おっぱい事変

Pocket

 

本人はいたって真剣であるにもかかわらず、周囲の者からすると明らかにネタと化しているわたしのダイエットについて、およそ二カ月が経過した時点で体重の変化はまったくといっていいほどない。むしろ「増えている日」があるなど、なぜ「間違っても減らないのか」が、不思議で仕方がない状況が続いている。

そして、右肩下がりを期待しつつ「体重の棒グラフ」をチェックすれば、遠目で見ると見事な横一直線をキープしており、わたしにしてみれば「ダイエット開始当初から今まで、ずっと停滞期が続いている」という、意味不明な現実を突きつけられる始末——。

 

そんなわたしは、まさかの事実を知ることとなった。そう、このダイエットは「確実に意味があった」ということを、まさかの場面で知ることとなったのだ——あぁ、本当に脂肪は落ちていたのか。

 

 

 

先日、サントリーホールのブルーローズでピアノを演奏する機会を得たわたしは、唯一のステージ衣装であるユニクロの黒いワンピース(夏用)を着用し、足元はクロックスの高級版で固めて舞台へ立つことにした。

その際に、何か月ぶりだろうか、かなり久々にブラジャーを装着したのだが、事件はそこで勃発した。なんと、少なくとも昨年まではサイズがピッタリだったブラが、ガバガバになっているではないか!!!

 

最初は「ホックの位置がわるいのかな?」などとブラ自体を疑っていたが、いやいやそういう話ではない。どこをどう頑張ってもペシャンと流れてしまう、ちょっと固めの温泉卵程度の貧弱なおっぱいが、わたしの胸部にちょこんと付いているのだ。

(・・え?こんな貧乳だったっけ)

そんな緊急事態にさらなる追い打ちをかけるかのように、バストアップをサポートするための「寄せてあげる」が不可能となっていることに気が付いた。

世間一般では、脇腹の肉をグイグイ集めてブラジャーのカップへ押し込むことで、バストの一部として利用するのだが、その「おっぱいになりすます脂肪」が存在しない——。

 

その瞬間、わたしは恐るべきダイエットの効果を実感した。あぁ、紛れもなく脂肪は落ちていたんだ!!

 

普段は、ブラトップ(カップが内臓されたタンクトップやキャミソール)ばかり着用しているため、まさかここまで(おっぱいが)しゅんとなっていることに気がつかなかった。

とはいえ、言われてみればおっぱいは脂肪の塊である。そもそも、ダイエットに踏み切った原因というか目的は「内臓脂肪を減らすため」だったわけで、そうなると脂肪が落ちるのは正しい成果であり、喜ぶべき変化といえる。

だからといって、これほどあからさまにおっぱいを消し去ることはないだろう。手のひらで胸部に触れると、その先にあるのはゴツゴツとした胸骨と胸筋のみ——女性の象徴である「おっぱい的な感触」が、皆無ではないか!!!

 

・・まぁいい、百歩譲って「食事管理ダイエットが奏効して脂肪が落ちた」としよう。ではなぜ、体重に変化がないのだ。むしろ「ちょっと増えている」まであるというのに、これは一体全体どういう理屈なんだ?!

たとえるならば、「部屋をスッキリさせたい」といって業者を頼んだら、骨董品やお気に入りの物まできれいさっぱり捨てられたあげくに、全然好みではない内装にされた・・という感じだろうか。言葉にならない虚無感と絶望に、ただただ立ち尽くすしかないわけで——。

 

(わたしは一体、なんのためにダイエットをしているのだろう・・)

豊満なバスト(?)を失った哀れなオンナは、答えの出ない自問自答を繰り返すのであった。

 

Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です