外気29℃、だが私は寒い。

 

ヒトとして知恵をつけたわたしは、ついにエアコンの使い方を極めた。

今まで何年ものあいだ、どうすれば室内の温度を快適にできるのか、そしてどうすれば電気代を抑えられるのか・・このような悩みと対峙し続けてきたのだが、ここへきてやっと満足のいく答えにたどり着いたのである。

 

(うぅ、寒い・・)

天気予報アプリを見ると、「現在の気温29度」という恐るべき数字が目に飛び込んできたが、室内でエアコンを稼働させつつゴロゴロしているわたしは、まさかの「寒い」という感想を口にするわけで、さすがにこんな贅沢は他にない。

ほぼ真夏日であるにもかかわらず、冷たい風をたっぷり受けつつ羽根布団に包まるわたし——あぁ、こりゃもう最高すぎるわ。

 

では、どのようにしてこの快適な空間を作り上げたのかというと、「エアコンの設定温度は高めに、風量をマックスにする」という作戦によるものだ。

この方法は当たり前に知られていることかもしれないが、「風量自動こそが、節電につながる!」という神話を信じていたわたしは、一向に冷えない室内をどうにかするべく、設定温度を1度、2度と下げる選択肢しか与えられなかった。

 

ところが、ダイキン工業株式会社による”エアコン冷房で誤解の多い4つの節電術を検証せよ!”の中で、『エアコン冷房を使っていても暑く感じる時、温度設定を1℃下げるのと、風量設定を「強」にするのとでは、どちらが節電?』という検証が行われた結果、なんと「風量を強くする方が節電になる」ということが明らかになったのだ。

設定温度を1℃下げた場合と風量を「強」にした場合の消費電力を比較した結果、設定温度を「1℃下げる」と1.13kWh、風量「強」にすると0.52kWhとなり、風量「強」は、設定温度を「1℃下げる」場合と比べて消費電力量が約半分になりました。(サイトより引用)

検証の設定として、いずれも午後1時から3時までの最も暑い時間帯で行われ、設定温度は当日の予想最高気温からマイナス8℃を基準とした。その結果、設定温度を下げるバージョンでは26℃から25℃に下げ、風量を強めるバージョン(設定温度28℃)では自動から強へと変更し、それぞれの消費電力量を計測したところ上記の結果が得られたのである。

 

こうなる理由は、「エアコンの設定温度を下げると、室内の空気中からより多くの熱を集めるべく、圧縮機の運転が強まることで消費する電力が増える」ということらしい。

逆に、風量を「強」にするとファンの回転が上がるため、あたかも電気をたくさん使っているかのように感じるが、圧縮機が消費する電力に比べるとわずかなのだそう。

 

この検証結果を受けて、わたしはさっそく「26℃マックス強風」にエアコンの設定を変更した。その結果、吹きつける風はそこまで冷たくはないが、室温を下げるという点では抜群な威力を発揮しているではないか!!

風量自動に比べるとファンが回転する音も大きくなり、明らかにやる気を出している我が家のエアコン。これまでの夏場といえば「19℃自動」がデフォルトだったが、今年からは「26℃強風」で快適に乗り切れる気がする——。

 

電気代の方はよく分からないが、設定温度を下げて「自動」にしていた頃とさほど変わらない気がするので、であれば確実に寒さを感じる今のほうが正解といえる。

とにもかくにも、どんな高級料理に舌鼓を打つより、どんな豪華な衣服や装飾品で身を包むより、外がクソ暑いときにひんやり寒さを感じる室内で布団に包まっているほうが、圧倒的に贅沢を感じることができる。そして、若干の背徳を帯びた優越感に浸れるこの瞬間こそが、ヒトとして最高の幸せである・・と、わたしは確信するのだ。

 

(あぁ、寒くて幸せだ・・)

こうして、ごくつぶしの無精者がまた一人この世に誕生してしまったのである。

 

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