スタンディングカフェ観察記

 

コンビニの入り口付近でスタンディングカフェを満喫していたわたしは、多くの日本人が「とある商品」を手に取り、会計を済ませるとすぐさま飲み干して出ていく姿に、驚きとともに尊敬の念を抱いた。

時刻は土曜日の午後6時——なるほど、これから飲み会があるのか。

とある商品とは、ウコンの力やヘパリーゼといった「二日酔い対策」の肝臓ケアドリンク。ちょうど目の前にそれらのコーナーがあったため、「金色の小さな缶」を目当てに続々と訪れる客らを自ずと観察することとなったのだ。

 

ちなみに、わたしがなぜそんなところで油を売っていたのかというと、溜池山王駅の地下構内にあるファミマにはカフェスペースがない・・というか、少し前まではあったのだがいつの間にか撤去されてしまった。

そこで仕方なく、スタンディングでファミマカフェを営業(?)することにしたわたしは、店舗の入り口にある作業台をテーブルにして、二杯のドリンクを味わっていた。そんなわたしの目を楽しませてくれたのが、次々にやって来てはあろうことか全員が同じ商品を手にしてレジへと向かう光景だった。

 

最初は「栄養ドリンクって人気あるんだな・・」くらいにしか思わなかったが、よくよく見ていると皆が同じ棚へ手を伸ばしていることに気がついた——そう、それは肝臓系の栄養剤だった。

要するに、これから開かれる飲み会に参加するため、胃もたれや二日酔い対策としてこれらの飲み物を胃袋へ流し込んでから向かう・・という魂胆だ。とはいえ、体調の心配をするくらいなら酒など飲まなければいいと思うのだが、雰囲気というものを大切にする日本人だからこそ、「自分はちょっと遠慮しておきます」などといって場をしらけさせることは避けたいのだろう。

そんな勤労かつ真面目な日本人の姿を目で追いながら、「あんたら、本当に偉いな・・」と心の底から尊敬するのであった。

 

そんなわたしの内心など知る由もない飲み会前の男性らは、レジを済ませるとウコン系ドリンクをグビグビ飲み干し、空になった缶を捨てるべくゴミ箱を探していた。だが、残念ながらゴミ箱はわたしの奥にあるため、わたし——すなわち「ガタイのいい金髪の輩」を横切るかたちでゴミ箱へ向かわなければならない。

そんな危険極まりない行為を恐れてか、3割くらいは自らのポケットへ空き缶を押し込んで戦場へと向かっていった。

そして残りの7割は、”ゴミ箱の番人”のごとく仁王立ちするわたしの前をそそくさと横切り、「さぁ、空き缶を捨てよう」と思ったら、なんと、そのゴミ箱には「燃えるゴミ」と書かれてあるではないか!!

 

最終的には、ウコンの力やヘパリーゼを購入した戦士らは全員、空き缶をポケットやバッグにねじ込んで戦場へ向かったのである。

 

おそらく、ゴミ箱の番人(わたし)がいなければ、そのうちの何人かはそのままゴミ箱へ捨てたのではなかろうか。その証拠に、ゴミ箱の中にはいくつかの空き缶が散見される状態だった。

しかしながら、むき出しの筋肉と完全なる金髪、さらに獲物を狙うかのような鋭い目つきの輩を前にして、燃えるゴミに空き缶を捨てようものなら、どんな絡み方をされるか分からない——そんな恐怖心というか面倒くささが、良識ある行動に舵を切らせたのだ。

 

 

なんとも生真面目な日本人男性らを、まるで戦場へ赴く戦士を見送る恋人のように・・いや、部活へ向かう学生らを見送る寮母のように、優しく見守るわたしなのであった。

 

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