貧乏暮らしの代名詞といえば、風呂なし共同トイレのボロアパートだろう。そしてこの場合、高確率で洗濯機置き場もない。
トイレ同様、共同の洗濯機があるかもしれないが、他の居住者とかぶれば洗濯ができない。
そのため、銭湯へ行くついでにコインランドリーを利用するという案が生まれる。
そういえば、銭湯の近くには高確率でコインランドリーがある。これは、ドリンクの自販機の横にリサイクルボックスがあるのと同じくらい、当たり前で自然な組み合わせといえる。
ちなみに、自販機の横にあるアレは、ゴミ箱ではなく「リサイクルボックス」である。
とはいえ不思議なのは、投入口が「ペットボトル」「缶」「ビン」に分かれているにもかかわらず、中が仕切られていないため、ごちゃ混ぜになっていることだ。
これでは、「分けて投入する意味がないのでは?」と疑問に思う人もいるだろう。
案ずるなかれ。内側を分けようが分けまいが、最後には必ず「分別の点検作業」を行わなければならないのだ。
ではなぜ、わざわざ分けているのかというと、投入口の大きさをペットボトルや空き缶サイズにすることで、他のゴミを入れさせないためだ。
よって、中でごちゃ混ぜになったとしても、ちゃんと分別されるので問題ないのである(参考/西日本新聞「自動販売機の横の「ごみ箱」、投入口だけ分別しているのはなぜ?」)。
話をコインランドリーに戻そう。
先日、札幌市内でコインランドリーを利用したわたし。最近では、ホテルにコインランドリーが設置されているところもあるが、今回滞在したホテルにはなかった。
そこでさっそく、Googleマップでコインランドリーを探してみると、
(お、徒歩10分のところにある)
まぁ、このくらいの距離ならば遠くはない。行ってみよう。
こうしてわたしは、北の大地で洗濯物を抱え、コインランドリーへと向かったのである。
到着した店舗の入り口には、飲み物の自販機とともに、百円玉の両替機と山積みの漫画が置かれてあった。
これぞまさに、コインランドリー。
そして肝心の洗濯機も、大小いくつかの種類がある。
中でもこの店における最新型は、洗濯から乾燥までが45分で済むらしい。
(よし、この最新型で洗濯しよう)
ちなみに、業務用の洗濯乾燥機に不慣れなわたしは、コインを投入する前に適当なボタンに触れてしまった様子。
わたしの洗濯物は重さにして4キロ程度。よって、7キロまでの洗濯乾燥コースを選択するつもりだった。
ところが、「衣類の量は27キロまで、洗濯のみで40分」という「業者御用達コース」を押してしまったのだ。
それに気づかずコインを投入すると、なんと、コースを変更することができないじゃないか!
硬貨の返却レバーをガシャガシャやるも、うんともすんとも言わない。
こうしてわたしは、27キロ分の水量とパワーで衣服を洗うこととなった。
時間もカネも無駄である・・・。
洗濯が終わるまでの40分間、近くのカフェで時間を潰すことにした。
それにしても本来ならば、次回ここへ戻ったときには洗濯も乾燥も終わり、すんなりホテルへ戻れたはずである。
それが、誤って27キロ分の洗濯をするため、その後さらに乾燥機を回さなければならないのだ。
・・・まぁ、悔やんだところで仕方ない。寒空の下、わたしはカフェへと向かった。
そして40分後。再びコインランドリーへと足を運んだわたしは、もうすでに北海道の寒さにやられていた。
「今日は普段に比べると暖かいよ」と友人は言うが、都会っ子のわたしにとってはシベリア並みである。
しかも16時を過ぎたあたりから、空も暗くなり本格的な夜の寒さが襲ってきた。
(ヤバい、命の危険が・・・)
すぐさまエアコンのボタンを探すが、どこにも見当たらない。それどころか、ここには暖房器具がないじゃないか!
まさか床暖房?!などとふざけた発想にすがりたくなるほど、わたしは暖気を求めて室内をウロついた。
まずい、このままでは凍え死ぬ――。
とその時、わたしの足が止まった。なんだか体の左側が温かいじゃないか。
見るとそれは乾燥機だっだ。
そう、コインランドリーという場所は、強力な熱を発する「暖房器具」が備え付けられているのだ。業務用乾燥機という名の、立派なストーブが!!
こうしてわたしは、乾燥機の前にピタッと貼りついた。そして余す所なく暖気を吸収した。
回転する乾燥機の振動とともに、奥の方から「ボッ」とガスが点火したような音が聞こえる。
そうだ、どんどん燃やせ。どんどんあったかくしてくれ――。
およそ20分ほど、乾燥機によって暖をとったわたしは、ホカホカの状態でホテルへと戻った。
コインランドリーは、洗濯機を持っていない人の利用率が高いため、ある意味「貧乏の象徴」かもしれない。
だがあえて言おう。だからこそあの温もりは貴重であり、かけがえのない感謝と生きがいを与えてくれるのだ!
・・・以上が、わたしの記憶に残る北海道の思い出である。
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