コインランドリーと現金の癒着問題に、ついにメスが!

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(おぉ・・ついに時代が追いついてきたのか)

貧乏暮らしのマストアイテム・・いや、出張や遠征のマストアイテムといっても過言ではないであろう"コインランドリー"に、革命が起きた。

 

 

柔術や柔道のように道着を着用して汗だくになるスポーツで、試合や遠征の際に一番厄介なのが「洗濯」である。

 

ホテル内あるいは近所にコインランドリーが必須となるが、最悪の場合はホテルのバスタブに洗剤をぶち込んで"足踏み洗濯機"を実行しなければならない。

洗濯だけならばまだいいが、最も大変なのは「脱水」である。ただでさえ丈夫で分厚い道着を、オンナのか細い腕でいくら絞ったところで、水分はたっぷり残っている。

そこで、ハウスキーパーからバスタオルを何枚か拝借し、タオルの間に道着や帯を挟んでぎゅうぎゅうと踏みつけることで、なんとか脱水を完了させるのだ。

 

しかし道着や帯が完全に乾くかどうかは、これまた賭けとなる。ホテルはほとんどの場合が乾燥しているので、室内に干しておけば翌日には乾くことが多い。

だが道着や帯の分厚さは、ジャージやトレーナーの比ではない。ジーパンに勝るとも劣らない頑丈さを誇るため、乾燥気候のアメリカ西海岸ならばまだしも、日本国内では微妙なところなのだ。

 

そんなわけで、できればしっかりと脱水までマシーンを使って完遂させたいわたしは、なるべくホテルにコインランドリーが併設されているところを選んでいる。

 

今回のホテルにはランドリールームが設置されており、三台の洗濯機と乾燥機が並んでいた。

これだけでもかなり助かる代物だが、そんなことよりもあっと驚く"現代のテクノロジー"が搭載されていたことに、驚きを通り越して感動を覚えたのである。

 

そもそも現金を持ち歩かないわたしは、コインランドリーとの相性が悪い。

全国にあるランドリーのほとんどは現金主義であり、おまけに600円とか800円とか、中途半端に千円札でおつりが必要な料金設定となっているのだ。

おまけに投入口はコイン専用の形であり、札しか持っていない者は洗濯機を使用できないのである。

 

そんなときに頼りになるのは、ドリンクの自動販売機だ。必ずといっていいほど、コインランドリーには自販機が設置されており、小銭がない場合は飲み物を買うことで百円玉を手に入れることができる。

ところが、札は札でも千円札ではなく一万円札の場合、ドリンクの自販機では対応できないことが多い。そうなると、近所のコンビニを求めて放浪しなければならず、洗濯機も洗濯物も目の前にあるのに、おあずけをくらうこととなるのだ。

 

カネはあるのに洗濯機を使えない——そんな理不尽な状況に、幾度となく苦汁をなめさせられたわたし。

ところが、この悪しき風習に終わりを告げるかのように、今回のホテルのコインランドリーには「AQ-connectランドリー」という、コインランドリー専用の決済アプリが設置されていたのだ。

 

洗濯機に貼られたQRコードを読み込むと、専用アプリのダウンロード画面が現れる。そして再び、使用する洗濯機に貼られたQRコードを読み込むと、今度は支払い方法を選択する画面になり、支払いが完了すると水と洗剤が自動的に洗濯機へと流れ始めるのだ。

しかも、わたしが選んだ洗濯機は縦型の一般的な機種で、ドラム式でもなければ最新型でもない。何十年も前からこの形状であろう元祖・縦型洗濯機にもかかわらず、アプリを操作するだけで支払いからスタートまで自動で開始されるとは、IoTの実力に脱帽である。

 

おまけに洗濯機が動き始めると、アプリ画面に終了までのカウントダウンが表示されるという親切さ。これにより、アラームなどを使わずとも、およその終了時刻が分かるのだ。

(こんな便利で画期的なシステム、全国のコインランドリーで取り入れるべきだろう・・!!)

 

ちなみに洗濯をしている間に、近所のインドカレー店でカレーセットを注文したが、ここでの支払いもPayPayで済ませることができた。

よって、スマホさえあれば飯も食えるし電車も乗れる、おまけに洗濯までできてしまう便利な世の中になったのだ。

 

 

遠征の度に忌々しい思いをさせられてきた、コインランドリーと現金との"癒着問題"にメスが入ったことで、わたしはなんとも清々しい気分になった。

これでいつでもどこでも安心して、コインランドリーを使うことができる——。

 

(・・と、心底安心できる日が到来することを願う)

 

Illustrated by 希鳳

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