情弱事件(未遂)

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——まったくもって納得がいかない。

わたしは今、非常に怒っている。なぜなら、社労士が諸々の届出を電子申請した場合、届出内容の審査が終わり決定通知書として発行される公文書を取得し、それをダウンロードして顧問先へ共有すれば一件落着・・という流れが通常なのだが、今回は不穏なメッセージとともにレイアウトが壊れた状態のファイルが添付されていたのだ。

(アメリカから日本へ電話をするのは気が引けるが、そんなことを言っている場合じゃないな・・)

社会保険関係の審査は、管轄の年金事務所ではなく電子申請事務センターにて一括処理が行われるが、確認などの連絡手段はなぜか”電話またはファックス”という古典的な方法に限られている。今時ファックスなんて・・とバカにしたいところだが、「ならば郵送してください」と言われる恐怖を考えると、どうにかしてファックスを送信するほうがまだマシ。

そんなわけで、決定通知の公文書が取得できないわたしは、しぶしぶ日本へと電話をかけたのである。

 

まぁ当然ながら、先方としては「公文書は既に発行しているので、紙での再交付しか取得の方法はないですね」という回答で、ゴネたからといってどうにかなるものではない。しかしながら、こちらとしては「そこそも公文書が取得できていないのだから、交付すらされていないことになるわけで、それなのに再交付ってまるでこちらが悪いみたいじゃないか!」という納得のいかない気持ちがあるため、すんなり「再交付」という手段を受け入れることができないのだ。

おまけに、再交付の届出は電子ではなく紙による申請となるため、現在日本を離れているわたしにとって、これほど不条理かつ無理ゲーな仕打ちはないだろう。それにしてもなぜ、未だに再交付や訂正に関する届出は電子申請できないのか。なぜ、紙による申請しか手段がないのだろうか——15年経っても解明されない、ある種の都市伝説的な謎である。

 

というわけで、怒りでわなわな震えるわたしは、その手で某社労士ソフトの会社へメッセージを送った。お宅に文句をいうことじゃないんですが、この怒りをどこへぶちまけたらいいか分からないので、どうか受け取ってほしい・・という思いを連絡フォームにしたためたところ、まさかの回答が返ってきた。

フォルダ内の返戻票や公文書のレイアウトが崩れて表示される場合は、データが格納されている「zipファイル」を「すべて展開」してからご確認いただくことで、正常なレイアウトで表示される可能性がございます。

そんなことをやったって何も変わりはしないだろう——と、期待ゼロの状態ではあるが、「やらないよりマシかも」というわけで、圧縮フォルダをデスクトップへ移すと改めてファイルを開いてみた。

(またどうせ、HTMLの改行コードや管理番号がズラズラと出てくるんだろう・・)

——と、次の瞬間わたしは己の目を疑った。なんとそこには、きちんとレイアウトが整った状態の公文書が表示されているではないか!!!

 

(・・・やばい、これぞまさに情弱ってやつじゃないか)

 

その時、わたしは心の底から安堵した——よかった、危うく愚かにもキレ散らかすところだった。そして、キレた挙句に担当者から「zipファイルを全部展開することで関連ファイルが揃うので、レイアウトが正しく表示できるようアプリが再構築してくれますよ」などと穏やかに説明された日には、恥ずかしくてもう二度と電子申請ができなくなるだろう。

あぁよかった・・感情任せにキレたりしなくて、本当によかった・・。

 

 

今回の教訓は、意見が食い違う大半のことは「相手が正しい」と思っておくほうがよさそう・・ということだ。なんでもかんでも「自分が正しい」と思い込んでしまうと、それこそ痛い思いをし兼ねない。

そして、何事も「知らない」というのは罪である。そうだ、ソクラテスもそう言っているじゃないか——。

 

とにかく、すべてがビッグサイズのアメリカにいるからといって、気持ちまで無駄にデカくならないよう、改めて兜の緒を締めるわたしなのであった。

 

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