火曜日の朝7時、吾輩はベリンボロを覚えた。

 

わたしの所属先であるトライフォース赤坂では、火曜日の朝7時から「早朝クラス」が開かれている。しかも8時には終了するので、そこから出勤しても十分間に合うという、まさにゴールデンタイムのクラス。

まぁ、自営業のわたしにとっては「始業時刻」など関係ない。というか、24時間年中無休なので始業も終業もないのだが、一般的には9時から業務開始という会社が多いため、ひと汗かいてサッパリしてから出社・・という、理想的な一日のスタートが切れるわけだ。

 

しかもこのクラス、ざっくり言うと「一つのテクニックを、一時間かけてみっちり味わう」という、とても贅沢な設定となっている。

テクニックや練習内容は、その日のメンバーや人数によって調整されるが、今朝のクラスでは「ベリンボロ」という回転系のテクニックについて、入り口から細部まで丁寧に教わった。

 

実のところ、恥ずかしながらわたしは黒帯であるにもかかわらず、ベリンボロについて明るくない。そのため、日頃からこの技を使っている者にとっては基本中の基本レベルだったかもしれないが、わたしを含む今朝のメンバーにとっては、新鮮かつ刺激的な内容だった。

いかんせん、「柔術といえばベリンボロ!」と言っても過言ではないくらい、ブラジリアン柔術を代表する技の一つであるベリンボロは、「いつか使ってみたい・・」と密かに目論んでいる者も多いはず。

そんなこともあってか、早朝クラスに参加した全員が、インストラクションを行う先生の一挙手一投足に釘づけとなっていた。さらに、ベリンボロを仕掛ける側と仕掛けられた側、その両方の対応について覚えることができたため、やるもやられるも「どのような仕組み」であるのかが理解できた。

 

そんな「ベリンボロ初心者」の我々は、黙々とドリルをこなし繰り返し動きを叩き込み、最後に「ベリンボロでスタートして、バックポジションがゴール」という、目的を限定したスーパーリングにて実践における動きを確認した。

やはり、頭で理解しただけでは体は思うように動かないし、じっとしている相手にしか成功しない技ならば、実践で使える日は遠い。互いにベリンボロを打ち合い、上手く入れたら一気にバックを取り、仕掛けが遅れたらカウンターを狙い、そんな「やりつやられつ」を繰り返すうちに、少しずつ精度が上がる——。

 

今までのわたしにとって、例えるならば”森を見て木を見ず”状態だったベリンボロだが、今朝の一時間で「木」の一部をしっかりと見つめるに至った。

あぁ、これは小さくともかけがえのない一歩である!!

 

*

 

基本的な仕組みを一つだけ、繰り返し体に叩き込む・・というやり方は、単細胞かつ愚鈍なわたしにとっては非常に効果的といえる。

いかんせん、呆れるほど覚えが悪いわたしは、柔術の動きを一つ身に着けるだけでも困難極まりない作業となる。だからこそ、その一部に触れられたならば・・・そんな嬉しいことはない。

 

とにもかくにも、柔術のテクニック習得は一朝一夕とはいかないが、それでも、一部分でもいいから己のものに出来たならば、きっと今より楽しくなるだろう。

しかも、朝7時から頭と体を使って気持ちのいい汗をかいたならば、その日はもはや成功したも同然。とにかく、気分よく一日を過ごすことができるのだからラッキーである。

 

・・そんなわけで、わたしにとって火曜日は縁起のいい一日となりそうだ。

 

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