当たり前のことではあるが、たくさん食べれば体重は増える。そして、運動をしなければ蓄積されたエネルギーの消費ができないため、太る。
そんなことは子供でも分かるが、いい年したオトナは運動が嫌いなため、容易く太っていくのである。
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わたしは毎年、夏の終わりにラスベガスを訪れる習慣があるが、その際に「アメリカの洗礼」を受けるのがセットとなっている。
あの国は、とにかく食べ物のサイズがデカい。一杯のコーヒーですら日本人には十分すぎる量であり、「気分転換にカフェインを・・」などという悠長なことは言ってられない。そして、日本にいる時と同じペースで食事をしたりカフェでくつろいだり、そんな「普通の生活」を二週間も送れば、ハイ、見事に肥えたブタの出来上がり!
いかんせん、食べ物のボリュームが違うわけで、それをすべて平らげればカロリーオーバーとなるのは当然である。それでいて「せっかくの料理を残したら申し訳ない、かといって持ち帰るのはちょっと・・」という、食材や料理人への感謝の気持ちが強いくせに、右へ倣(なら)え精神が刻み込まれた日本人は、残すことも持ち帰ることもできない。
となれば必死に食べ尽くす以外に選択肢はないわけで、そんなフードファイトを続ければ体重増加は免れない——そう、これこそがアメリカの洗礼なのである。
ところが今年、毎度世話になっているラスベガス在住の友人が「とある試み」を打ち出した。それは、「わたしを太らずに帰国させる」というミッションだった。
毎年毎年、丸々と肥えて日本へ帰るわたしを不憫に思ったのか、今年は「ヘルシーな食材を使った、どう見ても太らない食事」を提供する・・と事前に宣言があった。加えて、すぐにでも食べられる状態で置いておくと、夜な夜なわたしが手を付ける可能性があるため、あえてひと手間加えなければ食べられない状態で保存する・・という、新手の技を繰り出してきたのだ。
その結果、アメリカを発つ際の体重は、すぐにでも柔術の試合ができるほどに抑えられていた。これは正に奇跡である——。
恐るべし敏腕主婦の戦略により、効果覿面な食事療法を施されたわたしは、日本へ帰国してからもホクホク顔だった。
あれだけ食べても・・クッキードゥ(生地)入りの500㎖アイスを平らげたり、マッシュルームライスが食べ放題だったり、卵4つのオムレツに舌鼓を打ったり、むしろ日本にいるときよりも摂取量は増えていたはず。おまけに、これっぽっちも運動などしていないにもかかわらず、体重は増えなかった。
もしや、わたしはもう太らないカラダになったのでは——。
そんな、究極の勘違いというか根拠のない自信に洗脳されたわたしは、大した運動もせずに食べたいものを好きなだけ貪り食うという、圧倒的自堕落な生活を始めた。
(仮に太ったとしても、運動すればすぐに戻るはず。人間いつ死ぬか分からないんだから、食べられるときに食べておかなきゃ損だ)
そして時は過ぎ、もはや己のカラダを自由に操ることさえ困難となった頃、夜中にそっと乗った体重計の数字は——まさかの7キロ増を示していた。
もちろん、これは最大瞬間風速的な数字なので、翌朝にはもう少し落ちついていたが、とはいえこんな太り方をしたら落とすのが大変なのは言うまでもない。
(どおりで、カラダが重くて動かないと思ってたんだよな・・)
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結論、恐ろしいのはアメリカでの食事ではない。
日本における自堕落な食生活こそが、ヒトを甘やかしブクブク太らせる——そう、日本こそがデブを誕生させる伏魔殿なのである。










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