45リットルのゴミ袋

 

わたしが尊敬する「賢さ」というのは、どれだけ博識か・・ではなく「今ある状況でいかにベストが尽くせるか」を考えられる者だ。

このご時世、たいていのことはネットで調べれば答えにたどり梳くし、AIに相談すれば有益な回答が得られる。だが、ネット環境になかったりAIが思いつかないアイデアだったりは、我々ヒトがひねり出すしかない——そこで飛び出すアイデアこそ、その者のセンスであり賢さなのである。

 

 

汗をかくと嫌なニオイを発するようになったラッシュガードを、逆性せっけん液(殺菌消毒剤)である「オスバンS」に漬けて殺菌・消臭しようとしたところ、我が家には「バケツ」というものが存在しないことに気が付いた。

さらに、オスバンの容器には「キャップ一杯に対して、水5リットルで希釈する」と書かれてあるが、5リットルを量れる器具がないことも発覚。

(このためにわざわざバケツを買うのはバカらしい。だが、大量のラッシュガードやタオルを一気に殺菌したいわけで、なにかデカい入れ物はないか・・お、バスタブはどうだろう?)

 

どうせやるなら、自宅にある衣類やタオルで悪臭を放つ布製品すべてをやっつけたい・・と考えたわたしは、一度に大量の衣類を沈めることのできる容器としてバスタブに目を付けた。

たしかに、容器としては最高のサイズ感ではあるが、水の量はどうやって量ればよいのか。1リットルのペットボトルで何十回か往復すればいいが、非効率な上に面倒なのでやる気になれない。おまけに、よくよく考えるとその後の「すすぎ・脱水および乾燥」の際に、一気にやりすぎては干す場所に困るではないか。

しかも、オスバンは金属を錆びさせる恐れがあることや、バスタブを変色させる可能性があるため、バスタブを容器として使用するのはあまり推奨されない模様——となると、他のデカい容器を探さなければ。

 

こうして、室内をウロウロしていたわたしが着目したのは「ゴミ箱」だった。樹脂製の容器にレジ袋をかぶせてゴミ箱として使用しているのだが、よくよく見ると「手穴のついたバケツ」としても使えるフォルムである。

無論、バスタブに比べればサイズは小さいため、衣類を何回かに分けて漬け置きする必要はあるが、それでも我が家におけるバケツの代替品としてはトップクラス。そんな「即席バケツ」にペットボトル5往復にて5リットルの水を溜めたわたしは、キャップ一杯のオスバンを投入した。

(待てよ・・ラッシュガードを大量に詰め込んだら、この希釈倍率では足りないんじゃないか?)

そこでわたしは、日頃からオスバンを使いこなしている友人にメッセージを送った。すると、別の意味で”有益な情報”が返ってきたのだ。

 

「僕は、45リットルのゴミ袋にオスバン2キャップ入れてる。水は量ってないから、何リットルかは分からないけど・・」

なんと、ゴミ箱ではなく「ゴミ袋」という選択肢があったではないか!!

たしかに、リビングやデスク横にあるゴミ箱ならばレジ袋がせいぜいだが、45リットルのゴミ袋ならばレジ袋のゴミが5~6個入るわけで、言わずもがなラッシュガードやタオルを大量に殺菌できる。

しかも、我が家にはダストボックス(蓋つきのゴミをストックしておく容器)があるため、それを使えばさらに確実に水を溜められる——さすがは我が友人、賢い!!

 

というわけで、水何リットルに対してキャップ何杯のオスバンか・・ということより、45リットルのゴミ袋を容器として使用する・・ということに感心してしまったわたしは、とりあえず大量の水に適当な量のオスバンを振りかけて、せっせとラッシュガードを沈めるのであった。

 

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