もしネパ🇳🇵

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「ライスはイラナカッタデスカ？」

ネパール人が不安そうな顔で覗き込む。

「いや、これから食べるよ」

グリーンカレーに浸されたチキンを、先割れスプーンでちぎりながら答える。

「カレーとイッショニ、タベナイデスカ？」

驚いた表情のネパール人。

「うん。ライスはライスで食べるよ」

変な質問だな、と思いながらも返事をする。

「ウヒャー、ソウデスカ」

ウヒャーって何だよ、ウヒャーって。

＊

わたしの食事方法には２つのクセがある。

一つは「食べたいものから食べる」で、もう一つは「それが食べ終わるか食べ飽きるまでは、他の食べ物に手をつけない」というものだ。

つまり、食べたいものを完全に食べ切るのが”わたし流”。

先日、しゃぶしゃぶ食べ放題の店へ行ったときのこと。

わたしは「豚バラ」が好きなので、それ以外は注文しない。よって豚バラの無限ループとなる。

さらにタレはポン酢。10回に1回くらいごまだれを挟んでもいいが、ごまだれはなくても構わないし使わなくても支障はない。

しゃぶしゃぶ食べ放題では、

「豚バラ10皿」

といった感じで一気に豚バラを注文をする。

食事を共にする仲間がいても、わたしの豚バラがそちらへ行くことはない。あくまで、わたしの豚バラを注文しているからだ。

このように、好きな食べものについてはシビアに線引きさせてもらっている。

思い出に残るのは寿司屋での出来事。

わたしは「炙る系」の寿司が好きで、中でも「炙りサーモン」が大好物。メニューにそれがなくても、炙る系の寿司とサーモンが置いてある店ならば「炙りサーモン」は完成する。

とある個人経営の寿司屋で「炙りサーモン」を注文してみた。

「すみません、メニューにないんです」

板前さんに謝られる。

「じゃあサーモンを、そこにあるバーナーで軽く炙って」

わたしが提案する。数分後、その店で初となる「炙りサーモン」が目の前に置かれた。

その後、

「すいませーん」

わたしが声をかけると、注文前でも板前さんがバーナーを握るという、暗黙の了解による意思の疎通が実現するようになった。

おかげで、炙らない寿司を注文できなくなったのは自業自得。

このように、好きなもの、食べたいものから食べる習性のあるわたしは、バランスよく味わうという感覚に欠けている。

よって、その時点で食べたいと思うものから先に食べるので、一般的な「食事の順序」などはまったく無視。

よく言われるのは、

「デザートから先に食べるの？！」

という発言。

当たり前だ。

では逆に尋ねるが、仮にいま大地震に襲われたとしよう。そして楽しみに取っておいたデザートを、味わうことなく逃げなければない、あるいは味わうことなく死んだとして、後悔はないか？

わたしはいつ死んでもいい覚悟で食事をしている。

このデザートさえ食べられれば、何が起きても悔いはないーー。

そのためにも、食べたいものから先に食べるのだ。糖の吸収だのなんだの、言ってるヤツに限って太っていたり、不健康だったりする。

わたしはわたしの食べ方で、心も体も「健康」を維持するのだ。

＊

「え？そのご飯、なにで食べるんですか？」

行きつけのしゃぶしゃぶ屋の店員に聞かれる。

「え？米だけで食べるよ？」

ここの米は非常に美味い。魚沼産コシヒカリをふっくら焚き上げており、おまけに「まんが日本昔ばなし」バリの山盛りで提供してくれるのだ。

「米だけでよく食べられますね」

「だって、この店の米うまいじゃん」

「おお！ありがとうございます！」

そんな会話をしながら「豚バラ」からの「白米」で完食。セットで付いてくる野菜は友人へと回った。

豚バラが好きなので、豚バラだけで楽しみたい。そして白米も好きなので白米だけで味わいたい。

それをわざわざ混ぜて食べるなど、もったいなくてとてもできない。

先日食べたマリリンの餃子もそうだが、

「米と一緒に食べると美味いよね」

とはならない。

米と食べると美味いのは、それ単品では美味くない、または味付けが濃いため「米の力」で補っているからだ。

本当に美味いものは単独で十分美味いし、他の食べ物と一緒に食べたいとは思わない。

とにかく米好きのわたしは、米だけで味わいたいので「おかず」には遠慮してもらう。

あ、TKGだけは別だが。

＊

というわけで、ネパール人もびっくりの「インディカ米を単独で楽しむ日本人」は、このわたし。

ーーもし社労士のURABEがネパール人の『グリーンカレー』を食べたら

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