数秒間の無駄な茶番

 

今さら何を言っても遅いし、購入当初に「メーカーへクレームを入れて交換してもらう」という選択をしたかというと、過去に戻れたとしてもやらないだろう。

なぜなら、新品のパソコンへさまざまなを設定をする・・という、素人にとっては非常に苦痛な作業がどれほど大変だったのかを思い出せば、「もう一度あの時間を体験する」という決断はとてもじゃないができない。

加えて、交換してもらった個体が、必ずしも当たりであるとは限らないし、それどころか新たな不具合が生じる可能性を懸念すれば、「まぁ、このくらいのハズレで我慢しておこう」と、己を納得させるほうが無難だったからだ。

 

とはいえ、パソコンを起動するたびに98%の確率で不具合が生じるというストレスは、一年が経過した今も健在で納得がいかない——だったら、こんな機能付けるなよ。

おっと、いったい何に対して不満をあらわにしているのかというと、パナソニックが誇る頑丈なラップトップパソコン「Let’s note(レッツノート)」に搭載された、サインインシステムの一つである「Windows Hello顔認証」が、ほぼ毎回機能しないことに対する怒りである。

この顔認証は、単なる画像認識のみならず近赤外線(IR)センサーにより顔の凹凸を立体的に読み取ることで、写真を使った”なりすまし”を防ぐことができる優れもの。そんな高性能かつ簡単な生体認証機能であるにもかかわらず、カメラが起動しない・・あるいは、起動するが顔を探さずに(むしろ「探す気もなく」といった感じ)終わってしまうのだ。

 

これまでにも何度か、カメラのドライバーをアンインストールしてみたが、画面上部の赤いランプが点滅する——すなわち、IRカメラが起動している合図はあるも顔を探していなかったり、そもそも赤いランプが点灯しなかったりと、カメラ起動時に問題がある模様。

ちなみに、自宅ではコンタクトではなく分厚いメガネのため、誤認証を避けるべく追加で「メガネの顔」も登録してある。よって、「わたし」が認証できないわけではない。それよりも、そもそもカメラがふざけているというか不真面目というか、

「(パソコンを開く)はいはい、顔認証すりゃいいんでしょ。ヨイショっと・・・面倒くせぇな。顔を探してるフリでもしとくか」

という心の声が漏れているかのように、ニンゲンが目の前に座っていることを認識しない怠慢っぷりなのだ。

 

おまけに、カメラは起きているが顔を探さないならまだしも、そもそもカメラ自身が寝ていることがほとんどなので腹が立つ。「パソコンのフタが開いたら、すぐに目を覚まして顔を探す・・っていうのが、オマエに課せられた唯一の任務なんだよ!!!」と、寝ぼけまなこのIRカメラを怒鳴りつけてやりたい気分である。

そんなことで、毎回”数秒間の無駄な茶番”(カメラが起動しない、または起動するも顔を探しているフリをして探していない)を静観した後に、パスコードを入力してサインインするという、まったくもって不毛な作業を強要されているわたし。

「だったら、最初から生体認証をオフにして暗証番号にすればいいじゃないか」

そんな声も聞こえてくるが、それじゃあ悔しいではないか。なぜなら、100回に2回くらいは顔認証によるサインインまたはロック解除ができるため、完全に機能しないわけではない——だからこそ、カメラの怠慢だと言っているのだ!!

 

わたしは、この20年くらいレッツノートを使い続けているヘビーユーザーだが、レッツノートは不思議なことに必ず不具合や欠点がある。

例えば、ひとつ前の個体では「物理的な電源ボタンの接触が悪い」という欠点があった。通常の圧力で電源をスライドさせても、緑色のランプがつかない・・すなわち電源がオンにならないため、電源ボタンをスライドさせた状態をしばらく維持しなければ、パソコンは立ち上がらない、という古典的な不具合に悩まされていた。

さらにもうひとつ前の個体では、「Wi-Fiの接続が上手くいかないことが多い」という最悪な現象に見舞われていた。電波の強度などの問題ではなく、あきらかにパソコン自体が「Wi-Fiなどキャッチしてやるものか!!」という、職務怠慢によるストライキを起こすため、有線LANが必須という不便な環境を強いられていた。

 

このような不満を漏らすたびに、友人からは「レッツノートなんてやめればいいじゃん」と言われるのだが、わたしにとって何物にも代えがたい機能というか性能が、レッツノートには搭載されている。それは「対価重量100キロで衝撃にも強い。それゆえ、いざという時には盾にもなる頑丈さ」という超便利で安心できる機能だ。

仕事における「相棒的存在」のラップトップパソコンに求める必須事項といえば、なにを差し置いても「じょうぶであること」だ。ちょっとした衝撃で割れたり、いざという時に主を守れなかったりしたら、それこそパソコンを持ち歩く意味がない。身を挺して主とデータを守ることこそが、ラップトップパソコンに課せられた使命であり、そんな信頼関係があってこその相棒なのだから。

 

 

というわけで、今日もまったく働こうとしない顔認証システムを睨みつけながら、相棒(レッツノート)と向き合うのであった。

 

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