運動後にシャワーで汗を流し、さて着替えようか・・という時に焦るのは、タオルや下着を忘れた時である。
バッグへ入れたはずの着替えが見つからない、というか「入っていない」となると、これはどう考えても入れ忘れたことになる。そして、よくよく思い返すと「そういえば準備はしたけど、ソファに置きっぱなしかも・・」という記憶がよみがえり、残念ながらノーパンあるいはノーブラで帰る羽目になる。
とはいえ、タオルを忘れた場合はまだどうにかなる。シャワー後、全身の水滴を「これでもか!」というほどペッペッと払い、その場でジャンプしたりブラブラしたりして自然乾燥させ、最後にティッシュやドライヤーで仕上げをすれば、手間はかかるがどうにか乾かすことができる。
ちなみに、パンツを忘れた場合は迷うことなくノーパンで帰るしかない。さっきまで履いていたパンツを洗ってからもう一度履く・・というのもなくはないが、濡れた繊維を完全に乾かすには時間がかかることと、多少乾いたとしても湿ったままではその上に履くズボンに影響が出ることなどから、ここは潔くノーパンを選択するのがベスト。
なお、「ノーパンで帰宅」というのは過去に何度もやっているので、今となってはもはや「焦りも後悔も何もない」というのが本音である。
だが、ブラジャーを忘れたとなるとこれは意外に「事」である。
おそらく、豊満な乳房を持つ女性ならば”たわわな果実”がゆっさゆっさと揺れるわけで、胸の前で腕組みでもしながら大切に運ばなければならない。しかしながらわたしは、南国に生えている硬くて立派な木の実ばりに頑丈な胸筋が備わっているため、ゆっさゆっさもしなければ乳が邪魔になることもない。
しかも、衣服を重ね着するような季節であれば、まぁブラジャーなど着けていなくてもさほど困ることはない。とくにジャケットやコートを羽織っていれば、外見上はいつも通りなわけで。
ところが、夏のこの時期は事情が変わってくる。
いかんせん、上半身は薄っぺらい布切れ一枚しか纏っていないため、胸部の状態が如実に反映されるのだ。おまけにわたしは、布面積の少ないタンクトップ・・こともあろうか白色のタンクトップで出掛けてしまったではないか。
白色のシャツのをノーブラで着るということは、それすなわち「乳首が透ける」ことを意味する。殊に女性の場合、色だけでなく形も出てしまうため、明らかにノーブラであることが見て取れるのだ。
とりあえず、全裸でタンクトップをかぶったわたしは考えた。
(手を上げると脇の隙間から乳が垣間見える。正確には「胸筋」がチラ見するわけだが、いずれにせよレディーが見せていいものではない。それにしても、どこをどう見ても”柔らかな乳房”という表現が全くもって当てはまらない我が胸は、いったいどうなっているんだ。こんなんだから、「胸が北斗の拳みたいだ!」などと揶揄されるんじゃないか・・)
さらに、「なぜブラジャーがないのか」ということについて、思いを巡らせた。
(・・にしても今日、わたしは確実にブラジャーをバッグへ入れた。これだけは自信がある。なぜなら、一番最後にブラジャーを突っ込んだので記憶に新しいのだ。それなのになぜブラジャーが入っていないのだ。考えられる可能性としたら、電車内でテーピングを巻いていた際に、なにかの拍子でブラジャーがこぼれ落ちてしまったとか。あるいは、スマホを取り出す際に引っかかって落ちたか・・いずれにせよ、ここへ来る途中で落としたに違いない)
そう、わたしはどこかでブラジャーを落としてきたのだ。とはいえ、往路をたどって仮にブラジャーが落ちていたとしても、さすがにそれを拾う勇気はない。所詮はユニクロだし、また買えばいいだろう。
などなど、色々な状況や情報が脳内で処理されるうちに、わたしはとある事実に気が付いた。なんと、白いタンクトップの胸の部分に大きなローマ字のロゴ・・しかも、インクがしっかりと乗ったラバープリントで描かれているではないか!
これならば乳首が透けることも位置が見破られることもない。まぁ、多少は「男みたいな胸板」に見えなくもないが、いかんせんノーブラなんだから仕方がない。さて、帰るか——。
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というわけで女性の皆さん、夏場のノーブラにはご注意あれ。










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