まさに悲劇、許されざるオジサンオバサンの青春。

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(痛いババァだと思われたら大変だ・・・)

どんなに若い気でいようが、実年齢は着々と積み上げられていくわけで、こちらは年の差など感じていなくても、相手にしてみれば——もちろん年下が相手の場合だが、こちらをどう捉えているのか分からない。

無論、直接尋ねたところで本音を漏らすこともないため、風の便り以外で「自分がどう思われているのか」など知る余地もないのだ。

 

ましてや、会社のような上下関係が存在する組織に属していれば、「付き合い方」は年齢だけでなく役職や勤続年数などにも影響されるだろう。だが、たとえばスポーツジムのようなコミュニティでは、若者から年配者まで様々な人間がトレーニングを楽しんでいるため、年齢差を気にすることは少ない。

しかも困ったことに、オジサンオバサン側にその意識が薄い・・というのが、まことしやかな「ジムあるある」ということだ(私調べ)。若者に紛れてつい自分も若い気になってしまい、はしゃいだり張り切ったりした結果、虚しい空回り——という姿を、これまで何度も目にしてきた。

 

もちろん、「若い気になること」は悪いことではない。むしろ、若者に紛れてスポーツに勤しみ汗をかくことで、オジサンオバサンたちはいい刺激を受けるだけでなく、パフォーマンスも向上するからダブルでラッキーといえる。

だが実際に、若者がオジサンオバサンから影響を受けること・・といったら、

「その年で、よく頑張るよな・・」

「年取ってるくせに、体力あるよな・・」

といった感じで、「年の割に」という条件がもたらす”意外性”くらいだろう。

 

しかも、よくよく考えてみると10歳・・いや15歳以上若い後輩らとワイワイ楽しくやらせてもらっていることから、こちらは対等な気分でも、あちらは「かなり年上のオジサン/オバサン」と思っている可能性が高い。

とはいえ、別にそう思われていても構わないといえば構わない。なぜなら、趣味を楽しむため、技術を上げるため、強くなるため・・など、自分自身のためにその場にいるわけで、異性からチヤホヤされる目的ではないからだ。

それでも、内心「痛いオバサン」とか思われていたら、少なからずショックである——。

 

ちなみに、わたしの趣味であるブラジリアン柔術は、年齢が若いほうが強い・・とは言い切れない競技特性がある。積み重ねた経験やキャリア、柔軟性、戦略といった、努力次第でカバーできる後天的な要素が武器となるからだ。

言わずもがな、若さゆえのパワーやスピードも十分な武器ではあるが、それらを凌駕するのがテクニックであり経験値——。そんなわけで、必ずしも若い子にやられる・・ということはなく、そういう意味でも”若い気分になりやすい”のかもしれない。

だがその分、老若男女問わずに楽しめたり、親子で同じ競技に打ち込めたりと、柔術が広く愛される所以は「そこ」にあるともいえるのだ。

 

別の視点から観察してみると、オジサンが若い女子と仲良くしようとしても、女子側が拒否したらあっさり終わるだろう。だが、オバサンが若い男子と仲良くしようとすると、男子側は気をつかって拒否しないことが多い——そう、男子は優しいのである。

そんな優しさにつけこんで(?)、オバサンが男子に近づきすぎると「痛いババァ」となるのだ。いくら優しい男子だからって、ババァなんかよりも年相応の女子とキャッキャしたいに決まっている。それなのに、そんな願望をグッと堪えて相手してくれていたことに、オバサンは気づかないことが多いのである。

 

それにしても、なんとも不公平な世の中じゃないか。オトコは何歳になっても若い女性と付き合ったり結婚したりできるのに、オンナは三十代・・いや、四十代に足を突っ込んだら、もはや女性扱いされなくなる。

さらに、いくら見た目が若くても、実年齢を知った途端に「へぇ・・意外といってるんだね」と、トーンダウンされるのがオチ。年齢は変えられないにもかかわらず、年齢で判断されるとなれば、こちらに打つ手はないのだから努力のしようもないわけで——。

 

・・ダメだダメだ、うだうだと考えても仕方がない。とりあえずは、若者に迷惑をかけない程度にオジサンオバサンたちも楽しませてもらおう。そして来世は、オトコに生まれて人生を謳歌しようじゃないか!

 

(それにしても、「若さ」の価値や尊さってやつは、老いて初めて痛感するものなんだな・・)

 

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