この世にはデジタルタトゥーなるものが存在するが、そうでなくても自身が写った写真でインターネット上に残る可能性があるならば、加工までする必要はないにせよ最大限のクオリティを維持した画像であってほしい・・と思うのは、誰しもが考える当然の願いだろう。
そして、年に一度の記念すべき大会、しかもアメリカで開催されるマスター世代の世界大会という、ビッグな晴れ舞台で優勝したにもかかわらず、わたしはものすごく悶々とした気分でいる。
なぜなら、写真に写るわたしの髪形が、どれもこれも試合直後のボサッとした無造作ヘアのままで写っているからだ。
ただでさえ、全頭ブリーチ(フルブリーチ)のせいで「輝くトウモロコシ」だというのに、それがまるで大型のヘルメットのように頭上に乗っかっているのだから、誰がどう見てもおかしいのは言うまでもない。
にもかかわらず、当の本人はすまし顔でちょこんと表彰台の真ん中に立っているのだから、「うぬはバカか?!」と全力で突っ込みたくなるほど滑稽極まりない。
あぁ・・やはり出掛ける前にシャンプーとトリートメントをするんだった——。
わたは今朝、大きな選択ミスをした。
出掛ける前にシャワーを浴びた際、久々にシャンプーで髪を洗おうかどうしようか迷ったのだが、最終的に面倒くさくなってやめたのだ。そして、「だったらトリートメントも(面倒だし)やめよう」ということになり、ブリーチで傷んだ髪の毛に対してなんのケアもしないまま、ただ髪の毛を濡らすだけで済ませたのである。
しかも、シャンプーを使わないこと約一週間。天然のオイルにより髪の毛はゴワつき、変な癖がついたら手で直さない限り元には戻らないという、最悪のコンディションとなっていた。
とはいえ、ファッションを自慢するためにアメリカへやって来たわけではない。こちとら一人のサムライとして、腹切り上等!のマインドで異国の地へと乗り込んだわけで、見た目なんぞにかまけている暇はない。
このように考えをまとめた私は、持参したサロン専用シャンプーとトリートメントを元に戻し、穏やかな気持ちで会場へと向かったのである。
その結果が、コレだ——。
チームメイトが撮影してくれた写真の数々に目を通すも、どれもわたしの頭はボワっとデカくなっており、端的にいうとダサい。せめて手櫛で整えるとか、片耳にかけるとかすればよかったものを、日頃から鏡を見る習慣のないわたしは、自分が今どんな顔や髪型になっているのかなど考えもしなかったのだ。
無論、わたしの顔などに興味のないチームメイトらは、「もう少し髪型が整っていれば、多少は美人に写るかもしれない」という想像力を働かせることもなく、機械的にシャッターを押すつもりでいた。
そして、あれよあれよという間に表彰台に立たされ、メダルを掛けられニッコリ笑って、はい終了。
撮影された写真を見るまで、わたしは自分がどれほど素敵に写っているのかを楽しみにしていた。きっと、いい笑顔と軽やかな金髪がアジアンビューティーを際立たせているのではなかろうか——そんな期待に胸を膨らませていたわけだが、エアドロップで送られてくる画像を開くたびに、どれもこれも「金色(こんじき)のヘルメットをかぶった筋肉質な男のような女」が写っているではないか・・・。
(あぁ、なぜわたしはシャンプーで髪を洗わなかったのだろうか。なぜトリートメントで髪をケアしなかったのだろうか)
後悔先に立たずとは、まさにこのことだ。晴れの舞台で表彰台に立っての記念撮影など、もう二度と叶わない。あるとしたら、また一年後——。
多くの友人・知人から祝福のメッセージをもらうも、素直に喜べないわたしは未だに悶々としている。
誰もがこの金色(こんじき)のヘルメット太郎、略して金太郎を見ながら「おめでとう」と言っているわけで、こちらからするとめでたくもなんともない。むしろ、恥ずかしいから目に留めないでもらいたいくらい。
あぁ、もう一度昨日の朝からやり直させてほしい・・・
*
人生とは、こんなもんである。











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