わたしは特異体質なのか、あまり喉が渇かないというか水分を摂取しない傾向にある。
柔術の練習の際も飲み物は持参せず、どれだけ汗をかいても「喉が渇いた」と感じることはない。よって、塩分過多の時だけ水を欲するというのが、我が体内の水分事情なのである。
(とはいえ、その代わりといってはなんだがカフェでコーヒーを5杯も6杯も注文するのだから、そこで十分に水分摂取ができているのかもしれないが)
さらに、それだけ大量のカフェインを取り込んでいるというのに、トイレの回数が少ないのも特徴。少ない日は「一回もトイレにいかない」というくらい、昔からトイレが遠かった。
そんなわけで、日頃からペットボトルなど持ち歩く習慣のないわたしではあるが、いざ砂漠気候の砂丘へ向かうとなれば、それはさすがに話が別である。
砂漠といえばカラッカラに乾燥したエリアであり、知らぬ間に水分が蒸発して干からびて死ぬ・・というのが通説。そのため、喉が渇こうが渇くまいが定期的に水分補給をするのが常識。
そして、さすがに異国の地で脱水症状や循環不全で死ぬわけにもいかないわたしは、ラスベガス市内を抜けた辺りにあるガソリンスタンドで、同敷地内にあるコンビニエンスストアへ入り飲み物を購入することにした。
やはりというかなんというか、ここはアメリカ。陳列されたドリンクは、どれも体に悪そうなカラフルかつ大容量なものばかりで、「誰がこんな毒々しいものを飲むんだ?」と眉をひそめるラインナップゆえに、結局のところ水しか選べる商品はなかった。
(にしても水の種類がすごいな。ビタミン入り、プロテイン入り、なんかよく分からない成分入り・・)
最終的に、わたしは緑と赤のカラーリングのおそらくスイカ味の水を購入することにした。まぁ、単なる水よりもアメリカっぽくていいだろう。
そして、どんな味なのかを確認しようとペットボトルのキャップを外そうとした瞬間——え、わたしいつ開けた?!
未開封の証である改ざん防止キャップが、もうすでに開いていたかのような軽い手応えでだったのだ。
(まさかの開栓済みだったのか・・いや、そんなはずはない。詳しく見てはいないが、少しでも隙間があれば違和感を覚えるはず。だが、そういった異常は感じられなかった)
念のため、今一度キャップを閉めて様子を確認してみたところ・・なんと、購入前とまったく同じ風貌に戻ったではないか。
その理由はこうだ。改ざん防止のためのリングと、キャップの間をつなぐ突起があまりに短くて細いため、勢いよく捻ると手応えが感じられない。しかも、キャップを戻してみても突起が小さいせいで、元からこうだったのか開栓後にこうなったのかが判断できない。
よって、このまま陳列棚に戻しても新品同様の商品として、違和感なく居座ることができる・・というわけだ。
(これはマズいぞ。もしも毒物が混入していた場合、砂漠で干からびて死ぬ前に毒で死ぬことになる。かといって、毒入りだと決定しているわけでもない開栓済みの水を、別の商品と交換してもらうのは難しい。それよりなにより、もすうでに車は出発してしまっている。この先、砂漠に着くまでの間にコンビニやパーキングエリアはない。となると、この毒入りかもしれない得体のしれない水を飲むしか、わたしが生き残る術はない・・ということになる)
なぜもう少し慎重にキャップを捻らなかったのか、それ以前になぜもっとしっかりキャップとリングを繋ぐ突起を確認しなかったのか、己の危機管理能力の乏しさに辟易とする。
これは言わば、平和ボケの国・日本でぬるま湯に浸かって生きてきたわたしが、銃社会かつ差別が当たり前に横行するバイオレンス国家・米国の洗礼を受けた、ということか。
だが、それにしても今回の渡米中、ボトルウォーターと何らかの因縁があることが、ちょっと面白い。あの「コウスケ(仮名)が汲んできてくれた水」と、この「未開栓か確証が持てない水」、一体どちらがより安全なのだろうか——。
とはいえ、生きて日本へ帰国したことからも、あの水は未開封かつ毒の混入などない、正真正銘「安全な水」だったわけだが。
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ボトルウォーターを飲む際には、細心の注意を払う必要がある・・ということを、身をもって覚えさせられた二週間だった。











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