疲れると分かっていてその一歩を踏み出すことができるのか?——いくら考えてもわたしには理解できないのである。
おまけに、我が家にはかかとまでスッポリと覆える靴がない。要するに、すべてサンダルタイプの靴であるため、ランニングをしようにもそれ用の靴がないのだ。
まぁサンダルで走ってもいいのだが、走ることで発生するエネルギーに耐えうる設計となっていないことから、サンダルが無駄に摩耗したり破損したりするのも避けたい。かといって、裸足でアスファルトを蹴るのもリスクがある——あぁ、やはり無理なのだ。
ということで、ランニングという手段を選びたくても選べないことが確認できたわたしは、体内の水分を排出する手段を失った。
とはいえ、現在服用している薬剤やブロック注射の影響がなくなれば、汗や尿量も戻り体重のコントロールもできるようになるはず。というか、そうでなければ困るわけで——。
*
そんなことを考えながら、痺れる左腕と肩回りの激痛に悶えつつ、ぽってりと脂肪に覆われた腹の肉をつまむ哀れなわたしなのであった。




















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