失念の彼方

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ここ数日、立て続けに起きたトラブルの原因は、いずれもSNSが元凶だった。おかげでどれほど無駄な時間と手間を費やしたことか。とはいえ、いずれも自分自身のミスなので猛省しきりである。

プライベートでの連絡手段としてだけでなく、仕事上でもかなりの割合で使用されるSNS。相手と一対一でつながる以外に、グループを作ることで情報共有ができたり、オンラインミーティングが開けたりと、使い勝手が良いからだ。

もちろん、メールによる伝達が使用頻度としては圧倒的に高いが、たとえばちょっとした質問やアドバイスを求めるとき、わざわざメールを送るのも憚られる。たとえば、

「これって、なんて読むの？」

と、読めない漢字のスクショと共に、こんなメッセージを送れるのがSNSのいいところ。そう、スクショが簡単に送信できるというのも、スマホとSNSの相性がいい理由の一つだろう。

誰かとのやり取りをいちいちコピペしなくても、その画面のスクショを共有することで、一瞬で状況把握ができるからだ。

さらにSNSでのやり取りは「チャット」に近い手軽さのため、会話の流れを汲みながら進めることができる。

たとえば、ナーバスな問題について対話形式で確認したい場合。メールだと、短い質問だけでは本文の空間が広すぎて、妙な疎外感が生まれる。さらに送受信の時差がやり取りの流れを止めてしまうので、相手の心情を察しにくい。

その点、LINEなどのSNSならば視覚的にも対話の流れが維持できるので、相手を配慮しつつ質問を続けることができる。

しかし、SNSだとついつい会話が弾んでしまい、要点を確認した後に別の話題へと流れてしまう危険性がある。また、過去の話題を飛び飛びで引っ張り出すこともできるので、結論を見逃す恐れもある。

「前にLINEでやり取りしたよね？」

そう言われて、私は慌てて過去のやり取りを漁った。たしかに半年前、その議題について協議した履歴がある。しかし結論に至るまでに何十回ものやり取りがあり、最終的にどうなったのかがいまいち分からない。

（こんな雑なやり取りで私に責任を押し付けられたら、たまったもんじゃない！）

苛立ちを抑えながらも日付を進めると、その一週間後に新たな展開があった。そしてこれこそが、今回私がミスをした事案の最終決定だった。

たしかに結論は出ていた。だが私にはこのやり取りの記憶がない。というか、タイムリーにやり取りに参加していなかったため、後からざっと流し読みをしたのだ。そのため、結論が記憶に残らなかったのだろう。

あの時、議事録代わりにメールで共有しておけばよかった。最悪、メールならば未読のまま置いておくことができる。そうすれば今回、期日が到来した時点で未読のメールを開けば、ミスをすることもなかったわけで。

――後悔するも時すでに遅し。申請の取り下げやら訂正やらに追われることとなった。

「このまま上にスクロールすれば、出てきますよ！」

こちらは、別のクライアントとのやり取り。しかしどんなにスクロールしても、当時のやり取りが出てこない。もしかしてメールでやり取りをしたのか？とメールを検索するも、やはり該当しない。

――いったいなぜ？？

しばらくして理由が分かった。あの時、私はパソコンでMessengerを開いていた。そのため、パソコンのブラウザでなければ、あの日のやり取りを確認するとはできないのだ。

しかし今、手元にはスマホしかないわけで、どんなに探しても出てくるはずがない。すると先方が、当時のやり取りをスクショしてくれた。

（あぁ、間違いなくやり取りをしている・・・）

分かってはいるが、なんともやるせない気持ちでいっぱいになる。やはり確認が必要な事案については、便利だからと手を抜かず、メールでのダブルチェックを怠らないようにしなければならない。

そんな当たり前の「タスク管理の重要性」を、今さらながらに思い知らされたわけだ。

そういえば友人がこんな話をしてくれた。

「パッと思いついたことは、すぐにメモしなければならない。なぜなら、考えてたどり着いた答えではないから」

最初にこの言葉を聞いた時、私にはピンとこなかった。だが続けて理由を聞くと、なるほど、得心が行った。

「考え抜いた末にたどり着いた答えは、忘れることがない。それは自分で導き出した答えだから。でも、パッと閃いたものは自分の考えじゃないから、時間が経つと忘れてしまうんだよ」

たしかにその通りかもしれない。その時点では超ナイスアイディア！だが、ちょっと他のことをした隙に忘れてしまった、なんてことはよくある。

人間は忘却の生き物だからこそ、自分自身のタスク管理を徹底しなければ、いずれ信用を失うのだろう。

サムネイル by 希鳳

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