先日、Uber Eatsの件で謝罪について考えた。人それぞれいろんな謝罪の仕方があるだろうが、謝罪について、
「相手にわかってもらおう」
というのが最悪な謝罪となる。
「とにかく私が悪うございました」
が、謝罪の正解だ。
こういえば相手も理解してくれるだろう、などといった愚かな考えは、謝罪の段階では切り捨てるべし。
なぜなら、相手は怒っているのだから。その怒りには、もはや理由などないわけで。とにかくその怒りを鎮めるべく、ひたすら純粋に謝罪をするのだ。
一つ、私が実践した素晴らしい謝罪の例を挙げよう。
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場所はJR池袋駅、山手線ホーム。射撃場へ練習に行く途中だった。でかいキャリーケースに銃を入れ、ガラガラと転がしながらの移動のため、まるで海外旅行者ばりの邪魔さ。
山手線はとくに乗車率も高く、池袋なんて乗降客数も多いため、みなさんにご迷惑をかけがちだ。
謙虚がウリの私は、池袋で降りる客の最後尾につき、迷惑にならぬよう静かに並んだ。
と、そのとき。
駆け込み乗車のサラリーマンと思しきオッサンが、ぶつかってきた。
念を押すが、オッサンが、駆け込んできた。
そして一言、
「チッ(舌打ち)、邪魔なんだよ」
(ほー、そんなこと言っちゃうんだ)
私は考えた。このオッサンは怒っている。私に対して怒ってる。ならば私は謝るべきだろう。
どちらが悪いか、は、この際どうでもいい。怒っている人相手に、このままこの場を立ち去ることなど私にはできない。
では、気分良く去るためにも私が謝ろうでわないか。
ガラガラと転がしていたキャリーケースを、電車とホームにかかるように静かに置いた(中身が中身なもんで)。
そして、山手線のホームで土下座した。
土下座した瞬間、
「大変申し訳ございませんでした!!!」
と、大声で謝罪してやった。
車内、ホーム、騒然。ターゲットのオッサンは、ギョッとした顔で振り向き、慌てて奥のほうへ逃げていった。
「大変、申し訳ありませんでした!!!!」
再度、私は大声で謝罪した。もう、私の周囲は見物客で包囲されている。山手線は、発車したくてもキャリーケースが横たわっているため発車できない。
車内の乗客が、例のオッサンを見る。その結果オッサンは居づらくなり、こちらへノソノソやってきた。
「もういいから行きなさい、迷惑だろう」
(そうか、私はオッサンに迷惑もかけているのか)
「ご迷惑をおかけして、大変、申し訳ありませんでした!!!!」
腹の底から声を出し、心の底から謝罪した。
「もういいから、さっさと行け!」
オッサンは私の銃が入った大切なキャリーケースを、蹴った。
(ほーぅ、そういうことするんだ。なるほどね)
スーー(息を吸う音)
うわぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!
私は久しぶりに大声で泣いた。いや、正確には泣き叫んだ。鼻水を垂らしながら、池袋駅に響き渡る声量で泣いた。
「ほ、ほんとぅに、も、もぅしわけあり、ありませぇぇんんん(鼻水)、うわぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!」
池袋駅、騒然。駅員も駆けつけ、どうしました?!とオロオロ。電車は遅延(悪いのは私じゃない)。
オッサンはあれこれ言い訳をするが、ホームに土下座で大泣きする女性と、片や上から見下ろす偉そうなクソジジィ、軍配は私に上がるに決まっている。
とりあえず、キャリーケースをホーム側へどかし、山手線は発車した。
残された私とオッサンは、駅員2人に事情聴取されることになった。私は先を急いでいた、射撃の練習に行くので。
とりあえず泣き続け、震える声で事実を説明した。「ノロノロしていたワタシが悪いんです。そのせいで、この紳士にご迷惑をおかけしたんです、ウゥ…」
するとオッサンが、
「まぁ私も言いすぎたんで、すみませんでした」
・・・はぁ?
「あのさぁ、謝るくらいなら舌打ちとかしてんじゃねーよ。テメーが前方不注意でぶつかってきたくせに、こっちのせいにしてんじゃねーよ。あのままアタシが倒れてやったら、テメーが傷害罪だぞ?とにかく、後で謝るくらいならはじめっから挑発的な態度とるな、腹立たしい」
そう正論をぶちかまし、私はその場を去った。追ってくるものは、いなかった。
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これぞ正に「謝罪の真骨頂」と言えるスッキリ謝罪だ。謝罪の結果、相手に「あぁ自分も悪かったな」と思わせることができたならば、それは「謝罪大成功」だ。
ときには大胆な手法で、お詫びの気持ちを示す必要もある。とくに、屋外の汚い地面に土下座は、インパクト大だ。土下座を敢行するコチラも、かなりの覚悟が試される。
ここはもしかすると、酔っ払いの吐瀉物があった場所かもしれない。はたまた、犬のウンコを踏んだ靴で電車を待っていたかもしれない。そんな危険地帯に両手をついて土下座をするのだから。
そして、反面教師として告げる。
いずれ「自分も悪かった」などと言うのであれば、はじめからキレるべきでない。
キレたのなら、最後までキレ続けるべきだ。
その我慢比べを、こちらはしているのだから。
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さて、当然ながらこんな話は嘘だ。こんな、基●外じみた行動をする人間がいるだろうか。いるはずがない。
ということで、謝罪させる相手は選べ、という、注意喚起の話でした。
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