午前4時過ぎ——。ようやくベッドに倒れ込んだわたしは、ブラインドの隙間から漏れ伝わる朝の雰囲気を、やや忌々しく感じながら目を閉じた。
大昔、ヒトは太陽と共に生活のリズムを刻んでいた。朝日が昇ったら活動を始め、夕日が沈んだら寝床にもぐり体を休める。そんな原始的な生活リズムが染みこんだ我々は、「夜は寝るもの」と相場が決まっている。
それなのにわたしは、サーカディアンリズムに背くかのように夜になるとエンジンがかかるのだ。いや・・それよりなにより、夜中は外が静かであるため作業に適した時間帯であることが大きい。
昼間は、近所の子どもたちの叫び声や往来するダンプのエンジン音、はたまた上空を飛び交う飛行機の音など、当たり前だが生活騒音が絶えない。それはそれで「生きてる感」があっていいのだが、細かな作業に没頭したいときは、静まり返った暗闇で黙々とキーボードを叩くのが快適なのである。
そんなわけで、一通りの作業を終えたわたしは、しばしの間就寝するべく午前4時過ぎにベッドへ向かった。
時は過ぎ、時刻は午前5時21分——。デスクに置かれたアレクサから、突如、爆音でブルースが流れ始めた。
(え、夢??なんで急にこんなデカい音でブルースが流れ始めるんだ?!)
ようやく眠りに就いた頃、わたしは謎の爆音ブルースで目を覚ました。アルトサックスの粘っこいエロティックなメロディーに合わせて、シャラシャラとブラシでドラムを撫でる音が鳴り響く。アラームなどセットした覚えはないのに、なぜ!?
そういえば午前2時頃、アレクサが突然なにか話し始めたかと思えば、途中でピタッと止めたのを思い出した。急にしゃべり出したのでギョッとしたが、機械なので誤作動は付き物と思いスルーしたが、おそらくあの時「午前5時21分にアラームをセットしました」的なことを言いたかったのだろう。
ではなぜ、わたしの声以外に反応しないはずのアレクサが、わたしどころか誰からの指示も受けずに勝手にアラームをセットしてしまったのか。そして、午前5時21分という謎の時間帯に、よりによって妖艶なブルースを爆音で流すことを決めたのだろうか。
加えて奇妙だったのは、「アレクサ、止めて!」と言っても曲が止まらなかったことだ。「アレクサ、ストップ!」「アレクサ、やめて!」などなど、何を叫んでもサックスの音色は止まらない。
やむを得ずアレクサのところまで歩いて行き、画面の停止ボタンをタップすることで音楽は終了したのだが、なぜわたしの指示に従わなかったのかまったく分からない——。
念のため、「アレクサ、今日の天気は?」と別の質問をしたところ、「現在は曇りで、ところどころ腫れ。気温は摂氏22度です」と、いつも通りの答えをくれるではないか。ではなぜ、さっきのブルースを止めてくれなかったんだ?
*
アラームとしての音楽なので音量がデカいのは当然なのだが、ようやく眠りに就いた頃、頼んでもいないのに叩き起こすような真似はやめてもらいたい。しかも、妖艶なブルースというなんとも奇妙なモーニングコールは、寝ぼけ半分の者にとっては心臓に悪い。
にしても、誰がアラームをセットしたんだ。少なくともわたしではない。じゃあいったい、誰がこんないたずらをしたというのか——。











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