不法侵入の目的は、涼しい屋内で弁当を食うことだった中国人たち

 

多くのマンションは、エントランスにオートロック機能が付いている。

そのため、来訪者は訪問宅から操作をしてもらうことで建物内へ入ることができる。

 

たまに私もやるが、来訪客がエントランスを開錠してもらった際にくっついて侵入する。

当たり前だが、ドアが閉まるのを待ってから自らの鍵で開錠するなんてばかげている。

あとエレベーターも1基しかないため、その人が上層階へ行くと無駄に数分間待たなければならない。

 

その無駄を省くため、見知らぬ誰かが入るタイミングで私も侵入する。

 

これが許されるのは、居住者だけだ。

 

なぜなら居住者は己で鍵を所持しており、誰かに開錠してもらう必要はないからだ。

これが赤の他人や業者の場合、不法侵入にあたる可能性がある。

 

*

 

いまから2週間前の出来事。

 

連日フル活用の Uber Eats、さらにサブスク登録もしたため注文しまくっている。

 

そんなルーティンイーツがその日も届いた。

 

インターホンが鳴り、モニター越しに配達員を見る。

 

「ウーバーイーツでーす」

 

確かにウーバーイーツの配達員が立っている。

しかし彼の周囲から背後にかけて、10人以上の見知らぬ男女も立っている。

 

(誰だこいつら)

 

私は一瞬、迷った。

いま開錠すれば、この見知らぬ男女らも建物内に侵入するだろう。

 

しかし、開錠しなければ食料が私の元へ届かない。

いや、もしかするとこの男女らは順番を守り、訪問宅のボタンを押すかもしれない。

 

何より私は腹が減っていた。

そして迷いながらも「開錠」ボタンを押した。

押すと同時に、後悔が襲った。

 

「%#)~($|~’&%?>_!*}=」

 

「<=>)”=|&’%#$<*>_?」

 

確信は持てなかったが、かなりの確率でそれは中国語だった。

 

なぜ分かるのか?

 

それは、大学の第二外国語で中国語を選択し、出席回数が足りないにも関わらず「優」を手に入れた私だからだ。

 

 

そして私がエントランスを開錠した瞬間、ウーバーイーツ配達員よりも先に中国人らが侵入してきた。

 

モニターには配達員の後頭部が映っている。

配達員を押しのけ大騒ぎしながら、10人ほどの中国人がドヤドヤと侵入する。

結果的に一番最後に配達員がマンション内へ入った。

 

 

――マズイな

 

 

率直にそれしか考えられなかった。

あいつらは誰かの家を訪問するわけではなさそうだ。

ということは今頃、ウーバーイーツ配達員は刃物を突き付けられ、奴らと一緒にエレベーターに乗せられたろう。

 

そして私の部屋のドアが開くと同時に乱入し、金品を奪って逃げる、いや、住み込むかもしれない。

 

これはどう考えてもマズイ。

 

事を荒立ててはならない。

銃や刃物など使わず、穏便な武力行使しかないだろう。

 

普段は決してすることのないバービースクワットを20回行った。

軽くパンプさせた状態で、私はその時を待った。

 

 

――玄関のチャイムが鳴る

 

催涙スプレーや催眠ガスを浴びせられたら元も子もないので、サングラスにマスク着用で慎重にドアを開けた。

 

「お待たせしましたー」

 

「あれ、一人?」

 

「はい、マジでビビりました・・」

 

「あいつらはどこいった?」

 

「エレベーターホールに座り込んで、弁当食いはじめましたよ」

 

「は??」

 

「いやー、マジ怖かったっす!」

 

そして配達員は、エレベーターではなく非常階段を使い消えていった。

 

 

――いま一階へ行けば、中国人らがたむろって弁当を食っている。

果たして「シッシッ」と追い払ったところで、奴らが動くとは到底思えない。

むしろ逆上し袋叩きにあうかもしれない。

 

 

配達員から受け取った食料を貪りながら、私は考えた。

考えながらもめんどくさくなり、時は過ぎた。

 

それから1時間半が経過。

そろそろジムへ行く時間なので、準備をしてエレベーターを降りた。

 

エントランスには当然、誰もいない。

それどころか、エントランスに置いてあった観葉植物が消えている。

しかしこれは中国人襲来前から無かった可能性もあるので、触れずにおく。

 

*

 

私は機が熟すのを待った。

 

――奴らは再び現れる

 

待ち構えながら2週間が過ぎた。

もちろん、連日 Uber Eats を注文し続けた。

 

奴らはきっと、配達員が背負ってるバッグを見て判断しているはず。

そして配達員の後をついていけば、必然的にマンション内に侵入できることを知っているのだ。

 

思うに、その辺のオフィスや大型店舗でも同じことをしていただろう。

しかし、そういう施設にはガードマンが配備されているため、あえなく撃退されたのではなかろうか。

 

――犯人は現場に戻る

 

この法則を信じ、2週間待ち続けた。

 

 

「こんにちはー、ウーバーイーツでーす」

 

インターホン越しに、ウーバーイーツ配達員が映る。

その後ろに、3~4人の人影が。

 

(つ、ついにキター!)

 

ドアは開けず、モニター越しに中国人一味を確認すべく食い入るように見た。

 

そのうちの一人が、私の部屋番号が書かれているポストへ紙きれを投函しようとしている。

 

「あーーー!!!ちょっとまって!!!」

 

私はインターホン越しに叫んだ。

ウーバーイーツ配達員も、紙きれを投函しようとした男性も、残りの人影も、ビクーッと振り返ってモニターを見た。

 

「佐川さんだよね?いま部屋にいるから持ってきて!

あと、うしろの郵便局さん?ウチに何か届いてない?

そのうしろは誰?アマゾンさん?ウチあるよね?

全員まとめて上がってきて!」

 

すると郵便局が、

 

「あ、ウチは今回ありません!」

 

アマゾンは、

 

「一つあります!」

 

――このように、日本人は不要に侵入などしないのだ。

 

ということで、今回の団体さんは残念ながら弁当の中国人ではなく、仕事中の日本人だった。

 

*

 

不法侵入の中国人は許せないが、この暑さのなか、外で弁当を食べたくない気持ちも分からなくはない。

 

だが、ウチのマンションでピクニックをするのは勘弁してくれ。

 

 

イラストは今回も希鳳さんでした!ありがとう!

2件のコメント

110番通報
「私は銃所持者、中国人に襲われるかも」
と言えばパトカー10台は駆けつけてくれる。

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