謝罪の仕方、仕返しの仕方。

Pocket

 

先日、Uber Eatsの件で謝罪について考えた。人それぞれいろんな謝罪の仕方があるだろうが、謝罪について、

「相手にわかってもらおう

というのが最悪な謝罪となる。

「とにかく私が悪うございました」

が、謝罪の正解だ。

 

こういえば相手も理解してくれるだろう、などといった愚かな考えは、謝罪の段階では切り捨てるべし。

なぜなら、相手は怒っているのだから。その怒りには、もはや理由などないわけで。とにかくその怒りを鎮めるべく、ひたすら純粋に謝罪をするのだ。

 

一つ、私が実践した素晴らしい謝罪の例を挙げよう。

 

**

 

場所はJR池袋駅、山手線ホーム。射撃場へ練習に行く途中だった。でかいキャリーケースに銃を入れ、ガラガラと転がしながらの移動のため、まるで海外旅行者ばりの邪魔さ。

山手線はとくに乗車率も高く、池袋なんて乗降客数も多いため、みなさんにご迷惑をかけがちだ。

謙虚がウリの私は、池袋で降りる客の最後尾につき、迷惑にならぬよう静かに並んだ。

 

と、そのとき。

 

駆け込み乗車のサラリーマンと思しきオッサンが、ぶつかってきた。

念を押すが、オッサンが、駆け込んできた。

そして一言、

「チッ(舌打ち)、邪魔なんだよ」

 

(ほー、そんなこと言っちゃうんだ)

 

私は考えた。このオッサンは怒っている。私に対して怒ってる。ならば私は謝るべきだろう。

どちらが悪いか、は、この際どうでもいい。怒っている人相手に、このままこの場を立ち去ることなど私にはできない。

では、気分良く去るためにも私が謝ろうでわないか。

 

ガラガラと転がしていたキャリーケースを、電車とホームにかかるように静かに置いた(中身が中身なもんで)。

 

そして、山手線のホームで土下座した。

 

土下座した瞬間、

「大変申し訳ございませんでした!!!」

と、大声で謝罪してやった。

 

車内、ホーム、騒然。ターゲットのオッサンは、ギョッとした顔で振り向き、慌てて奥のほうへ逃げていった。

 

「大変、申し訳ありませんでした!!!!」

 

再度、私は大声で謝罪した。もう、私の周囲は見物客で包囲されている。山手線は、発車したくてもキャリーケースが横たわっているため発車できない。

 

車内の乗客が、例のオッサンを見る。その結果オッサンは居づらくなり、こちらへノソノソやってきた。

「もういいから行きなさい、迷惑だろう

 

(そうか、私はオッサンに迷惑もかけているのか)

 

「ご迷惑をおかけして、大変、申し訳ありませんでした!!!!」

 

腹の底から声を出し、心の底から謝罪した。

 

「もういいから、さっさと行け!」

 

オッサンは私の銃が入った大切なキャリーケースを、蹴った。

 

(ほーぅ、そういうことするんだ。なるほどね)

 

スーー(息を吸う音)

 

うわぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!

 

私は久しぶりに大声で泣いた。いや、正確には泣き叫んだ。鼻水を垂らしながら、池袋駅に響き渡る声量で泣いた。

 

「ほ、ほんとぅに、も、もぅしわけあり、ありませぇぇんんん(鼻水)、うわぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!」

 

池袋駅、騒然。駅員も駆けつけ、どうしました?!とオロオロ。電車は遅延(悪いのは私じゃない)。

オッサンはあれこれ言い訳をするが、ホームに土下座で大泣きする女性と、片や上から見下ろす偉そうなクソジジィ、軍配は私に上がるに決まっている。

とりあえず、キャリーケースをホーム側へどかし、山手線は発車した。

 

残された私とオッサンは、駅員2人に事情聴取されることになった。私は先を急いでいた、射撃の練習に行くので。

とりあえず泣き続け、震える声で事実を説明した。「ノロノロしていたワタシが悪いんです。そのせいで、この紳士にご迷惑をおかけしたんです、ウゥ…」

 

するとオッサンが、

「まぁ私も言いすぎたんで、すみませんでした」

・・・はぁ?

 

「あのさぁ、謝るくらいなら舌打ちとかしてんじゃねーよ。テメーが前方不注意でぶつかってきたくせに、こっちのせいにしてんじゃねーよ。あのままアタシが倒れてやったら、テメーが傷害罪だぞ?とにかく、後で謝るくらいならはじめっから挑発的な態度とるな、腹立たしい」

 

そう正論をぶちかまし、私はその場を去った。追ってくるものは、いなかった。

 

**

 

これぞ正に「謝罪の真骨頂」と言えるスッキリ謝罪だ。謝罪の結果、相手に「あぁ自分も悪かったな」と思わせることができたならば、それは「謝罪大成功」だ。

 

ときには大胆な手法で、お詫びの気持ちを示す必要もある。とくに、屋外の汚い地面に土下座は、インパクト大だ。土下座を敢行するコチラも、かなりの覚悟が試される。

ここはもしかすると、酔っ払いの吐瀉物があった場所かもしれない。はたまた、犬のウンコを踏んだ靴で電車を待っていたかもしれない。そんな危険地帯に両手をついて土下座をするのだから。

 

そして、反面教師として告げる。

いずれ「自分も悪かった」などと言うのであれば、はじめからキレるべきでない。

キレたのなら、最後までキレ続けるべきだ。

 

その我慢比べを、こちらはしているのだから。

 

**

 

さて、当然ながらこんな話は嘘だ。こんな、基●外じみた行動をする人間がいるだろうか。いるはずがない。

ということで、謝罪させる相手は選べ、という、注意喚起の話でした。

 

Pocket