私の遅刻グセは、果たしてADHD特有の実行機能障害なのかどうか

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もはやオオカミ少年に近いレベルで定期的にぼやいていることだが、強欲なくせに自制心が軟弱なわたしは、美味そうな食べ物があれば際限なく手を出してしまう。そのため、すぐに腹が樽のように膨らむのだ。しかも前後左右あらゆる方向へ——。

そして今も、くびれを失い立体的に膨らんだ腹をさすりながら「ダイエットは明日から」と言い聞かせているわけで、この「明日から」は先週から言い続けているセリフであることを忘れてはならない。

 

とはいえ、こういう時に限って友人から美味いケーキをもらったり絶品な肉料理が届いたり、はたまたいい感じのパン屋を発見してしまったりと、胴体が樽になるのも仕方がない環境がなぜか整ってしまうのも事実。

だが、いつ終わるのか分からない今のご時世と我が人生、せめて美味い食べ物だけは食い尽くしてから消え去りたい——そう考えるわたしは、大量の食べ物を小分けにすることなく、あるだけ全部体内へ取り込むことで毎日を謳歌するのであった。

 

——などと、圧倒的信憑性に欠ける"ダイエット開始の覚悟"を胸に抱きながら、とある記事に目がとまった。それは、ADHD(注意欠如・多動性障害)の"遅刻グセ"についてのもので、遅刻がデフォルトのわたしにとっては非常に興味深い内容だった。

 

ADHD(注意欠如・多動性障害)は、不注意・衝動性・多動性を主な特性とする発達障害を指す。ちなみに、脳の機能特性として「苦手」な行為があるだけなので、障害といってもそこまで重篤なものではない。中には社会生活に支障をきたす状態の者もいるが、それでも根本的な治療方法が存在するわけではないので、やはり「脳の機能特性」として受け入れ、理解を示すのが一番の解決策なのである。

とはいえ、個人的には「なぜか目立つよね」「どこか他人とは違うよね」といったレベルの特性・・というか違和感であり、良い・悪いの話ではないと思っているのだが、ADHDのせいで日常生活が上手くいかないなど、悩みを抱える者にとっては深刻な問題といえるだろう。

そんなADHDの特性の一つに「遅刻グセ」が挙げられる。これは「実行機能の弱さ」が原因とされており、目標達成のために計画を立てて、それを実行するための行動や思考・感情を調整する"脳の機能"が欠けていることで起こる。

 

たとえば、待ち合わせの時間に間に合うように家を出る計画を立てたが、準備に手間取ってしまい遅刻した・・とか、身支度の途中でトイレの汚れが気になり、思わずトイレ掃除に着手した結果遅刻した・・とか、家の鍵が見つからずに探していたら遅刻した・・など、誰もが一度は経験するであろう遅刻の原因が、日常的かつ頻繁に起こるのがADHDの特性なのだ。

かくいうわたしも、たしかに「出発時刻が迫っているのに、仕事の区切りがつくまで粘った結果、準備が間に合わず遅刻してしまった」とか、「家を出るまでに少し時間があるから、風呂場を掃除をしてから出ようと思った結果、案の定遅刻してしまった」など、まさに"実行機能が脆弱であるがゆえに、遅刻を誘発している"ということに気がついた。ならばわたしも——。

 

しかしながら、ADHDによる遅刻の原因・・というか、やむを得ない脳の機能特性と、わたしの遅刻とはちょっと違う気がするのだ。

 

実行機能に関して、出発時刻や到着までの見積もりの甘さが原因で遅刻をする・・ということは、わたしにはあり得ない。さすがに、電車の大幅な遅延や事故の可能性までは想定外だが、それでも計画は普通に達成できるものであり、ここに問題はない。

さらに、風呂掃除に没頭するあまり遅刻・・というケースは「過集中」に該当するが、出発時刻が迫っていることに気づかないくらい掃除に没頭する・・ということは、わたしにはあり得ない。常に時間を確認しながら(むしろ、分単位で遅刻を確認しながら)掃除を続けているため、ハッと気づいたら遅刻してしまう時間だった——なんてことはあり得ないのだ。

 

ではなぜ、毎日遅刻を繰り返すのか——。

 

それは、自分に甘い上に世の中を舐めているからだろう。

ADHDの場合、実行機能の欠如により「本人は遅刻したくないにもかかわらず、時間管理ができなかったり衝動的な行動をとってしまったりすることで、結果として遅刻をしてしまう」というのが正しい表現。しかしわたしの場合、そういうことではないのだ。

遅刻ありきで計画を立てている節があり、一応「遅刻しないようにしよう」という気持ちは薄っすらあれど、そこまで絶対視するほどのものではない・・と、どこか高を括っているのだ。

加えて、遅刻を満喫したいがために、強く噛み締め味わっている部分がある・・という側面を否定できない。

 

これは、誰かと待ち合わせをしている場合など、極めて失礼かつ非常識で狂気的な思考となる。他人の時間をわたしが身勝手に奪っているのだから、謝罪ごときで済まされる話ではない・・と、ここまでハッキリ理解および認識しているのだから、実行機能障害のせいにはできまい。

 

(要するに、わたしはクズってことか)

 

そして「今日こそは遅刻しまい」と、現時点においては鼻息荒く覚悟を決めている——ということだけは、声を大にして伝えておこう。

 

llustrated by おおとりのぞみ

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