愚痴を少々

 

かつてわたしは・・といってもわずか4カ月前のことではあるが、今となっては幻(勘違い)と化した「ぽっこりお腹と内臓脂肪」を除去するべく、意を決してダイエットに挑んだ。その意気込みたるや相当なもので、すぐさま有料のダイエットアプリをダウンロードし、口へ入れた食べ物すべてを噓偽りなく記録するという本気モード。

おまけに、体を動かすことが嫌いなわたしは「運動せずに痩せる」というコースを選んだため、当然ながら一日の摂取カロリーは1330キロカロリーという超控え目な数字に設定された。まぁ当然といえば当然のことなので、我が人生初となる自炊——といっても、出来上がったのはどう見ても立派な「馬のエサ」ではあるが、とにかく食材をレンジで加熱するという調理方法を用いて、低カロリーかつ満腹になる食事を作り続けたわけだ。

 

しかしながら、ここからが都市伝説の始まりとなった。ダイエット開始前までのわたしの食生活はといえば、チーズケーキをホールで食べたり一食で白米を3合食べたり、一般人としてはどうかしているレベル。そしてカロリーを計算してみたたところ、多い日で6000キロカロリーを超えており、まさに力士さながらの摂取量だった。

そんなわたしが、日々1300キロカロリー程度の細々とした食生活——しかも、量は多いにせよ食材は野菜とキノコのみ、味付けは一切なしという究極の馬のエサを食べ続けたならば、体重は激減するに決まっている。誰がどう見ても、かつての暴飲暴食がこれっぽっちの貧相な食事内容になったのだから、体内で変化が起きて然るべきなのだ。

 

にもかかわらず、ダイエットという名の苦行を2カ月・・いや、3か月続けたにもかかわらず、わたしの体重は1キロも変わらなかった。いやいや、むしろ1グラムも変わらなかったのだ。

 

こんなバカげた話があるだろうか?! だったら、暴飲暴食を続けるほうがマシではないか?! いかんせんわたしにとって、食べることこそが人生におけるもっとも有意義かつ満足できる行為であり、それを我慢してまで挑んだ苦行の末に「変化なし」では、さすがにいたたまれない。

そんなこんなで、この無意味なダイエットを続けるか否か迷っているうちに、二年に一度の大イベントであるピアノの発表会を迎えることとなった。当日は、多くの友人らが会場に集いわたしの拙い演奏に耳を傾けてくれたのだが、その際に「ご褒美」としてたくさんの食べ物を与えてくれたのだ。

具体的には、焼き菓子やロールケーキ、抹茶チョコレート、抹茶キャラメル、カラフルなマカロン、生食パンやクロワッサン、栗おこわなどなど、菓子やパンといった炭水化物が中心となるハイカロリーな食べ物が山積み。さらには、食品サンプルと見間違うほど美しくも巨大な手作りプリンや、一斗缶の半分のサイズに煎餅が詰められた地方土産など、「5人家族で美味しくいただきました」という量の差し入れも——。

 

これを受けてわたしは、友人らの熱い想いに感謝しつつ、手に入れた大量の菓子を貪り食った。

中でも「生もの」は早めにやっつけなければならないため、プリンや生クリーム系を先に平らげつつ、好物の抹茶系に舌鼓を打つ。その後、パンでお口直しをしてからマカロンをつまみ、甘くなった口の中を煎餅の塩味で調整したら、つい先日克服したばかりのあんこを頬張る——。

そんな幸せなひと時について振り返ってみると、なんと、軽く見積もって1万キロカロリーを超える摂取量であることが発覚。こ、これはもしかすると、人生初の超ハイカロリーな一日なのではなかろうか。

 

この日を境に、わたしの体重はキッチリ2.5キロ増えるようになった。当然ながら、食べる量も1300キロカロリーなどという数字はどこ吹く風で、大好物のパン(一斤)やおにぎり(10個)を満足いくまで貪るようになった結果、わたしの体重は見事に増加したのだ。

——ていうか、おかしくないか?

なぜ、3か月もの長きにわたる1300キロカロリー制限ダイエットでは、誤差すら生じることなく体重は維持されたにもかかわらず、普通に食べたら食べただけ体重が増えるというのは、もはや「バカげた話」では済まされず、言ってしまえばある種の「詐欺」だろう。

 

「リバウンドしちゃった、テヘ!」ではない。むしろ、リバウンドすらしていないんだから笑えない。1グラムも痩せることなく苦行を続けたあげくに、ちょっと食生活を元に戻したらその分が確実に体重増加へとつながる・・なんて意味不明なことになるならば、最初からダイエットなどしなければよかったではないか。

 

 

やり場のない怒りと絶望に苛まれる、哀れなわたしなのだ。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です