原作の漫画が連載されたのは1974年(週刊マーガレット)、そしてテレビ放映されたのは1991年(NHK衛星第二)——そんな、昭和と平成を股に掛けた少女漫画作品を令和のいま、動画配信サービスにて視聴したわたしは、作品自体の面白さや素晴らしさよりも、登場人物のとある「発言」に苛立ちと嫌悪感を覚えた。
その作品とは、池田理代子先生と出崎統監督による「おにいさまへ・・・」だが、まるでアニメ「ベルサイユのばら」を彷彿とさせるような貴族っぽい登場人物だったり、百合(女性同士の恋愛)展開の王道を行くと見せかけて、まさかの相関関係が露呈したりと、話が進むにつれて引き込まれること間違いなしの骨太かつ実力派アニメ。
しかも、全39話という大作であるにもかかわらず、ストーリーの大半は高校入学から半年くらいまでのたったの数カ月——。最後のほうで高校一年時の三学期と高校2、3年時の描写が足早に描かれているが、よくぞまぁ数カ月の出来事をこれだけのボリュームに刻んだものだと、尊敬するレベルである。
この作品を見ようと思ったきっかけは、「レトロなアニメをからかってやろう」くらいのノリだったが、視聴を進めるうちにレトロゆえの愛着というか泥臭さに引き込まれ、令和の今ではあり得ない「映像の質感」のとりこになったわたし。
その裏には、声優による芝居の上手さがある。現代ほど精密な描写や効果音が存在しない当時、作品をより深いものにするには声の表現力が必須。いかんせん、動きの少ないアニメーションのため、臨場感や緊張感を演出するには声質や言い回しで肉付けするしかないのだ。
いや、むしろアニメーションのコマ数が少ないからこそ、声優陣の実力が発揮されたのかもしれない——そう思わざるを得ないほど、絵も音も声も見どころ満載の作品なのである。
——話を冒頭に戻そう。「おにいさまへ・・・」の登場人物の一人に、主人公である女子高生の親友がいるのだが、彼女の使う「言い回し」にわたしはイラっときた。
上流階級のお嬢さま学校という設定ではあるが、主人公とその親友はどちらかというと一般家庭の子(主人公の家はそれなりに裕福)であり、ゆえに喋り方もやや俗っぽいところがある。そんな親友が発したとある発言が、自分でも理由が不明なほど癇に障るものだった。
それは、
「悪いんだぁ!」
という、他愛もないセリフである。
現代において「悪いんだ!」などという発言を耳にすることはないが、昭和の人間・・今でいうおばあちゃん世代が若かりし頃、友達のあいだで悪さやいたずらが発覚した際に「(先生や親に)言いつけてやろう」というニュアンスを込めて、「悪いんだ!」とか「いけないんだ!」と言っていた模様。
そしてはるか昔、なにかの拍子に母が「いけないんだぁ!」と発言した瞬間、身の毛もよだつほどの憎悪と嫌悪感に包まれた記憶がある。理性が働かなければ母を殺していたかもしれないほど、耐えがたい怒りと憎しみを覚えたのである。
この「悪いんだぁ」や「いけないんだぁ」という発言には、単に「悪事や落ち度を指摘した」というだけでなく、非難そのものを楽しんだり他人の落ち度を見抜いたことで得意げになったり、といった嫌味なニュアンスが含まれている。
さらに、親や先生など第三者へ知らせる目的を内包していることや、その言い回しが幼稚であり小ばかにされている感覚から、なおさらイラっとさせられるのだ。
無論、主人公の親友は悪人ではないので、昭和時代の一般的な少女の会話・・しかも、上流階級ではない一般家庭の子であることを強調するべく、そのような幼稚かつイラっとくる言い回しを使ったのだろう。
しかも、声優の演じ方がこれまた上手いため、より一層わたしを苛立たせたわけだ。
それにしても、なぜわたしは「いけないんだぁ」とか「悪いんだぁ」という幼稚な発言を、これほどまでに嫌悪するのだろうか——うぅん、分からない。
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というわけで、タイトルの伏線回収まで見事な作品「おにいさまへ・・・」は、わたしイチオシの必見レトロアニメである。










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