モヤモヤ雑感

 

(・・まぁ、そう言いたくなる気持ちは分かる。とはいえ、空間すべてがオマエのものではないし、相手にとっても致し方ない状況であるのは一目瞭然。にもかかわらず、ぶっきらぼうに自分の主張だけを伝えるのは、ちょっと違うんじゃないかなぁ)

 

混雑した車内で、流暢な日本語をしゃべる外国人のおっさんを横目で見ながら、何とも言えない後味の悪さに悶々とするわたしなのであった。

 

 

都内を走る電車は常に混んでいる。

そこで暮らす者、働く者、そして旅行客らが移動の際に頻繁に利用するのが、地下鉄やJRなどの電車である。線路という専用の道を走ることで速度を一定に保てることや、交通渋滞に巻き込まれる恐れがないというメリットの反面、人身事故の際には対処が終わるまでは電車が動かない・・というリスクもある。

それでも、多くの者がバスよりも電車を信頼しているのは間違いなく、分単位で時間が読める安心感は、あらゆるモビリティサービスの中でも群を抜いている。こういった理由からも、乗車率二百パーセントの苦痛に耐えながら目的地へと向かうのである。

 

そんな車内で発生した「ちょっとした出来事」に、どうもモヤモヤするわたし。きっかけは、一人のデカい外国人が隣へ座ったことから始まった。

 

外国人の中には独特のニオイを放つ者がおり、それはそれで仕方がないというか自然に受け止めるのだが、脂肪まみれの太った者から漂う体臭とミックスされたフレグランの香りは、もはや「香り」などとは呼べないくらいドギツイ異臭と化している。

そんな「不可抗力の人物」が隣へ座ってきたので、わたしは思わず逆側へ詰めた。無論、ガタイのいい外国人はわたしが何を思っているかなど知る由もなく、どっかりと座るとスマホをいじってくつろぎ始めたので、「(無自覚にニオイを振りまく)あんたはいいよな・・」と、もはや呆れ顔で彼の手元を見つめるしかなかった。

 

しばらくして、車内は混雑し始めた。座席はすでに埋まっており、立っている乗客も電車の揺れに耐えるのに必死な状況。よって、椅子に座ることができてラッキーだった・・と内心ほくそ笑むわたしは、隣に座るデカい外人が突如発した言葉に、思わず眉をひそめた。

「スミマセン、コレヤメテモラッテイイデスカ?」

彼が指さす先には、バッグからぶら下がるキーホルダーらしきものが揺れている——そう、外人の顔の前でキーホルダーがブラブラして邪魔だから「どうにかしろ」という話だ。

 

ちなみに、外人の前に立っていたのは日本人の女性で、リュックを胸で抱えていた。そのため、リュックに付けていたキーホルダーのような飾りが、ちょうどオッサンの目の前で動く・・というシチュエーションになってしまったのだ。

日本語を知らないのか、知っててあえて使ったのかは分からないが、丁寧な言葉遣いである反面、明らかにトゲのある慇懃無礼なトーンで「お願い」を伝えた外国人に対して、どうにも身動きの取れない女性は困惑した——そりゃそうだ、一歩も動けないほど混雑しているのに、キーホルダーが俺の視界を邪魔するからどうにかしろ・・などと言われたところで、彼女にはどうすることもできない。

 

外人の主張は、わたしにも理解できるしむしろ同情する。顔の近くで何かが動けば気になるし、場合によっては目に当たる危険性も十分あるからだ。

だからこそわたしは、自分の顔付近に誰かの肘があったり、本人は無意識だが荷物が当たりそうになったりしたら、自分で自分の顔を守るようにしている。もちろん、場合によっては気づいていない相手に現状を伝えることもあるが、公共交通機関である電車内しかも混雑した状況で、己の主張だけを伝えるのはある意味「マナー違反」というか、自己中心的すぎて恥ずかしい。

 

そんなことからも、状況から判断して「自分でどうにかする」のか「相手にお願いする」のかを決めるべきだが、今回の外人の行動については、目の前の女性を動かすのではなく己が我慢すればいいだけのこと。いかんせん、ブラブラするキーホルダーが危害を加えることはないし、オッサン自身が姿勢をよくすればそこまで気になるものでもないわけで。

ていうか、仮に相手が大柄の外国人かつガラの悪い輩だとしたら、アンタは同じ行動にはでなかったはず。立っていたのが小柄な日本人女性だったから、周囲の状況を顧みずに己の主張を貫いたわけで——。

 

 

・・という、非常にちっちゃなことではあるが、なんかモヤモヤする出来事に遭遇したのであった。

 

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