ここ数か月、腰痛の悪化に悩まされていたわたしだが、この数日で状態がかなり改善されたことに喜びを隠せずにいる。とはいえ”生きているだけで疼痛”という状況が、”耐えられるくらいの疼痛”になったくらいなので、声を大にして「良くなった！」とは言えないが、それでも地獄の日々に柔らかな日差しが差し込んだことに、多大なる感謝と幸せを感じるのであった。
いったいなぜ改善されたのかというと、友人から教わったマッケンジー体操が大きく影響している。マッケンジー体操とは、正確には「腰痛改善・再発予防のための運動療法＝マッケンジー法」のことで、1950年代にニュージーランドの理学療法士であるロビン・マッケンジー氏が考案・発展させた治療法（エクササイズ）である。
簡単に説明すると、腹臥位（うつ伏せで寝てる状態）→肘で支える伸展位（ビート板の上に肘を乗せてバタ足している時の姿勢）→手のひらで支える伸展位（犬や猫が、寝起きに天上に向かって背伸びをするような姿勢）という三姿勢を基準として、腰を反らせることで髄核のズレを修正し腰痛改善を行うものだ。
第一段階は、伏臥位（うつぶせ）でぐったり寝るだけなので「楽勝！」と思っていたが、尻や太もも、ふくらはぎに力みがあってはならず、全身の筋肉を弛緩させてダランと横たわる難しさに思わず苦戦した。
（無意識に力が入ってしまうのか・・）
そんなつもりが無くても、勝手にどこかで力んでいるのだと知ったわたしは、脱力することの難しさを改めて痛感させられた。そこで、左右に体を揺さぶったり大きく動かしたりしながら、あえて意識することで真の脱力へと誘（いざな）う練習を行った。
こうして何度も繰り返すうちに、いつの間にかモチのようにビニョーンと伸びることができるようになった。だがそれと同時に、30分くらい意識を失っていた——つまり、いつの間にか寝ていたのだ。
（ハッ！しまった、ついうたた寝をしてしまった・・）
ちなみに、この時点でまさかの腰痛を悪化させた模様。なんせ、うつ伏せの状態で30分も固まっていたのだから、腰にも首にも良くないのは明らか。しかもエクササイズの途中で居眠りをするとは、真剣さが足りない証拠でもある。以後、気をつけよう——。
伏臥位の次は、両肘が肩の真下に来るようにセットし、前腕で上半身を支えながら腰反らしを行った。この姿勢をとるだけでも腰に響くため、あまり無理はできないことを悟ったわたしは、大きく深呼吸をしながら１分ほど耐えた後に先ほどの伏臥位に戻った。
マッケンジー体操は、上体を肘で支えようが手のひらで支えようが、伏臥位を挟むことでリラックスを促している。そして、無理に痛みを我慢して実施するのではなく、ある程度の痛み（刺激）を自身でモニタリングしながら、適宜、回数や時間を調整していくのが特徴。
よって、伏臥位に戻れた時の安堵といったら、開放感も相まってなんとも幸せな気分に浸れるのである。
（あぁ、またモチになれる・・幸せだ）
案の定、伏臥位をキープするたびに、あまりのリラックス効果でいつのまにか意識を失うわたし。時には一時間近く寝ていることもあり、そうなると体が硬直してしまい動けなくなる始末。
（わたしはいったい、何のためにマッケンジー体操をやってるんだ？）
腰痛改善の目的を忘れて快眠に走る・・という愚かな自分に鞭を打ち、今度は腕立て伏せのように腕をピーンと伸ばした状態で、腰をたわませて上体反らしの姿勢をキープした。
この姿勢は先ほどの「肘でキープ」よりも難易度が高いため、尻や太ももに力みが生じてしまい、深呼吸すらロクに出来ないありさま。
（これはいかん、いったんリラックスしなければ・・）
体の緊張をほぐすためにも、伏臥位で脱力を行ってから改めてトライすることにしたわたし——もうここまでくれば、伏臥位が「フラグ」であることくらい見当がつくだろう・・そう、わたしはまたしても心地よい眠りに就いてしまったのである。
＊
結局、マッケンジー体操を一通り終えるまでに、何時間もの莫大かつ無駄な時間を費やしている・・ということが分かったわけだが、不思議なことにマッケンジー体操を始めた翌日から、あの地獄のような腰の痛みが若干ながらも和らいだのだ。
季節が春に向かって加速する中、気温は一桁だがなんとなく空気が暖かくなっているのを感じる昨今。もしかすると気候の変化が腰の調子を上げてくれたのかもしれないが、とはいえマッケンジー体操を実施した翌日に明らかな変化があったことには驚きである。
果たして、伏臥位で長時間の居眠りをすることが腰痛改善に役立っているのか、はたまた足を引っ張っているのかは分からないが、それでも一筋の光が見えたことは喜びに値するのであった。
（今度こそ、居眠りしないようにやってみよう・・）
いぬ on 殺人犯（精神的に異常あり）と同じポテンシャルの私: “テストでの解釈はともかく、良い絵ですね” 2月 13, 01:59
コメントを残す