わたしはついに、安眠を手に入れたかもしれない——。
そもそも長時間眠ること・・というか、横になり続けることが苦手なわたしは、枕とマットレスにこだわってきた。具体的には、高性能・高品質な高級コイルマットレスの上に、さらに高反発マットレスを敷き、仕上げに通気性の良いパットを敷いてから布団カバーをかぶせるという、入念な寝床づくりを徹底している。
そして枕については、歴代の数を数えれば20・・いや、30個は超えているだろう。評判のいい枕を耳にすればすぐさま購入し、快眠を期待しつつ目を閉じる——そんな生活を長年繰り返してきた。
だが、新たな枕を試すたびに、はじめはいい調子で眠れるのだが、そのうち何らかの不都合が生じるため、過去の枕を引っ張り出してきては交互に使ってみたり重ねて使ってみたりと、なかなかそれ一つで満足のいく逸品には出会えなかった。
そんなわけで、我が家には枕が売るほどある。
ベッドの上には6個の枕が、そしてソファの上には4個の枕が、さらにクローゼットには枕専用のカラーボックスが設置されており、捨てるに捨てられない枕たち(それは、金額的に捨てがたいという部分も含めて)が大量に眠っているのである。
にもかかわらず、わたしはさらに新たな枕を購入した。その名も「ヘンプ100%ねいるケアあんみん枕」というものだ。ちなみに、作っているのは”安眠寝具と麻ヘンプ製品専門店・菊屋”なので、この枕のことを「菊屋枕」と呼ばせてもらおう。
我がインスタグラムは、親切にも睡眠に困難を抱えるわたしのために、日々色々な枕を引っ張り出しては紹介してくれるのだが、中でもこの”菊屋枕”に目が留まった理由は、本体の生地が「ヘンプ」という大麻の茎から採れる天然繊維でできていることと、「中身のウールノップスを自分でほぐして調整できる+洗濯機で洗える」という点に惹かれたからだった。
枕や布団というのは、毎日使うアイテムではあるが表面(カバー)を洗濯できても中身である羽毛や中綿まで洗うことはできないものがほとんど。しかしながら、この枕はなんと丸洗いできるのだそう。
つい先日、ダニの被害に遭ったわたしは、あれ以来ベッドやソファにまとわりつく湿気および汚れに対して敏感になった。そのため、「とにかく清潔を保つべく、頻繁に洗濯をする」ということに全力を注いでおり、そんな今だからこそ、枕の高さ調節のみならず中綿まで洗って干せるという手入れのしやすさと安心感に、思わず飛びついたのである。
しかも、大麻(ヘンプ)で出来ているというわけで、吸湿性や通気性、発散性に優れており、まさに「夏涼しくて冬暖かい」の代名詞。おまけに、天然の抗菌・消臭作用により雑菌が繁殖しにくく、汗のニオイを抑える効果もあるのは、ヤクの靴下と同じ。
さらに、綿や他の麻に比べて繊維が太いため、丈夫で長持ちするのもヘンプの特徴であり、使えば使うほど馴染むというの植物由来の良さもあるわけだ。
そんな、中も外も最高のポテンシャルで出来た菊屋枕を、買わない理由はない。
無論、決して安くはないのだが、それでも安眠と清潔が手に入ると思えば、過去の枕などゴミ同然。よし、快適な人生への第一歩を踏み出そう——クリック。
というわけで、到着したばかりの菊屋枕をいじってみる。ヘンプの手触りや香りを嗅ぎつつ、中綿の球状ウールノップスを掻き出して手でほぐす・・おぉ、まさかのデカさに広がるではないか!!
菊屋枕は中袋が4分割されており、それぞれの箇所のボリュームを自在に調整することができる。そのため、長年の使用によりしぼんできたならば、洗濯ついでに手でほぐせばフワッフワが復活するという、恐るべき耐久性と持久力を兼ね備えているのだ。
(まぁ、とりあえず寝てみるか・・)
翌朝、首の痛みが皆無であることと、ヘンプのほのかな香りが心地よいこと以外に、まさかの驚きがあった。それは、頭部や首周りが汗ばんでいないということだ。
昨日までは、目が覚めると後頭部や首のあたりがやや湿っているのが常だったが、この菊屋枕は汗をかかせない——そう、驚異の吸湿・速乾性を誇示したのである。
(頭が蒸れないって、こんなにも気持ちがいいものなのか)
大したことではないが、長年生きてきたわたしにとって初めての体験となる「頭部および頸部周辺が快適なまま目覚める」という現象は、自ずと気分をアゲてくれた。
やはりヒトにとって、快適であるのは心身を健康に保つために重要な要素なのだ。ジメジメしていると何かと不快な思いをするが、カラッとしているとそれだけで上機嫌になるのだから、なんとも単純な生き物である。
それにしても、頸椎ヘルニアのわたしが、さほど高さのない枕で仰向けの姿勢で寝ていたというのに、首が痛くなっていないのはなぜだろう——これも、菊屋枕が内包する恐るべき秘密なのだろうか。











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