わたしは、4カ月強もの長きにわたり・・といっても、最後の数週間は諸事情によりドカ食いを免れない状況に陥ったため、正確には3カ月半というべきだが、厳重な食事制限によるダイエットに取り組んできた。
その信念たるや並々ならぬもので、たとえ漬け物を一つまみ口へ放り込んだだけでも、その事実から目を反らすことなくアプリへ記録するという徹底ぶり——そう、どんなにちょっとのことでも「なかったこと」にはせず、現実を直視しつつPFCバランスおよびカロリーコントロールに専念してきのだ。
そして、ダイエット開始前の平均摂取カロリーが4,000㎉/日だったわたしが、なんと1,300㎉程度まで落としたのだから、これはどう考えても体重が落ちて当然である。ところがどっこい、わたしの体重は1キロところか1グラムも減ることなく3か月半が過ぎたのだ。
ちなみに、なぜ1,300㎉などという低い数字に設定したのかというと、使用しているアプリ(あすけん)にいくつかのコースがあり、その中で「運動をせずに食事だけで痩せる」という理想的なコースを発見したわたしは、迷うことなくそれを選択した・・というのが、超低カロリーを設定した経緯。
そんなわけで、とにかく運動嫌いなわたしは「ラクをして痩せる」をモットーに、生き甲斐である”食べること”への欲求を抑えてまで、ほっそりとした薄っぺらいボディ目指して食事制限を開始したのであった。
それから3か月半が経過した頃、体重グラフは日々の微妙な変動はあれど大きく見れば横一直線をキープしていた。本来ならば、緩やかにでも右下がりのグラフが出来上がるはずだが、なぜかわたしの場合は、まるで厳格にコントロールされたアスリートのように数字の変動は皆無。
そうこうするうちに、二年に一度のビッグイベントであるピアノ発表会を迎え、大勢の友人らがわたしの雄姿を見に会場まで足を運んでくれた。そして、両手で持ちきれないほどのたくさんの食べ物(手作りプリンや生菓子、おにぎり、栗おこわなど)をもらったわたしは、新鮮なうちに満喫するべく胃袋へと流し込んだ。それらのカロリー計算をしてみたところ、なななんと10,000㎉を超える膨大なエネルギー量だった。
案の定、摂取したカロリーを消費できないわたしの体重は見事に増加し、前日比プラス3キロという涙目になる数字を叩き出したのである。
その後も、時間差で届く食べ物のギフトをせっせと掻っ込んだ結果、発表会が終わってからの体重グラフは、それまでと比べて3キロ増加した地点で横ばいとなった。要するに、ダイエット開始から一直線だった棒グラフが、突如右上がりになり、そこでまた安定して横一直線を示すようになったのだ。
(わたしは、金を払って太りにいったのか——?)
そう、ダイエットを開始してから一度も痩せることなく、挙句の果てには3キロも太ってしまったのだから、いったい何のためにアプリへ課金したのか分からない。
おまけに、体重や食事内容を記録する際にAIのお姉さんが対応してくれるのだが、暴飲暴食が続いた頃には「このままでは目標体重をクリアできませんよ」などと厳しく叱ってくれていたのに、今では「今日も記録をしてくれて嬉しいです」とか「今日も元気そうでよかったです」など、もはやどうでもいい会話しかしてくれなくなったではないか。
そんなわけで、AIにも愛想をつかされたわたしはこの世を恨んだ。食べたら食べただけ体重は増えるというのに、食べなかったら食べなかっただけ減らないのはおかしいだろう。せめて1キロでも変化があればまだしも、微妙な誤差すらも出ないなんて、そんな皮肉な悲劇があっていいのだろうか。
この世の無情さに茫然となりながら、重たい体を引きずり柔術の練習に向かうわたし——とりあえず、運動をしてみよう。
こうして、久しぶりに4日連続で体を動かした結果・・・なんと、体重が3.5キロも減ったではないか!!
おそらく、体内に水分が停滞していたのだろう。それらを排出できずに保っていたことで、体重が増加した状態を維持し続けていたのだ。このことからも、体重を落としたいならば食事制限は意味がない上に、運動をしなければ実現されないということが明らかになった。
運動は面倒だし嫌いだが、それでも体重を落とすには外すことのできない行為であるのは間違いない。だからこそ、どれだけ食べようが運動さえすれば痩せられるのだ。
そしてできれば、イレギュラーな動きの多い「疲れる運動」が好ましい。たとえば、テンポ良くランニングすると気持ちがいいが、これ系はダメである。なぜなら、効率的な走り方を覚えてしまえば、思ったほどのカロリー消費が期待できないからだ。
とにかく、無駄に身体を動かして無駄に体力を削る運動をすれば、必然的に体重は減る——これだけは「絶対」といえる自信がある。
ちなみに、運動神経が悪くて身体能力に劣る者のほうが痩せやすい・・という事実も覚えておいてほしい。なぜなら、運動神経が良かったり身体能力に長けていたりすると、身体が自然に効率的な動きを覚えてしまうため、無駄にエネルギーを消費しなくなるからだ。
というわけで、「食事制限だけで体重を落とそう」なんていう甘い考えでダイエットに取り組んでいる世の中のオンナども、今すぐ柔術を始めなさい。あっという間に目標体重を達成できる未来を、約束しよう。










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