何十年そして何十回と米国を訪れているわたしだが、未だに日本との「温度差」に新鮮な驚きを感じることがある。
その温度差とは、リアルに気温や湿度の場合もあるし、生活や文化の違いを指すこともあるのだが、今回の来米で驚かされたのは、血も涙も乾かしてしまうパッサパサの灼熱砂漠でもなければ、スタバでVenti(ヴェンティー)よりもデカいサイズであるTrenta(トレンタ)がバンバン注文されていることでもなく、ラスベガス在住の友人宅にあるマットレスとレッグピロー(足枕)が、なんとも絶妙なフィット感だった・・ということだ。
まさかこんな即物的なことで、アメリカの偉大さというか衝撃をしたためることになるとは思いもしなかったが、とはいえマットレスに横になってみると・・あらビックリ!! 日本で味わったことのない骨太な反発感が、我が肉体をしっかりと支えてくれるではないか。
その驚きと感動を自分の中だけに留めておくのは勿体なさすぎるため、こうして筆(?)を執った次第である。
ちなみに、「骨太」というといかにも硬そうなイメージになるので、どちらかというと「肉厚な重厚感」が近い表現かもしれない。床に置かれたそのマットレスは、低反発でも高反発でもなく体感的には「高反発に粘り気を加えてしっとりさせた低反発」のような、複雑かつ微妙な感触。
いかんせん、高・低双方の反発力を日々体感しているわたしにとって、この寝心地は「奇跡のサポート&ホールド力」でしかない。まるで硬い粘土とコンニャクをミックスさせたような、気張ることなく自然に身体が落ちていくフィット感——腰痛持ちのわたしにとって、こんなにも快適なゴロ寝が実現するテクスチャ(質感)は、生まれてこの方味わったことがない。
そして、マットレスだけでもこの驚きだというのに、さらなる感動と衝撃はレッグピロー(足枕)だった。正確には、レッグピローの「硬さ」が抜群をとおり越して完璧だったのだ。
じつはわたし、太ももの間にクッションを挟んで寝るのが習慣となっている。なぜなら、仰向けで寝ると反り腰と巨大なケツが悪さをして腰痛を発症するため、右か左どちらかを向いて寝なければならない。そのせいで、今度は「巻き肩」になるという悪循環なのだが、それでも腰が痛くて起きられないことを思えば、横向きに寝るほうがマシである。
そんなわたしの強い味方が、足に挟むクッションこと「レッグピロー」なのだ。
今までにもいくつかの商品を試してみたが、足を固定するゴムバンド付きでないと、いつの間にかクッションはどこかへいってしまうので意味がない。かといって、就寝中ずっと片方の足に密着しているのも蒸し暑い・・などなど、コントロールの観点からすると一長一短のものばかり。
しかも、どれも「妥協できる硬さ」というだけで、「これぞ神クッション!!」と称賛できるほどの逸品に出会ったことはない。まぁ、わたしが求める硬さを他人も好むとは限らないし、万人受けする商品を作り出すほうが難しいのはいうまでもないが、それでもなぜか「硬さ」しかり「挟み込む感」しかり、秀逸なレッグピローにお目にかかることはなかった。
ところが今日、まさに”完璧な足枕”と対峙したのである。
それは、まるで硬いはんぺんのような・・いや、分厚いちくわぶのような形状の不思議な物体だった。しかも、ここはアメリカであるにもかかわらず、表面を覆っているのはガーゼのような和風チックな木綿の布で、固定ストラップも付いていない単なる立方体。
そんな至極単純な商品であるにもかかわらず、筆舌に尽くしがたい絶妙な重さと固さに加え、足に吸い付くような「奇跡のカーブ」が、今まで挟んだことのない魅惑のフィット感を演出するではないか。
(こ、これならば何時間でも挟んでいられる!!)
わたしの太ももが、立方体の硬いちくわぶを挟んで離さない——寝返りを打とうが何をしようが、無意識に挟み続けられる摩訶不思議な仕様となっているからだ。
・・要するに、これがアメリカンドリームってやつか。
この国は、人々に夢を押しつける器のデカさがある。極東の島国・日本において、何度試してもお気に召さないマットレスやレッグピローが、いとも簡単に手に入ってしまうのがアメリカンドリームの実力。
そんな戯言を呟きながら、夢の世界へと旅立つのであった。











コメントを残す