マイナンバー制度が始まって以来、個人を番号で管理をする上での利便性をまったく感じられなかったわたしは、ここへきて初めて「そうあるべきだろう」と(今更ながら)感心する出来事に遭遇した。
そもそも、社労士の仕事は日々個人情報を管理するようなものなので、その一環として官公庁への申請業務が頻繁に行われるのは言うまでもない。しかもその都度、ほぼ例外なくマイナンバーを入力しなければならないため、氏名・性別・生年月日・マイナンバーの4点セットは絶対的な存在なのだ。
そんな屈強な”四天王”を携えて——しかも、それを行政側から指定してきたにもかかわらず、電子申請の際に生年月日や住所の相違、はたまた氏名の読みが違っていたりすると、問答無用で突き返してくるから納得がいかないのである。
なぜなら、生年月日の相違は明らかに入力ミスであり、生まれた後で「生年月日が変更になりました」なんてことにはならないわけで、どう考えても最終入力者である「わたし」か、わたしへ連絡をしてきた「企業側」の誤記でしかない。
そして、マイナンバーを入力しているからこそ、住民登録データと突き合わせた結果「生年月日が違う」と判明したのだから、だったら正しいデータに訂正してくれればいいじゃないか。
なお、氏名の読み方についても同じで、企業の担当者が「一般的にはこう読む」とか「普段こう呼ばれているから」ということで、本人に確認せず”一般的なフリガナ”を振ってみたところ、実際には異なる読み方だった・・といった場合に相違が発覚するのだが、これも登録データに訂正してもらって構わない。
とはいえ、こちらはちょっと一筋縄ではいかない事情もある。令和5年6月2日に、戸籍法(昭和22年法律第224号)の一部改正を含む「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律」(令和5年法律第48号)が成立し、同月9日に公布されたことで、従前は氏名のフリガナについて戸籍上公証されていなかったものが、今後(令和7年5月26日施行)は、戸籍の記載事項に「氏名のフリガナ」が新たに追加されることとなったのだ。
そんなわけで、公的にフリガナが登録されるようになったのが最近であるため、それ以前はフリガナの確認は本人自らが証明(金融機関のキャッシュカードやディプロマなどを使って)しなければならず、結構大変だったのを思い出す・・。
加えて、申請時に記入した住所の相違についても、本人が会社へ申告している住所と住民登録上の住所が異なる場合に起こるのだが、そんな申し出など無視して住民登録されている住所を優先すればいいではないか。
もしも、本人が主張する住所で登録をしたいのならば、当の本人が役所へ出向いて住所変更の手続きを行えばいいわけで、未登録の住所を優先してやる義理などどこにもないのだから。
いずれにせよ、本人の申し出などフル無視して、あくまで住民登録データに収録されている情報を優先すればいいのだ。それなのに「登録データと異なる場合は、それを証明する資料を添付して再申請してください」というのは、さすがに意地が悪い。だったら、まずは住民登録を修正させればいいし、そうなればマイナンバーから最新の正確な情報が拾えるわけで、それこそそちら(行政側)で訂正できるではないか。
それなのに、日本年金機構は電子申請の内容に相違があるたび「登録データと相違があるので返戻します」といって、一瞬で訂正できるであろう些末な誤記を許さず、わざわざ突き返してくるのだ。
(ミスを発見し指摘し、それを修正することなく突き返して再申請させる・・いったい何のためのマイナンバーなんだろうか)
最終的には、住民登録された情報に訂正して再申請するのだから、ならばそちらで訂正してくれればいいじゃないか。正しい情報が見えているのならば、自動的にそちらに合わせればいいだけのこと。それなのになぜ、戒めなのか嫌がらせなのかは分からないが、申請自体を突き返す行為というのは、冗談抜きで時間の無駄でしかない。
人為的な入力ミスを減らすために、マイナンバーを提出させているのではないのか? それとも、相手のミスを指摘して嫌がらせをするのが目的なのか——?
ところが、労働局(ハローワーク)は違った。
「〇〇さんの生年月日が違っているのですが、こちらで訂正しても大丈夫でしょうか?」
このような電話がかかってきたのだ。それは、わたしが誤った生年月日で申請したことを告げるものだが、それと同時に向こうで訂正してくれる・・すなわち、返戻せずに審査を継続してくれるという、まさに天の声だった。
電話という手段は、タイミングの問題があるので推奨できない——なんて嫌味を言っている場合ではない。取り付く島もなく返戻されることを思えば、百億倍感謝すべき内容の電話に歓喜したわたしは、ハローワークこそが人類の希望であるかのように思えた。
あぁ、ハローワーク側で訂正してくれるとは、なんとありがたく尊い話だろうか!!
(そうだ・・これこそがマイナンバーのあるべき姿、あるべき使い方なんじゃないか)
保守的というか時代遅れというか、旧態依然を地で行くような日本年金機構は、ぜひとも新たな息吹を感じさせるハローワークを見習ってもらいたいものである。










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