わたしは今日、半分にカットされたパイナップルを買った。しかもそれを二つ購入したので、パイナップルを丸ごと一つ買ったわけだ。おまけに、青果店側の粋な計らいにより、真ん中にある硬い芯が取り除かれていたので、「あわよくば、このままかぶりつけばいいんじゃないか」と、一人ほくそ笑んでいた。
ちなみにその店は、野菜も果物もとにかく安かった。なんせ自宅近くの高級スーパーでいちごを買えば、一パック800円は下らない”高級フルーツ”であるにもかかわらず、ここではその半額で買えるのだから。
(こんなチャンスは滅多にない!!)
というわけで、わたしはここぞとばかりにいちごを買い漁った。
とりあえずは、パイナップル1玉のほかにいちごを6パック購入したが、帰宅途中の「歩きいちご」ですべて食べ尽くしてしまったので、「わたしは本当にいちごを買ったのか?」と、ある意味キツネにつままれた気分になった。しかしながら、歩きいちごで実践した”ヘタごと食べる手法”は、かなりいい食べ方だという発見になったのは儲けもの。
歩き〇〇で最も面倒なのは、ゴミが出ることだ。クシャっと丸めてポケットに突っこめるくらいのものならばまだしも、大量に発生するいちごのヘタほど処理に困るものもない。同様に、みかんやブドウの皮というのも厄介な残骸ではあるが、いちごのヘタ程度ならばちょっとした草の延長なので、誤って食べたとしてもさほど問題はないだろう——。
ところが、調べてビックリ。なんと、いちごのヘタ(咢/ガク)には豊富な栄養が詰まっていたのだ。カテキンの21倍もの抗酸化作用をもつ「アグリモニイン」や、血液をサラサラにする効果があるといわれるポリフェノールの一種「ケルセチン」など、アンチエイジングにもってこいの果物(植物)なのである。
(なんだ・・葉っぱごと食べて正解だったじゃん)
実際にいちごのヘタはほぼ無味である。無論、葉っぱのみを食べればそれなりの青臭さを感じるだろうが、いちご本体と一緒に食べればなんら違和感なく味わうことができる。おまけに、茶葉や玉ネギもビックリするほどの栄養素が詰め込まれているわけで、そんなスーパーフードを捨てていたとはなんたる愚行!!
というわけで、これからは葉っぱごと食べることを誓ったのである。
そして帰宅してからのお楽しみといえば、半分にカットされた丸ごとパイナップルだ。
日頃からそこまで積極的にパイナップルを食べる習慣はないが、カットフルーツ置き場に陳列された40パーセント引きのパイナップルに関しては、救済の意味も込めて買い占めることにしている。
だが、丸ごと一個を買って来て食べる・・ということはありえない。果物をカットする技術と道具がないわけで、丸ごとパイナップルを買ったところで単なる置き物になるだけだからだ。
そんなわたしとの相性が悪いパイナップルだが、今日は違う。元から半分にカットされているため、あとはかぶりつけばいいだけ。よって、包丁はおろかカトラリー類も不要なのだ。
(とはいえ、これだけデカいと鼻や顔につくだろうな・・)
たとえば、四分の一にカットしたスイカやメロンに齧りつくと、どうしても果肉と顔面が接触してしまうように、このパイナップルも齧り進めるうちに顔面への付着を避けられないのでは——。
ところが・・だ。そんなわたしの不安をよそに、パイナップルは見事な身体能力を披露した。一見、硬くて頑丈そうな外皮ではあるが、実際には鱗片状の突起と分厚い繊維質の層でできているため、鱗片の継ぎ目に沿ってちぎることもできるし、メロンの皮をひっくり返すようにグニャっと折り曲げることもできるのだ。
そのため、ガブガブと豪快に食らいついたとしても、果皮を手で割きながら食べ進めることで、顔面を汚すことなく完食できるわけだ。
(外見からは想像もつかないフレキシブルさが、パイナップルの皮には装備されていたのか・・)
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結論、パイナップルは半分に割れさえすれば、素手で食べられる。
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