台湾式足つぼマッサージによる、微妙にむなしい判定

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二か月半ぶりに、足つぼマッサージののれんをくぐった

赤坂には意外と足つぼマッサージの店があるようで、道を歩いていても「足」の看板を目にすることが少なくない。

今回は、前回の店とは別のところを訪れてみた。距離にして数百メートル、目と鼻の先にある店舗だが、台湾式の足つぼマッサージということで水面下ではライバル同士なのかもしれない。

そして、こういった店は「初回割引サービス」がつきもの。今回も500円引きの恩恵を受けられるとあり、次の予定までの時間調整としてこの店を選んだのだ。

 

まるでビニールハウスの入り口のような、マグネット式のビニールカーテンでできたドア(?)の取っ手を握ると、そっと開けてみる。

それに気づいた受付の女性が、カウンターから入り口のほうへ慌てて出てきた。

「20分後ナラ、ダイジョウブ」

おぉ、ネイティブだ。これは期待できそうである。

 

こうして、近所をウロウロとパトロールしてから、再びビニールハウスのドアを開けた。

「ドウゾ、ココヘ座ッテ」

温かい茶をもらい、しばし待つことに。その間、前の客が使った施術台を掃除し、新たに準備をしていた。

 

それにしてもこの店は、スタッフ同士の連携が恐ろしいほどスムーズである。

客が来た→施術台の準備→使用済みのタオル類を撤去し、新しいタオルを設置→足湯の準備やタイマーのセット・・・といった流れを、数人のスタッフが言葉を交わすことなく、バケツリレーの如く見事にフォローし合っていたからだ。

しかも、彼ら全員が施術中にもかかわらず、ちょっとした隙を作っては、一瞬にしてサッとバケツを手渡していた。

 

(仕事というか、チームプレーってこういうことだよな)

 

面倒だから見てみぬフリをしたり、仕事量を増やしたくないから気づかないフリをしたりと、自分のことしか考えない労働者が多い中、完璧なチームプレーでスムーズな顧客対応をみせるこの人たちは、施術以外の意味でも「プロ」である。

そんなこんなで、わたしは施術台へと案内された。

 

「痛カッタラ言ッテクダサイ」

 

お決まりのセリフとともに、足つぼマッサージがスタート。前回の反省も兼ねて、今回は痛かったらすぐに告げる覚悟を持って挑んだ。

しかし、一発目の指圧ですでにお手上げだったが、それを口にできるほど強靭なメンタルは持ち合わせていない。そのため、またしても涼しい顔で脇汗ぐっしょりかきながら、痛くないフリを続ける時間が始まってしまった。

 

「ココ、痛イデショ?」

 

施術者も、明らかに「痛い」のを分かった上で、ものすごく痛いツボをグリグリ押している。そこで「いまだ!」とばかりに、わたしは笑顔で「ちょっと痛いかな」と答えた。

 

「ココハネ、肝臓」

 

なんと、圧をゆるめるのではなく、「肝臓が疲れている」ということを教えてくれたのだ。

「痛かったら言ってください」の意味は、体のどの部分が疲れているのかを教えてあげるから、痛かったら言ってね・・という意味だったのか――。

 

「ココモ痛イ?」

 

そこは胃腸だそう。そして次々に痛い箇所と対になっている部分を教えてもらった。首、腰、腎臓、そして心臓まで。

わたしのカラダは、どこもかしこも疲弊しまくっているようである。

 

「ココモ痛イデショ?」

 

親指の腹を押しながら、施術者であるお兄さんが尋ねる。しかしそこは、まったく痛くない。むしろ痛みから解放されて気持ちよさを感じていたところで、この状態が続けば仮眠できるとまで感じていたところ。

不思議に思いながら、本日初となる「痛くない」旨を伝えたところ、やや驚いた表情でこう答えてくれた。

 

「ココハ脳、アタマデス」

 

なんと!!人間において最も重要な器官である脳が、疲れていないだと!?よりによって、本来もっとも疲れていなければならない部分が、まったくもって疲れていないとは、まるでわたしがバカであることを表しているみたいじゃないか!

いや、しばらく指圧されるうちに痛みが現れるのかもしれない。全神経を親指の腹へ集中させて、痛みが訪れるのを待った。

 

(ダメだ、全然痛くない・・・)

 

 

内臓から関節まで、全身が疲労困憊と思われる状態だったが、脳みそだけは元気一杯!という微妙な結果を突き付けられて、本日の足つぼマッサージは終了したのである。

 

Illustrated by 希鳳

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