ガラケーがマジでガラパゴス化していた件

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じつはわたし、何を隠そうガラケーを持っている。しかも、天下のドコモのガラケーである。おまけに11年近く使用している代物であり、充電器の根もとのゴムが劣化し赤い配線が露出するほど、年季が入っている。

だが、メインのケータイはソフトバンクのiPhoneであり、このガラケーは通話専用のケータイなのだ。とはいえ、ほぼ通話でも使用しないため、デスクのオブジェとして完全にガラパゴス化している。では、なぜ解約しないのかというと、それはやはりこの番号を手放すのが惜しいからに他ならない。

 

学生時代の連絡手段として、携帯電話はなくてはならない存在だった。今のようにSNSが当たり前の時代ではないため、電話やメール、ショートメッセージでの連絡が交流を支えていた。

そんな青春時代の淡い思い出=ドコモの携帯番号を守り抜く端末が、このガラケーなのだ。

 

とはいえ、ほぼ役に立っていない(役に立たせようとしていない)ガラケーなど、解約すればいいだろう。もしくは、スマホへ機種変すればいい。

しかし、過去に起きたとある事件により、当時使用していたドコモのスマホを紛失したわたしは、ソフトバンクのiPhoneに目移りしてしまった。なぜならその頃、日本でiPhoneを発売しているのはソフトバンクだけだったからだ。

 

こうして、ソフトバンクの電話番号を手に入れたわたしだが、それでもアオハルの思い出を捨てきれずに、ドコモの番号はガラケーで維持し続けることにした。

あぁ、なんとも情けないというか、優柔不断だったことが悔やまれる。なぜ携帯電話を、無駄に二つも所持しなければならないのか——。

 

そろそろ充電器が使えなくなるガラケーを見ながら、

「この機種はもはやこの世に存在しない。よって、充電器も当然販売されていない。つまり、充電器が壊れたらもう二度と、このガラケーが目を覚ますことはない」

という不安に苛まれていた。そこでわたしは、これを機にドコモの番号を捨てようか、それともアンドロイドに機種変してスマホを二台持ちしようかと悩んだ。

 

だが、スマホ二台持ちほど無駄で無意味なこともない。パソコン、タブレット、iPhoneをすでに所持しているにもかかわらず、さらにもう一台スマホを買うなど愚の骨頂。毎月の電話(通信)料金もバカにならないわけで、どう考えてもあり得ない選択肢といえる。

ということは、青春時代の象徴であるこの番号を、手放すしかないのか——。

 

どうしても諦めがつかないわたしは、ドコモのオンラインショップをのぞいてみた。するとそこには、キッズケータイと並んで「フィーチャーフォン」なるものが紹介されていた。

フィーチャーフォンは、通話機能に主眼を置いた携帯電話のことで、いわゆるガラケーを指す。そして、カメラ機能のついていないフィーチャーフォンが発売されいることを知ったわたしは、さっそくその機種を購入することにした。

 

(オンラインショップで買ったら、自宅に配達してくれるのか。あ、そういえば一度も使ったことのないドコモポイントがあるから、使ってみよう・・)

ドコモ歴20年超のわたしは、そのプライドに賭けてでもドコモを貫く覚悟を決めた。携帯電話を無駄に二台持つことも、ドコモユーザーとしては致し方ないことだと受け入れることにしたのである。

そして、通話専用デバイスとしてフィーチャーフォンを所持するのならば、カメラなどの無駄な機能は不要。ネット接続すら不要であるが、まぁそのくらいはあってもいいだろう——ということで、このケータイへ機種変更することに決めたのだ。

 

(・・ん?dアカウントのアプリが必要だと?)

そもそもガラケーには、iモードという通信機能がついているが、少し前(もしかすると数年前)に、サイト閲覧ができなくなった。そして現在では、「iメニュー」というドコモの専用サイトのみ接続可能ではあるが、アプリをダウンロードするなどという高度な作業は、とてもじゃないが無理。

ということで、iPhoneのほうでdアカウントアプリをダウンロードすると、必要な情報を登録して再びドコモのオンラインショップへと戻った。

 

「お手数ですが『いつもパスキー設定』をしてください」

何度かトライするも、このメッセージにより手続きが阻まれる。・・っていうか、なんだその設定は? これをクリアしない限り端末を購入させてくれないとは、なんたる暴挙。

そして、よく分からないままアプリに戻ると「いつもパスキー設定」を開き、さっそく設定を始めた。すると、

「認証エラー:SIMに登録されたdアカウントと、アプリに設定されたdアカウントが異なります」

というエラーメッセージが突き付けられた。・・そりゃそうだろう。なんせこれはソフトバンクのスマホである。そして、ドコモのガラケーではアプリをダウンロードできない。つまり、ソフトバンクのSIM情報とドコモの情報が一致しないのは、当たり前のことなのだ。

 

念のため、ドコモのサイトでこの事象について調べてみたが、今回のケースとは別に、一時機能が利用できない時期があった様子。しかし2021年10月に解消しているため関係はない。

さらにアプリのバージョンも最新であり、このエラーは間違いなく、キャリアが異なることで起きているものだと推測できる。

 

(フィーチャーフォンならばどうにかなったんだろう。ガラケーだから、こうなったのだ・・)

なんともやるせない気持ちで押しつぶされそうになるわたし。なぜなら今日、実はドコモショップへ出向いていたのだ。だが予約をしていなかったため門前払いを食らい、仕方なく、オンラインショップで購入することにしたのだ。しかし、dアカウントのアプリが必要だの、二段階認証が必要だの、色々といちゃもんをつけられたあげくに、SIMの情報と違うからオマエには売ってやらねぇよ!という仕打ちを受けたわけだ——。

 

結局、わたしはネットで「店頭予約」をし、再びドコモショップへ足を運ぶこととなった。

結局のところ、ガラパゴス諸島の生物のように孤立した環境で独自の進化を遂げたガラケーは、現代のやり方にはついていけなかったのだ。・・まぁ、ガラケーらしいといえばそれまでだが。

 

Illustrated by 希鳳

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