ここ最近、わたしはアニメで失敗を犯している。とはいえ、仕事の片手間で視聴しているだけだから、とくに失敗も成功もないわけだが、とにかく「マジか・・・」と茫然自失したのである。
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今年の春アニメの代表作「Unnamed Memory(アンネームド・メモリー)」を、毎週楽しみにしていたわたし。原作の小説をアニメ化する・・という流行りの手法だが、ヘンに捻りを加えていたり、納得がいかない展開が待っていたりというような、例えるならば"呪術廻戦"のように翌週が待ちきれないパターンではなく、毎回清々しい気持ちでエンドロールを迎えることができる作品なのだ。
ちなみに、ストーリーをざっくりと紹介すると、
架空の時代に生きる大国の王太子が、自らにかけられた呪いを解くために、絶大な力を持つといわれる"青き月の魔女"を訪ねて解呪の依頼をするうちに、魔女を自らの妃にすると言い始めた。当初、魔女は求婚に興味はなく、とにかく呪いの解析に東奔西走していたが、王太子とともに時を過ごすうちに、徐々に彼の想いを受け入れ、また自分の気持ちも彼に向いていることに気づき始める。そして様々な紆余曲折を経て、二人は晴れて結婚するのであった——。
・・このような内容で、王太子と魔女というキャラクター設定はあれど、恋敵が現れるわけでもなければ、二人の恋路の邪魔となる障害物があるわけでもない。そりゃ、小さな障害はつきものだが、そんなものは吹けば飛ぶほどの些末なことゆえに、なんだかんだで安定した関係性を保ち、自然と愛を育んでいったのだ。
(いまどき、珍しいくらいにピュアなラブストーリーだな・・)
こちとら、ずいぶんご無沙汰なアオハルっぷりにキュンキュンさせられつつ、大きな不安や衝撃もないまま、無事にオーラスを終えたのである。なお、ラスト一つ前=11話で二人はめでたく結婚したため、これでストーリーも完結か・・と思っていたところ、12話がラストの回として放送されたのだ。
一般的なアニメは12話または24話で完結するため、12話目があることは特段珍しいことではない。となると、ストーリー的には二人の間に子どもが生まれて、その子が強力な魔力を持つ王族として将来を有望視される——というような展開で締めくくるのだろうか。
そんなことを考えつつも、それとなく12話を流し見していたところ、なんと、ここへ来て急に雲行きが怪しくなったのだ。
妻となった青い月の魔女は、何百年も生き続けた生粋の魔女である。そんな彼女の過去へと飛ばされた王太子は、400年前の魔女と会ったり、また別の時代で魔女と会ったりして、彼女の心に大きな傷を負わせた"とある事件"を未然に防ぐべく、剣を振るって事態を収集したのである。
その後、王太子の腕の中で横たわる魔女に向かって、
「お前が一番苦しんでいた時に、この手を取りたかった」
と囁いたのだ。あぁ、ここまで深い愛が存在するとは——などとキュンキュンしていたところ、王太子が突如、「嘘をついてごめん。未来にオレの居場所はないんだ」と意味不明な発言をしたのだ。
どうやら、過去の事実を変えてしまったことで、未来に戻ることができなくなった模様。王太子はそうなることも承知の上で、それでも魔女が一番苦しい時にそばにいてあげたかったのだ。
そして泣き叫ぶ魔女を残して、王太子は消えていった——。
(・・・う、嘘だろ?!)
その直後、画面は暗転しエンドロールが始まった。さらに、いつもオープニングで流れる「呼び声/丁」が流れ出したのだ。
——思えば、この曲には違和感があった。なんせ"止まった針の進む先に 永遠よ続いて"という物悲しいセリフを、アカペラで歌い上げることで始まるのだから。
そもそも、こんな"ピュアで安定したラブストーリー"のどこに、歌詞で示されるような悲しい要素があるのか、11話までを楽しく視聴していたわたしには分からなかった。だからこそ、「オープニング曲とアニメの内容がマッチしていない」などと、偉そうに批評していたわけで。
君だけ 戻ることは無いと
居ればいい あなたはいつか言った
この手には それでもあきらめないと誓う
輝く明日が届いているの 明日が届いているの
この鼓動が鳴り止む前に
どうかあなたには
あの夜の
事を
思い出して
欲しいと願っている
・・こんな言葉で歌は締めくくられていた。
おまけに、タイトルである「アンネームド・メモリー」に込められた意味にハッとさせられたわたしは、迂闊にも号泣してしまったのである——。
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やはり、いまどきのアニメというのは侮れない。高校時代をドラマ化したような、単純明快なラブストーリーなんてものは流行らないのだ。
必ずどこかに落とし穴があり、目に見えてハッピーエンドを迎えられるような、そんな幸せな主人公などそうそういないのである。
どうやら「アンネームド・メモリー」は続編がある様子。次こそは、頼むから次こそはハッピーエンドを期待したい。
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