消えかけた電球が伝えたかった真実は、想像以上に恐ろしいものだった

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打ちっ放しのコンクリートでできたオシャレデザイナーズマンションを名乗りながらも、中身はとんでもない欠陥だらけ・・という、とてつもなく見栄っ張りなわが家で、またしても不穏な事態が発覚した。

いや、むしろこれは転居以来最大かつ最悪の事態なのかもしれない——。

 

 

事の発端は、数日前から洗面所の電気が薄暗くなったことだった。電球の交換が必要かな・・と思いながらも、まだ完全に消えたわけではないので放置していたところ、いよいよ薄暗いどころか”ほぼ暗い”状態までトーンダウンしてしまったため、しぶしぶ天井に埋め込まれた電球を確認することにしたわたし。

だがなぜか、天井に沿うように透明な照明カバーが設置されており、そのカバーが皿ネジで頑丈に留められているのだ。そして、四か所のネジを外さなければ透明な板をずらすことができず、それをしないと電球のサイズすら確認できない仕組みになっている。

(たかが照明ごときで、なんでこんな大層な作りになってるんだ・・)

天井から落下するにしても、小さなガラス板一枚くらい大した重さではないし、仮に留めるとしてもここまで立派な皿ネジで固定する必要などない。ではいったい、なんのためにこんな仰々しいことを・・・ハハーン、さてはお得意の「見栄っ張り」が発動されたのか。

 

そんな妄想に耽りながら、一つずつネジを外していったところ——うわわわわっ!!!事もあろうか、突如、天井から大量の水が降ってきたのだ。

(ちょっと待て・・わたしは電球を交換するべく照明カバーのネジを外していただけ。そして、うすぼんやりとだが現に電気はついているわけで、照明カバーの内側に大量の水が溜まっているというのは、いったいどういうことなんだ?!)

まったく意味不明だが、天井に埋め込まれた電球の回りに大量の水が溜まっており、その水のせいで光度が下がっていた模様。しかもこの水、異臭を放っているではないか——。わが家はペントハウス階にあり、すなわち最上階の部屋のはず。それなのになぜ、異臭を放つ水が溜まっているのか・・・まさか、雨漏り?

 

もはや考えられることといえば雨漏りしかない。つまり、屋上に大きな亀裂か穴が開いており、そこから雨水がしみ込んでわが家の天井裏に溜まっているのだ。とはいえ、ここ数日で雨は降っていないため、先週あたりの降雨の影響だろう。それが溜まりに溜まって、照明の埋め込みスペースにまで浸水してきたのだ。

——これならば合点がいく。だが仮にそうだとして、わたしはどうすればいいというのか。照明の光度が落ちているのは、もしかするとこの水のせいかもしれない。たしかに、電球の寿命が近づいてきたのならば、もう少し違う暗さになるはず。うまく説明できないが、もっと命が尽きる感じの儚さを放つはずだからだ。

それに比べてこいつは、どこか緑っぽい暗さでまるで海の中にいるような・・なんと、これこそが答えではないか!!

 

よくよく考えてみると、トットットットと人間が歩くような音や、地震の際に家屋が軋むような音が、ここ最近屋根裏から聞こえていた。誰かが侵入しているとしても、これだけ大きな雑音を立てるとは間抜けな野郎だ・・などとバカにしていたわけで、まさかその正体が水だとは思いもしなかった。

今となっては、どうせならあの異音が人間の仕業であってほしいと願ってしまう。なぜなら、あれだけの音を生み出したのが大量の水だとすると、わが家の天井裏はリアルにプール化しているはず。それすなわち、命の危険すらあるわけで——。

 

 

最悪の事態・・つまり天井が崩落して部屋中水浸しになるリスクに備えて、スーパーのレジ袋にパソコンを避難させるなど、本来ならば不要な防水対策に苦慮する夜更けなのであった。

(マジで家賃下げてくれ・・)

 

Illustrated by 希鳳

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